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福島放射線量 校庭年1ミリシーベルト以下目標 文科省基準

 文部科学省は27日、福島県内の小中学校校庭などの利用制限基準に関し、児童生徒が受ける放射線量の目標について、従来の毎時3.8マイクロシーベルト、年換算20ミリシーベルトから「年間1ミリシーベルト以下を目指す」と変更した。校庭などで毎時1マイクロシーベルト以上の線量が測定された場合、表土を除去する工事の費用を国が補助することも明らかにした。
 文科省によると、表土除去の補助対象は公私立の全ての幼稚園や小中高校などで、公立はほぼ全額、私立は半額。6月から順次、校庭の線量を計測する。
 高木義明文科相は「子どもや保護者に安心感を持ってもらえる措置を取った」と述べた。
 補助するのは、文科省が有効な線量低減策として提示した(1)表土を削り下層の土と入れ替える「上下置換方式」(2)削った表土を袋詰めにして埋める「穴埋め方式」―の二つを想定。自治体が独自の判断で既に実施している工事も対象とする。
 校庭の表土除去をめぐっては、福島県内の自治体から費用負担や基準を示すよう求める要望が相次いでいた。
 文科省はこれまで毎時3.8マイクロシーベルト以下の場合「表土除去は必要ない」としていた。しかし、5月17日に公表された政府の福島第1原発事故対応の工程表に土壌対策への早急な対応が明記されたため、検討を進めていた。


◎「どう実現」「対応遅い」/福島・関係者ら疑問・批判

 児童生徒が受ける放射線量について、文部科学省が27日に示した年間の積算線量1ミリシーベルト以下を目指す考えに対し、福島県の学校関係者らからは「どう実現させるのか」「対応が遅い」などと疑問や批判の声が上がった。
 校庭などの放射線量低減のため、福島市の小中学校などでは表土の除去作業が進められている。27日に作業が始まった渡利小では直前の線量が毎時3.0マイクロシーベルトだった。高橋友憲校長(60)は「既に放射線を浴びており、1ミリシーベルト以下は現実には難しいのではないか。どうやって目標を達成するか、具体的に示してほしい」と国に注文を付ける。
 さらに「国の方針が揺らぐと教育現場は混乱する。以前の年20ミリシーベルトという基準も信用していなかった。今回の目標も疑ってみる必要がある」と不信を募らせている。
 保護者でつくる市民団体「子どもたちを放射能から守る 福島ネットワーク」の中手聖一代表(50)=福島市渡利=は現在、小学1年と4年の息子2人を岡山県の親戚宅に避難させている。
 「子どもの安心のために一歩踏み出したことは歓迎するが、対応が遅い。通学路や家庭生活での被ばくの説明もない。まだ安心して子どもと一緒に暮らせる状況ではない」と言う。
 一方、佐藤雄平知事は「(1ミリシーベルトを)目標にして取り組んでもらいたい。一定の前進だと思う。文科省も相当努力するということだろう」と一定の評価。県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一長崎大医歯薬学総合研究科長は「被ばく量はできるだけ少ない方がいい。放射線量を下げられる見通しがある程度、立ったということではないか。うれしいニュースだ」と受け止めている。


2011年05月28日土曜日


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