韓流歌手　チェ・ドンハさん自殺　来日公演が追悼イベントに

　韓国の警察当局によると、同国の人気グループ「ｓｇ　ＷＡＮＮＡ　ＢＥ＋」（ｓｇワナビー）の元リーダーで、日本でも人気の歌手チェ・ドンハさん（２９）が２７日、ソウル市内の自宅で首をつって死亡しているのが発見された。自殺とみられる。チェさんは２７日夜に東京・王子の北とぴあでソロコンサートを行う予定だった。主催者側では、集まったファンに事情を説明し、公演を急きょ追悼イベントとして実施した。

　韓国の警察当局などによると、チェさんと連絡がつかないことを不審に思ったマネジャーが通報。消防隊員が午前１０時半ごろ自宅に入り発見した。死亡推定時刻は２６日夜とみられる。遺書などはなかった。うつ病で通院していたという。

　チェさんの日本でのマネジメントをしている事務所のスタッフによると、チェさんは２６日午後６時３５分羽田着の便で来日する予定だった。同便に乗っていなかったことから、何度か電話やメールをしたが返事がなかったという。念のため、ソウル市内の自宅マンションにも現地の関係者が２６日夜から２７日午前中にかけて、何度か様子を見に行ったが、応答がないため警察に連絡した。部屋には日本行きの荷物を詰めたスーツケースがあったという。

　チェさんは今年４月から本格的な日本での活動を開始。４月には初のソロコンサートを名古屋や京都で開いた。日本での活動に大きな夢を持ち、「一からスタートするつもりで日本で頑張る」と話していた。また、「日本の文化を深く知りたい」と日本語の勉強も含めて６月から１年間、日本に滞在する予定だった。

　２５日夜にチェさんとメールを交わしたという日本の女性スタッフは「６月１８日にソウルで彼の３０歳のバースデーイベントを開くことになっていて、その打ち合わせのやりとりでした。知り合いが来るから、いい席をとっておいて、と元気なメールを送ってきていたのに。彼の笑顔しか知らない。悩みがあるようには思えなかった」と涙ぐんだ。ヒット曲が出ずに悩んでいたとの報道やうつ病で通院していたとも伝えられた。日本の関係者は「病院に行っているとは聞いていましたが…」。

　追悼イベントとなった午後６時半からの公演には、約１０００人が集まった。遺影を前に全員で黙とう。過去のライブの模様などが上映され、在りし日の姿をしのんだ。千葉から来た５０代の女性は「歌声が素晴らしかった。感激屋ですぐ涙ぐむところもかわいらしかった。ショックです」と話した。なお、２８日の東京・浜離宮朝日ホールでの公演は中止となる。

　チェさんは関係者を通じて歌手の水前寺清子（６５）とも親交があった。水前寺は「これからだったのに…。ショックで言葉がありません」とコメントした。

　◇チェ・ドンハ　１９８１年６月２３日生まれ。０４年１月、３人組男性ボーカル・グループ「ｓｇ　ＷＡＮＮＡ　ＢＥ＋」のリーダーとしてデビュー。「生きて」など数々のヒットを出し、実力派として人気を獲得。０８年にグループを脱退し、ソロシンガーに転向。１８２センチ。