日本の探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子を詳しく分析した結果、微粒子ができたのは、45億年余り前とされる、太陽系の誕生から630万年後以降で、誕生当時、現在よりも大きい天体だったとみられることが分かりました。
これは、「はやぶさ」が持ち帰った微粒子の分析を進めている、国内の大学などの研究者で作る分析チームが、26日、千葉市で開かれた学会で発表しました。それによりますと、分析チームは、小惑星イトカワの微粒子ができた年代を特定するため、微粒子の中に含まれる放射性のアルミニウムの量などを、北海道大学にある特殊な分析装置を使って調べました。その結果、微粒子ができたのは、45億6800万年前とされる太陽系誕生から630万年後以降であるとみられることが分かりました。イトカワなどの小惑星は太陽系誕生当時の姿をとどめていると考えられていて、今回の結果は、それを裏付けるものとなりました。また、微粒子の化学組成を詳しく調べたところ、輝石や斜長石といった鉱物に含まれる元素の割合がほぼ均一だったことから、鉱物が溶けるほどの高熱による影響を受けた形跡はないということです。このため分析チームでは、熱的に安定している天体の内部にあった鉱物が岩石などの衝突によって砕かれ、小惑星の表面に出てきたものとみて、誕生当時のイトカワは現在よりも大きい天体だったとみられると推定しています。