東京電力は27日、震災直後に測定した福島第1原発近くの放射線モニタリングデータの一部を紛失していたことを明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院にはすでに提出していたため、東電は保安院からデータを取り寄せた。28日にも公開するが、改めて東電の情報管理の甘さが問われそうだ。
東電によると、紛失していたのは3月11日から5日間、第1原発西側でモニタリングカーが採取したデータの一部。測定値を紙に書いていたが、紙に付着した放射性物質を除去するために外部に保管していた際、紛失したという。
すでに公開しているモニタリングデータは10分間隔で放射線量の推移を記録しているが、紛失したデータは主に2分間隔のもので、事故初期の線量の推移が詳細に把握できるという。
記録採取から2カ月半も経過しており、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「早期に公表すべきだったが、数値の異常がみられるものではない」と釈明。一方、海江田万里経産相は「データをなくすようなことはあってはならない」と苦言を呈した。【中西拓司】
枝野幸男官房長官は27日の記者会見で、福島第1原発事故に関連して東京電力に未公表のデータがあったことについて「ただちにその内容を精査、整理して公表し、こうしたことがさらにないか、東電に調査させるよう細野豪志首相補佐官に指示した」と述べた。その上で「こうしたことが繰り返されては国民の皆さんから到底信用されないし、日本の原子力行政全体に深刻な事態だ。私自身、東電との関係では大変怒っている」と語った。
毎日新聞 2011年5月27日 21時55分(最終更新 5月28日 1時00分)