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[27550] まどかといっしょ【魔法少女まどか☆マギカ】
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/05 20:56
第1話



/ 1


 災厄を振りまいた舞台装置の魔女が去った見滝原町。

 破壊の限りが尽くされ、荒廃した地に残った二つの影。






「ックゥッ―――あ゛あ゛っ!」

 ソウルジェムが絶望に染まる苦痛に身を捩り、呻くまどかと、傍らで膝を着いてまどかの手を握るほむら。

「まどか! すぐに浄化するからね!」

 ほむらは、黒く染まったまどかのソウルジェムにグリーフシードを近づけるが、まどかは拒絶する。

「もう、いいの…」
 苦悶の表情を浮かべるまどか。

「そんな…」
 ほむらは溢れる涙を拭う事なく、まどかの手を握る手に力を込める。

「ほむらちゃんの忠告を無視して魔法少女になった罰だよ」

「もうワルプルギスの夜は去った!
 他の土地で魔女狩りを続ければ生き続けられるわ!」
 まどかの肩を掴んで叫ぶほむら。

「私がろくに力の使い方も練習しないで、いきなり実戦に臨んだから、避難所も潰れちゃった…」
 まどかは言葉を止め、降り注ぐ雨粒を眺める。

「まどか…」

「お母さんも、お父さんも、タツヤも…、避難してた町のみんなも…」
 嗚咽を漏らし、どこか遠くを見つめるまどか。







 ほむらによる現代兵器の火力の集中によって始まったワルプルギスの夜との戦いは、ほむらが幾度も経験した戦いと同様にあまり効果が無かった。

 まどかの矢はワルプルギスの夜に突き刺さりはするものの、効果があるようには見えなかった。

 ワルプルギスの夜が避難所に近づくにつれ、焦る二人。

 ほむらにとっての4回目の世界でまどかはワルプルギスの夜を一撃で倒した。願いによって強さが変わるが、まどかの可能性に賭けるしかなかった。

「最高の魔法少女になる」キュゥべえにそう評されたまどかが全ての魔力を注いだ矢を放つまで、ほむらは道化師役の使い魔からまどかを守りぬいた。

 放たれた矢はワルプルギスの夜に直撃し、ワルプルギスの夜と共に避難所へ落ちて爆発――――避難所を瓦礫の山に変えた。



 ワルプルギスの夜は何事も無かったかのように炎を噴出し、瓦礫を吹き飛ばして宙を舞い、見滝原町を去った。

 避難所は基礎の一部しか残らなかった。






「私、家族を、町のみんなを殺しちゃったんだよ。
 いくつグリーフシードがあっても、すぐにソウルジェムは絶望に染まっちゃうよ…」

「まどか…」

 どこか遠くを見ていた、焦点の合わない瞳を閉じるまどか。、

「私、魔女にはなりたくない…。嫌なことも、悲しいこともあったし、守りたいものも守れなかったけど、もうこれ以上、この手を汚したくない…」
 まどかは、ほむらを見つめて言外に介錯を願った。

「次の私によろしくね…。キュゥべえに騙されないように、ずっと一緒に居てほしいな」
 苦痛をねじ伏せ、優しく微笑むまどか。

「うん」
 ほむらは泣きながら頷くと、まどかの頭を抱きしめる。

「…約束するわ! 何度繰り返すことになっても、まどかと共にいるわ!」

「うん。お願い」
 まどかがほむらの首に腕を絡めると、ほむらはまどかを抱き上げ、唇を重ねた。

 ただ唇が触れるだけのキス。

 お伽話なら、お姫様は王子様のキスで救われるが、まどかの魔女になりたくないという希望を叶えるを救う方法はただ一つ。



「う゛う゛ぅ゛っ――――――!」
 悲痛な叫びと発砲音が響いた。












/ 2 side 暁美ほむら


 幾千の夜を繰り返し、数えきれないほど、まどかの死を見てきた。

 まどかを手にかけたことも数えきれない。




 私の目的はまどかを守る事。

 まどかが魔女になるのを防ぐ為、まどかを殺すたびに摩耗する。

 私の心は擦り切れる寸前だった。



『キュゥべえに騙される前のバカな私を助けてあげてくれないかな』

 繰り返すうちに増えたまどかとの約束目的は、未だに果たせないでいる。

 過去に戻った時点でまどかが契約している事もあれば、私がワルプルギスの夜と戦っている瞬間に契約する事もある。


『ずっと一緒に居てほしいな』

 そして、増えた約束。




 今回は、今までの路線、ミステリアスな雰囲気を演出して、まどかに近づくキュゥべえ狩りをするのは辞めよう。

 何度やってもキュゥべえがまどかにまとわり付くのなら、常に私もまどかの側に居て契約を思い留まらせよう。





 まどかの唇、柔らかかったな…。

 もう、私のまどかへの執着は、恋と区別がつかない。



 今度こそ、まどかを守りきる!



 決意を新たに、病室を後にする。



[27550] 第2話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/04 20:39
第2話



/ 1 side 鹿目まどか


「おはよ~」
 息を切らせて挨拶。


「おはようございます」

「まどかおそーい」

 また、私が最後…。
 親友のさやかちゃんと仁美ちゃんと待ち合わせして一緒に登校してるんだけど、いつも待たせちゃって悪いな…。

「お、可愛いリボン」
 腰に手を当ててリボンを見るさやかちゃん。

 よかった、気付いてもらえた!

「そ、そうかな? 派手すぎない?」

「とても素敵ですわ」
 仁美ちゃんに微笑みながら褒められて、笑顔が素敵だなって、思わず見とれる。








「今日ね、変な夢を見たんだ」

「どんな夢ですの?」
 仁美ちゃんに促され、夢の内容を口にする。



 笑いを堪えていたさやかちゃんが、吹き出し、お腹を押さえて言う。
「あははは、つまりまどかはその黒髪の子と変身して、でっかい歯車と戦ってたと?」

「まどかさん、そんな願望がありましたのね…」
 仁美ちゃん、そんな目で見ないで!

「そんなに笑わなくても…」

「まさか、まどかが文字通り中二病だったとは…」
 さやかちゃんは私の肩をバシバシ叩きながら続ける。

「オカルト雑誌の読者投稿コーナーで集った怪しげな会合で『私が前世で光の戦士だったまどかです』とか言っちゃうの? もうダメ! お腹痛いw」

 話すんじゃなかった…。










「でね、ラブレターでなく直に告白できなきゃダメだって」

 カバンでスカートの裾を隠し、ゆったりと歩く。
 さやかちゃんは時々スカート捲りをするから要注意なのです。

 ただでさえ短い制服のスカートというか、中学生の制服スカートをこんなに短くしたのは誰なんだろ?

「相変わらずまどかのママはカッコイイな~」
 振り向いてさやかちゃんを見る。

「美人だし、バリキャリだし」

 視線を前に戻すと、仁美ちゃんがクルリとターン。

「そんな風に、キッパリ割り切れたらいいんだけど…」

 仁美ちゃんは一挙手一投足が優雅で参考になる。

 とはいえ、マネしようとしてもうまくできないんだけど…。

「羨ましい悩みだね~」

「いいなー、私も一通くらいもらってみたいなー。ラブレター」
 頬に手を当て、眼を閉じて言う。

「ほ~、まどかも仁美みたいなモテモテな美少女に変身したいと?」
 ニヤニヤしながら私を見るさやかちゃん。

 目を細めたさやかちゃんは、リボンを指差してからかう。
「そこでリボンからイメチェンですかなー?」

「違うよー、これはママが」

「さては! ママからモテる秘訣を教わったな!」

 両手を顔の横で構えるさやかちゃん。

「けしからん!」

 さやかちゃんが躙り寄る。

「そんな破廉恥な子は~」

 え?

「こうだ!」

 咄嗟に逃げるも、背中から抱きつかれて、脇腹をくすぐられてしまう。

「イヤッ、ちょっと! 止めて!」

 今日のセクハラはこれなの?

「可愛いヤツめ~」

 くすぐりに弱い私は逃げる事もできず、されるがまま。

「でも男子にモテようだなんて許さんぞ~」

「仁美ちゃん! 見てないで助けて!」

「お二人の仲を裂くのは気後れしますので」

「まどかはあたしの嫁になるのだ~」

「どさくさに胸を揉まないでー!」

「え? 胸だったの? ゴメン気付かなかったわー」

 ヒドイ!










「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

 嘘!?

 夢で見た子!?

 しかも私の事見てるよ!

「暁美さんは、心臓の病気でずっと入院して…」
 暁美さんは早乙女先生が紹介しているのを無視して、私に駆け寄った。

「暁美ほむらです。お名前、教えて頂けるかしら?」

「えっと、鹿目まどか…です」

「そう…」
 あ然とする私の手を取ると、暁美さんはとんでもない事を口にした。

「鹿目さん、いえ、まどか…。
 一目惚れしたわ。付き合ってくれないかしら?」

 一瞬の静寂の後、教室は驚きの声に包まれた。



「突然そんな事言われても…」

 握られた手と、暁美さんの顔を交互に見ながらしどろもどろになっていると、仁美ちゃんが声をあげる。

「暁美さん、残念ですけど、まどかさんはさやかさんのお嫁さんに内定しているのですが…」

 何言ってるの!?

「何それ!?」
 さやかちゃんも驚いてるよ。

「今朝、まどかは私の嫁になるのだって、さやかさんが告白してたじゃありませんか」

「美樹さやか! まどかは渡さない!」
 あれ? どうしてさやかちゃんのフルネーム知ってるんだろ?

「いや、あれは冗談で…」

「でも、この間テレビで最近は冗談っぽく告白するのが流行ってるって言ってましたわ。
 なんでも、断られても冗談だって逃げてダメージを小さくするのが目的とか…」

「美樹と鹿目って、そ~いう関係だったわけ?」

「前から怪しいと思ってたよ。スキンシップ過剰だったし」

「やべえ、鹿目ハーレム始まった! 羨ましい!」

 え?

 クラスメイトにもそんな風に見られてたの?

「まどかさん、良かったですね」
 仁美ちゃんが訳の分からない事を言う。

「何が?」

「『ラブレターでなく直に告白できなきゃダメ』でしたっけ。
 禁断の愛とはいえ、さやかさんと暁美さんは、ちゃんとお母様の出した条件をクリアしてますわ」

 こうしてホームルームは混沌と化すのでした。









/ 2 side 暁美ほむら


「鹿目さん、いえ、まどか…。
 一目惚れしたわ。付き合ってくれないかしら?」

 どうせ、まどかを救えなければ次の時間軸へ向かうのだから、醜聞など気にならなかった。

 まどかと一緒の時間を増やす為、初球から直球でアタックする事にした。

 例え振られても、健気にアタックし続けるだけ。








「まどか、あなたがこのクラスの保健委員よね?
 保健室に連れてってもらえる?」

「う、うん」


 無言で廊下を歩く。

 休み時間の喧騒の中、私とまどかの靴音が響く。

「暁美、さん?」

「ほむらでいいわ」

「ほむら、ちゃん」

 まどかに名前を呼ばれる。

 それだけで嬉しい。

「何かしら?」

 声が弾んでるのバレてないかしら?

「どうして私、なのかな?」

 難しい質問ね…。

「迷子になると困るから、手を繋いでいいかしら?」

「え? う、うん…」

 恥ずかしがるまどか可愛い!

 手を触れると、一瞬ビクッとするも、まどかは手を握り返してくれた。

「なんて言えばいいかしら…」

 歩きながら考える。

 立ち止まり、まどかの手を私の左胸にあてる。

「ほむら、ちゃん?」

「まどかを見た瞬間から、ずっとドキドキしてるの」

 驚くまどかを抱きしめる。

「え?」

「一目惚れ、同性、そんなの関係ない。あなたへの想いに理由なんて…」

 まどかも抱きしめ返してくれた。

「返事、まだ聞いてない」

 これは脈があるのではないかと期待して聞いてみる。

「ホームルームの時は返事できなかったね」

 耳元で囁かれた言葉は…。

「ごめんなさい、まだ出会ったばかりだし、まずは友達からでいいかな?」

「かまわないわ。よろしく、まどか…」





 全面ガラス張りの見滝原町中学校。

 転校初日に女生徒に告白し、玉砕した女生徒の噂は即日広まった。



[27550] 第3話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/05 20:56
第3話



/ 1 side 暁美ほむら


 まどかが語った夢の内容は、私が前回経験した時間軸におけるワルプルギスの夜との戦いだった。
 やはり、今回もまどかは私が移動してきた時間軸のまどかの行動を夢として見ているようだ。
 幸い、まどかが心に深い傷を負ったところまでは夢で見なかったようだけど、それが良かったのかは分からない。
 もし、最後まで見ていれば、この時間軸のまどかはキュゥべえと契約しないですんだのだろうか?




「「あははは」」

 店内に美樹さやかと志筑仁美の笑い声が響く。周囲の客の視線が集まる。

「そんなに笑わなくても…」
 困り顔のまどかが可愛い。

 横顔とはいえ、こんなに間近でまどかを見つめられるなんて…。
 私にまどかの隣に座るよう勧めてくれた志筑仁美には感謝しなければ…。

「もう決まりだ。それ前世の因果だw」
 美樹さやかはツボにはまったのか、まどかが私と夢の中で逢ったという話に、体をくの字に曲げて笑っている。

「素敵ですわね…」
 志筑仁美は頬に手を添えて、おっとりとした雰囲気で、まどかと私に暖かい眼差しを送りながら言う。

「あんた達、時空を越えて巡り逢った運命の仲間なんだわw」

 ここは美樹さやかのネタにのっておこう。

「まどか…」

「なーに、ほむらちゃん」
 小首を傾げるまどか。

 テーブルに置かれたまどかの手に自身の手を重ねる。
「私たちは運命の赤い糸で結ばれていたのね…」

「~~~っ!」
 赤面するまどかを見つめていると、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

「いや~、ホントあんたたちお似合いだわw」

「あらあら、そんな事を言ってると、暁美さんにまどかさんを奪われてしまいますけどいいんですか?」
 いたずらっぽい笑みを浮かべる志筑仁美。

「あたしはノーマルだ! 転校生と一緒にするな!」
 立ち上がって講義する美樹さやか。

「でも、毎日まどかさんにセクハラしてますし、説得力ないですわよ」

「まどかにセクハラ!? なんて羨ましい!
 美樹さやか! あなたにまどかは渡さない!」

「羨ましいって…」
 まどかの視線が痛い。










/ 2 side 暁美ほむら


 習い事の用事があると言う志筑仁美と別れた私たちは、CDショップに寄る事になった。

 いつもなら、キュゥべえ狩りをしている時間。
 キュゥべえは今回の時間軸で、どのようにしてまどかに契約を持ちかけるのだろうか。





 視聴曲に合わせてリズムをとるまどかが可愛い。
 どうして私はデジタルムービーを持って来なかったのだろう。

『―――助けて』

 まどかがヘッドホンを外す。

『助けて、まどか!』

 周囲を見回すまどかに声をかける。
「どうしたの?」

『僕を、助けて!』

「助けを呼ぶ声が聞こえたの」

「気のせいじゃないかしら」

「でも、聞こえたの!」
 キュゥべえに導かれて改装中にフロアへ向かうまどかの後を追いかける。

 美樹さやかも置いてかれた事に気がついて着いて来ている。

「誰?」

 耳に手を添えて辺りを見回すまどか。

「誰なの?」

 改装中の真っ暗なフロアをおっかなびっくり歩くまどかが可愛い。

「どこにいるの?」





「なあ転校生、この頭に響くまどかに助けを求める声なんなのかな?」

「美樹さやか、どうして私の制服を掴んでるの?」

「う~、うるさい! どうだっていいでしょ、そんな事!」(///∇///)

「まどかだったら嬉しいのだけれど、あなたじゃ…」



 改装中のフロアはいつしか魔女の結界へと変貌する。

 なるほど、私がキュゥべえ狩りをしないと、いきなり魔女の結界に誘い込んで契約を迫るわけね。

 せっかく今までと違う出会いなのだから、できるだけ巴マミとも敵対しないようにしましょう。










/ 3 side 美樹さやか


「なんだ、これ?」
 呆然と呟く私を置いて、まどかの元へ駆け寄る転校生。

 まどかは白い小動物を抱えていた。

「この仔を助けなきゃ!」

 転校生は小動物を睨みつけている。

 まどかの胸に抱かれてるからって、そんな小動物に嫉妬するな!

「変だよここ、どんどん道が変わっていく…」

 周囲が次々に変化し、蝶の下半身を持つ毛玉のバケモノが私たちを取り囲む。

 転校生はまどかを守るように手を広げる。

「ああ、もうっ! どうなってんのさ!」

 恐怖を誤魔化す為、まどかを抱きしめる。

「美樹さやか、まどかを抱きしめるのは私の役目よ」

「こんな時に何言ってんだよ!」

 転校生は私ごとまどかを抱きしめる。

「安心しなさい。まどかは私が守るわ」

 不思議と、その言葉は私の不安を溶解させた。

 というか、私は守ってくれないのかよ!





「ええ!? ほむらちゃんが夢で見たのと同じ格好になった!?」

「まどか見た!? 今一瞬、転校生が裸になったよ!?」

 転校生はアニメやゲームのヒロインの制服のような格好になり、左腕には丸い盾を着けていた。

「そう、見たのね」
 転校生はほのかに頬を朱に染め、まどかを見つめる。

「乙女の柔肌を見たからには、まどかに責任をとってもらわないと…
 不束者ですが…」

「転校生、後ろっ!」
 転校生は軽やかにターンすると、どこから取り出したのか、拳銃でバケモノを撃ち抜く。

「すごい…」

「転校生、あんた何者? ここが何なのか知ってるの?」

 転校生はあたしの疑問を黙殺してバケモノを撃ち続ける。

 転校生はアクション映画の主人公のように動きまわって敵を倒すような派手さはないけれど、あたしとまどかに敵を近づけないよう、的確に一撃でバケモノを屠ってゆく。


 まどかの見た夢といい、会ったその日にこんな訳わかんない事に巻き込まれるなんて…。

 転校生のやつ、事情も説明しないなんてどういうつもりだ。




 多勢に無勢、転校生が倒した以上のバケモノが次々に現れる。

「転校生! これじゃキリがない。私にも武器を!」

「美樹さやか、私はロアナプラでも生き残れる腕がある。
 素人は私に守られてなさい!」

 言いながら弾倉を交換する転校生。

 その間も、バケモノはじりじりと距離を詰める。

 弾倉の交換を終え、再び転校生が拳銃を構えた瞬間、光が溢れ、私たちを囲んでいたバケモノが消滅する。



「あなたたち、危ないところだったわね」

 見滝原中の制服に身を包んだ、金髪を名古屋巻きにした美人が現れた。

 なにあの胸…。

 先生無茶よ!
 って言いたくなるくらい制服姿に、無理してる感がハンパ無い!

 なぜか卵型の宝石と鎖を持っている。

 手に持った卵型の宝石の周囲には花のエフェクトがかかってる。
 よくわからないけど、なんかスゴイ。
 あたしも欲しいけど、やっぱりあんなの持ってると水商売の女だと思われたりするのかな?

 鎖を持ってるし、女王様なのだろうか?

「あなた新人ね、そんな風にチマチマ撃ってたんじゃラチがあかないわよ」

 新人?

 まさか、転校生もこの歳で水商売?

 なわけないか…。

 転校生に声をかけたコスプレした風俗のお姉さんっぽい美人は、続いてあたしとまどかに声を掛ける。

「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。
 ありがとう。その子は私の大切な友達なの」

「私、呼ばれたんです。頭の中に、直接この仔の声が…」

「なるほどね…」
 謎の美女は、まどかの腕の中で眠る小動物を覗き込み、笑顔になる。

「その制服、あなたたちも見滝原中の生徒みたいね。2年生?」

 あなたたち『も』?
 この人も中学生?

「あの、あなたは?」
 まどかが質問するが、美女は謎のポーズを取る。

「そうそう、自己紹介しないとね」

 先輩?は媚びるようなポーズをとりながら言葉を続ける。

 っと、今気づいたけど、またバケモノがいっぱい来てる!?

「でも、そのまえに…、ちょっと一仕事片付けていいかしら」

 先輩?は小さくジャンプを繰り返す。女子中学生に媚びるような仕草を見せてどうするつもりなのさ?

 そして、転校生同様に一瞬裸になり、変身。

 パッドでも入ってるかと思ったけど、生乳だったよ。

 同じ中学生なのになんという格差…。

 いや、でもまどかや転校生の方がもっと絶望している事だろう。

 あたしの大きさは、年齢を考えれば普通だよね?



 変身した先輩?が跳ぶと、一面に銃が現れ、斉射!

 転校生が梃子摺った無数のバケモノを一瞬で倒してしまった。

「す、すごい…」
 まどかの呟きに反応する転校生。

「まどか、私もがんばったよ」

「ほむらちゃん、守ってくれてありがとう」

 まどかにお礼を言われて嬉しそうな転校生。
 なんだ、こんな顔もできるんだ…。



[27550] 第4話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/07 20:57
第4話



/ 1 side 暁美ほむら


 巴マミの治癒により、キュゥべえの傷が塞がる。

「おー」

「すごい…」

 まどかは純粋に治癒魔法に感心しているだけのようだけど、美樹さやかは食い入るように見つめている。

「これで大丈夫…」

 濡れた犬が水を弾き飛ばすように身震いすると、キュゥべえがつぶらな瞳を開ける。

「ありがとうマミ! おかげで助かったよ!」

「お礼ならこの子たちに言って。私じゃ間に合わなかったかもしれないもの…」
 私たちに手のひらを向けて言うマミ。

「うん、ありがとう、鹿目まどか! 美樹さやか! 暁美ほむら!」
 普段は感情の無い素のキュゥべえしか見ていないだけに、いかにもな魔法少女のマスコットを演じるキュゥべえをちょっと可愛いと思ってしまい、自己嫌悪。

「なんで名前知ってるの?」
 警戒心からか、まどかを守るように手を広げる美樹さやか。

「美樹さやか! さりげなく手の甲でまどかの胸に触れないで!」
 油断も隙もない。

「ちがっ! これはわざとじゃないから!」

「息を吸う様に自然にセクハラするなんて…。どうやら志筑仁美が言っていた、あなたが毎日まどかにセクハラするという話は本当みたいね」

「ふふ、あなたたちおもしろいのね」
 いつの間にか変身を解いていた巴マミが口元を手で隠して笑う。


「わたしたちこそ助かりました。あの、あなたは…?」
 胸元のリボンを弄りながら問い掛けるまどか。

「あ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私の名前は巴マミ」

 何故か、クルリと一回転してみせる巴マミ。スカートがふわりと翻る。美樹さやかの視線は何かが見えそうで見えない巴マミのフトモモに注がれている。

「あなたたちと同じ見滝原中の生徒よ」

 うん、もう変身解除していて、私たちと同じ制服だから、そこは言わなくても分かる。

「よろしくね!」

 このわざとらしさはなんだろう…。


「そしてこの子がキュゥべえ」

「僕、君たちにお願いがあって来たんだ!」
 まどかを見つめて口を閉じたまま話すキュゥべえ。

「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!」
 ちょこんと首を傾げ、長いフサフサの尻尾を揺らしながら言うキュゥべえ。
 その仕草は、最初の時間軸でまどかと一緒に可愛がっていた黒猫、エイミーを彷彿させる。
 色も、姿も、性格も、全く違うのに…、キュゥべえ媚び過ぎ!

 こうやって何人ものいたいけな少女たちを毒牙にかけてきたのね…。










 巴マミの家で魔法少女の詳しい話を聞事くになった。

 私たちは、無言で巴マミの後ろを歩く。

 巴マミの肩に乗ったキュゥべえの揺れる尻尾を見ながら、風穴を開けたい衝動と、抱きしめたい欲求と戦う。
 キュゥべえが媚びるとこんなに可愛いなんて…、詐欺にもほどがある。


『ねえ、キュゥべえ』

『なんだい、マミ?』

『キュゥべえが候補者に助けを求めて、私が偶然通りかかって助ける予定だったけど、一人魔法少女になってるって事は、タイミング遅かったかしら?』

 は?

 転校初日にまどかが契約していない場合、薔薇園の魔女の結界に迷い込むのは巴マミのせいだというの?

 私たちは立ち止まり、顔を見合わせる。

『ちょっと遅かったかもしれないね』

『そう…。暁美さんには悪いことしちゃったわね。ちゃんと願い事を考える時間も無かったでしょうし…』

『でもね、僕は暁美ほむらとは契約してないんだ』

「え!?」
 驚き、振り向いた巴マミは、私たちが立ち止まっているため、距離が離れている事に再び驚く。

「あの~、内緒話のつもりだったんでしょうけど…」

 呆れて途中で口を噤む美樹さやかの後を引き継ぐ。
「テレパシー、聞こえてたわよ」











/ 2 side 美樹さやか


 マミさんはマンションで一人暮らしをしていた。

 私たちはマミさんとキュゥべえに不信感を抱いていたけど、魔女や魔法少女の説明を受ける為に、招待を受ける事にした。

 部屋に通されると、紅茶とケーキが出された。初めからマミさんの部屋で説明をするつもりだったらしい。

 ケーキはシフォンとレアチーズを1ホールづつ手作りで用意していたあたり、私たちが巻き込まれたのはマミさんとキュゥべえの計画通りだった事が分かってドン引きした。





「これはソウルジェム。魔法少女の魔力の源よ」

 うわぁ…、キレイ…。

 お水のアイテムじゃなかったんだ…。

「キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石なの」

「僕との契約によってソウルジェムを手にした者は、魔女と戦う運命が課されるんだ」

 キュゥべえは猫のような口を開かずに喋っている。どうなってるんだろ?

「でも、その代わりに一つだけ、どんな願いでも叶えてあげる!」

「何でも!?」

 さっきみたいな演出をする胡散臭いヤツだけど、マミさんが魔法を使ってたのは事実だ。
 キュゥべえの傷が塞がるところをこの目で見たし…。

 転校生は銃しか使ってないから、自由業の親分の娘が護身用で持っていた武器を使っただけで、魔法少女じゃないかもしれない。
 じゃあ、なんで一瞬裸になって変身したんだ? 露出狂? まどかに生まれたままの姿を見せたかった?

「何でもって、金銀財宝に不老不死、満漢全席にあんな事も!?」

「食べ物につられるって…」
 転校生、じと目で見るな!

「さやかちゃん…」
 うわっ、まどかまでじと目で見なくても…。

「で、魔女って?」
 続きを促して誤魔化す。

「マミのような魔法少女が希望を振りまく存在ならば、魔女は反対に絶望を撒き散らす存在なんだ」

 本当にキュゥべえはどうやって喋ってるんだ?

 可愛いのに不気味だな。

「よくある理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いによるものなの…」
 マミさんが説明を引き継ぐ。

「魔女は常に、あなたたちが迷い込んだ結界に身を隠してる」

「迷い込んだのではなく、貴女の計画でキュゥべえに誘き寄せられたのだけど…」

「そうだね…」
 おおう、まどかと転校生のじと目が私からマミさんにw

 マミさんは冷や汗を掻きながら続ける。

「私が助けに来なければ…、あの場所から生きて帰れなかったと思うわ」

「おいっ!」

 私のツッコミにビクッと体を震わせるマミさん。

「命懸けだから、あなたたちも契約するかどうかは慎重に選んだ方がいいわ」

 あ、そのまま続けるんだ…。

 この人、けっこーイイ性格してるな…。



[27550] 第5話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/14 23:56
第5話



/ 1 side 美樹さやか


「夜も更けてきたし、今日はここまでにしましょうか」

 巴マミの部屋を辞したあたし達は、転校生の家にお邪魔する事になった。



『巴マミとキュゥべえは魔法少女になる事の利点のみしか説明していないわ』

 転校生の言葉は無視できるものではなかった。

 恭介の手を治すのを願い、ほいほい契約するつもりになっていたあたしは聞いておかなければならない。











「これが転校生の家?」

「そうよ」
 涼しい声で肯定する転校生。

「あはは、なんか…、デラ富樫が泊まったホテルにそっくりだね…」

 まどかの家もガラス張りでアレだけど、転校生の家も相当アレだった。

「本当に、劇中の守加護すかごに来ちゃったかと思ったよ…」

「両親があの映画のファンで、できるだけ似せるよう依頼した注文住宅なの」

「すごーい!」
 まどかは手を合わせ、ただ純粋に感動しているようだ。あんた、目が輝いてるよw

「転校生の家ってさ…、もしかして、門司まで聖地巡礼に行く時間の取れないファンの代替巡礼スポットになってたりしない?」

「よく分かったわね」

 冗談だったのに、本当にそんな事になってんのかよ!

「時々、知らない人がホテルと間違えて勝手に入ってくる事もあるわ」
 深く吐息する転校生。

 転校生も苦労してんだな…。

 1階がガラス張りの家に住んでいるプライバシーの低いまどかといい、やっぱ普通の家が一番だよな…。





 室内の再現率もすごかった。

「うわっ、カウンターまであるのかよ!」

 自宅なのに外見だけでなく中まで再現するって、どんだけあの映画が好きなんだよ!

「本格的だね」
 興味津々に辺りを見るまどか。

「座って待っててちょうだい」
 一声かけてカウンターの中に入る転校生。あ、村田大樹のサイン色紙が飾ってある…。

「うわっ、こんなとこまで再現してるのかよ!」

「さやかちゃん、どうしたの?」
 無言で色紙を指し示すと、口を開けてぽかーんとするまどか。さすがに呆れたか?

「わけがわからないよ」
 ついに不思議生物にまで言われる転校生の家w

 苦笑しながらテーブルに飲み物を置くと、転校生はまどかの隣に腰掛けた。

「さて、何から話そうかしら…」











/ 2 side 美樹さやか


「ひどい、こんなのってないよ…」
 ぽろぽろと涙を零すまどか。優しすぎるまどかにとって、魔法少女の真実はショックだったのだろう。

「キュゥべえ、今の話って本当なの?」

「ああ、本当さ」
 あっさり認めるキュゥべえ。

「まどか…。決して魔法少女にならないと約束して」
 まどかを優しく抱きしめる転校生。まどかは声にならないのか、ただただ転校生を抱きしめ返す。

「マミさん、こんな重要なことを隠して魔法少女になるのを勧めるってどういうつもりなのかな」

 胡散臭いとは思ってたけど、ゾンビみたいに仲間を増やしたいとかじゃないだろうな…。

「マミは知らないよ。君たちは事実を伝えると決まって同じ反応をする」

 一切表情を変える事なく、キュゥべえは続ける。

「―――マミさんを騙したの?」
 震える声で問うまどか。

「一つだけなんでも願いを叶える代わりに魔法少女になって欲しい。そう言って契約してるのだから、騙してなんかないさ。
 魔法少女がどういったものか説明を省いたけれど、嘘は言ってない」

 キュゥべえは平皿のミルクをひと舐めし、続ける。
 転校生のヤツ全部知ってたのに、なんだってこんな外道までもてなすんだ…。

「どうして人間は魂の在処にそんなに拘るんだい? わけがわからないよ」

 ああ、コイツは本当に私たち人間をなんとも思ってないんだ…。

「それより、僕としては契約した覚えのない暁美ほむらがどうやって魔法少女になったのか知りたいね。
 契約時に説明しないはずの真実を知っていた事も含めてね」

 口の周りについたミルクをベロで舐め取るキュゥべえ。
 ふさふさの毛並みといい、いちち媚びる動作といい、あたしも騙されるところだったじゃないか!

「あら、契約前に全部説明したインキュベーターは、あなたたちの中でも変わり者だったという事かしら?」

「外見はあなたとそっくりだったわよ」と語る転校生。まどかを抱きしめたままヘブン状態になっている様は、まどか本人には見せられない。

 なんというか、出逢ったその日にここまで好きになれるってスゴイ。

「僕たちインキュベーターは記憶を共有しているから、契約した事を知らないはずないんだけどね…」

 首を傾げるキュゥべえ。

「うーん、君が契約したのはジュゥべえなのかな、それともハチべえかな…?
 ハチべえはうっかりしてるから、契約した魔法少女の情報を共有し忘れたり、うっかり魔法少女がどういうものか全部説明するのもありえるね」

 うっかり説明を忘れるなら分かるけど…。
 分かるといっても、キュゥべえのしている事は納得できない。

 キュゥべえたちが人間をなんとも思ってない事を再確認させられる。










/ 3 side 暁美ほむら


「ほむらちゃんは、本当のことを聞いたのに、どうして魔法少女になったの?」
 さっきまで私の胸の中ですすり泣きしていたまどかの質問。今でも私の腕の中にいるまどかは目もほっぺも真っ赤。

 まどかに嘘を吐くのはつらい。

「私、先日まで心臓の病気で入院していたの」

「あ…」
 眼を閉じて、私を強く抱きしめるまどか。

 あー、もう!

 このまま、ずっとまどかをぎゅっと抱きしめて離したくない!


「そっか…、魔法少女の真実を知ったうえで契約したって事は、移植が必要だったり、不治の病だったりしたんだね…」
 勝手に勘違いする美樹さやか。

「日本じゃ移植の順番待ちも厳しいし、海外で移植手術を受けるのも大変だもんね…」
 あれ? 美樹さやかがうっすらと涙をたたえ、瞳が潤んでる。

「ほむらちゃん…」

「転校生…」

 まどかと美樹さやかに抱きしめられ、薄幸だと勘違いされて心苦しい。

 なんだか、もう本当の事が言える雰囲気じゃない。

 ちゃんと完治して退院したなんてもう言えない…。











/ 4 side 美樹さやか


 うぅ、転校生…。

『両親があの映画のファンで、できるだけ似せるよう依頼した注文住宅なの』

 こんな家建てるお金あはあっても、娘の治療費は出さない親だなんて…。

 そりゃ転校生も魔法少女になるよね。

 だめだ、涙が溢れてくる…。

 あたしは、かわいそうな転校生を抱きしめてあげる事しかできなかった









あとがき

 ほむほむが主役のはずなのに、なぜかさやかのターンが多い罠。



[27550] 第6話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/14 23:56
第6話



/ 1 side 鹿目まどか


「まどか、朝帰りとはやるね~」
 歯磨き中にママにからかわれる。

「先輩の家にお呼ばれされちゃって…」
 歯を磨きながら説明する。

「その後、ついつい友達の家を梯子しちゃって…」

 ママは手慣れたメイクでどんどんキレイになっていく。改めて考えたら、女の人って魔法なんてなくても変身してるんだ…。

「門限とか、うるさい事は言わないけどさ、晩飯の前には一報入れなよ」

「はーい」
 ぶっきらぼうな言い方だけど、心配してくれて嬉しい。
 家族を養う世の中の父親は仕事ばかりで家族を見ないなんて言われてるけど、ママはちゃんと私を見てくれる。ほむらちゃんの事を知って、こんなあたりまえの事が幸せなんだって…。

「そーいやさ、和子から聞いたんだけど、昨日告白されたんだって?」

 突然の事で口の中の泡を飲み込んじゃった。

「うえぇ~、けほっ、けほっ…」

「ありゃりゃ、大丈夫かー?」
 背中をさすってくれるのは助かるけど…。

「ママ、歯磨きしてる時に変なこと言わないでよ」

「ごめんごめん」
 ママは苦笑交じりに謝ると、とんでもない事を口にした。

「だってさー、昨日、和子が朝からすごいテンションで電話してきたんだよ。
『詢子! まどかちゃんが女の子に告白されたわよ!』ってな」

「えー、早乙女先生…。どうして教えちゃうかなー」

「その後、さやかちゃんとほむらちゃんがまどかを奪い合うあたり、まちがいなく私の娘だって感心してたぞー」

「ママ、訳が分からないよ」
 早乙女先生、なんでそんな事まで話してるの?

「私も昔は『お姉さま』って慕われてたもんさ。和子とは中学時代から今でもそ~いう関係だしな」

「―――ッ!?」
 ママのとんでもない発言でうがい中の水を噴出する。
 うわ、鏡が…。

「あれ? 言ってなかったっけ?」

 ママが両刀だなんて話知りたく無かったよ!

 しかも早乙女先生とそ~いう関係だったって…。

 どうりで早乙女先生の私を見る目が時々変だなって思ってたら…。

「和子も親に早く孫の顔を見せろって言われてプレッシャー掛かってるから、偽装結婚しなきゃってがんばってるんだよな」

「ぎ、偽装? 相手の男の人がかわいそうだよ」

 メイクを終え、鏡を前に髪を掻きあげてポーズをとりながらママは続ける。
「きっと、和子も本気じゃないから長続きしないんだよ」

 そういう問題なの?

「ねえ、パパは知ってるの?」
 不安になったので、小声で訪ねてみる。

「知ってるよ。パパは主夫として家の事を一手に引き受けてくれるだけでなく、子育てもしっかりしてくれてる。和子との関係まで許してくれて、ほんと感謝してもしきれないね…」

「えー? ママの性癖、受け入れてるの?」

「パパは心が広いし、今でもラブラブだし~」





「今朝のごはんはパパとほむらちゃんの合作だよ」
 パパとほむらちゃんがテーブルにお皿を並べる。おそろいのエプロンを着ける二人はまるで歳の差カップルみたい。

「オムレツはほむらちゃんが、トマトソースはパパが作ったんだよ」

 オムレツはほむらちゃんが冷蔵庫の中身を適当に見繕って作ったもので、オムレツにかけてあるトマトソースはパパが家庭菜園で育てたトマトを使って作ったものだって説明があった。

「お、こんな短時間ですごいね。いただきまーす」
 早速、パパとほむらちゃんの合作料理、オムレツを口に運ぶママ。

「ん!? おいしー!」

「ありがとうございます」
 ほむらちゃんは褒められて照れているのか、頬をほんのりと朱に染める。

「ほむらちゃん、可愛い…」
 無意識のうちに口に出ていた。



 (///∇///)   (///∇///)



 エプロンを掴んで恥ずかしがるほむらちゃん。

「えっと、違うの!? でなくて、違わないというか、あーもう!
 なんで私女の子相手にドキドキしてるの!?」

 顔だけでなく耳まで真っ赤になったほむらちゃんと見つめ合う。

 何か言わなきゃ!

「あー! まっか! まっかー!」
 タツヤがフォークを振り回しながら嬉しそうな声をあげる。

「うんうん、真っ赤だねー」

「まどか、あんた間違いなく私の娘だわ。いや~血は争えないね」



 落ち着いたところで、オムレツをフォークで口に運ぶ。

「ええっと、あんまりじーっと見られると緊張しちゃうよ」

「ごめんなさい。でも、食べてもらうのって少し緊張して…」

「「あはは…」」
 軽く笑い合い、オムレツを食べる。ほむらちゃんは私が食べるのを見つめている。

「初々しくていいな。私もパパとも和子とも、こんな空間を作れた時代があったんだよなー」

 オムレツの中にはモッツァレラチーズが入っていた。

「おいしい!」

「そう言ってもらえると作った甲斐があるわ」
 口元をほころばせたほむらちゃんは、マグカップを口元に運んで笑みを隠す。

「すごいなー、私なんてふんわりしたオムレツなんて作れないよ。何度やっても崩れちゃうし」

「パパはね、昔から親子で料理をするのが夢だったんだ。未来の義娘と夢を叶える事ができて嬉しいよ」

 パパがさらっと変なことを言った?

 その後、ほむらちゃんが私の家に住む事をパパとママから伝えられた。
 なんでも、私が告白されたのを聞いた後、ママが早乙女先生にほむらちゃんの情報を教えてもらっていたらしい。
 転校の手続きはほむらちゃん本人が行い、心臓の病気を患っていたにも関わらず、両親は一度も学校に相談に来なかった事を聞いていて、私が会ったその日にお泊りするほど信頼しているのが決め手になったという話だった。











/ 2 side 暁美ほむら


 待ち合わせ場所で美樹さやかと志筑仁美と合流する。

「おはよー!」

「おはよう」

 優雅に振り返る志筑仁美。
「おはようございます」

「おは…」
 美樹さやかは振り返りながら挨拶をし、まどかの肩に乗るキュゥべえを見て固まった。

『おはよう、さやか。と言っても、早朝に別れたばかりだけどね』
 テレパシーでさやかに挨拶するキュゥべえ。ああ、魔法少女のマスコットをしてるキュゥべえ可愛い。でも殺したい!
『戻って』から一度もキュゥべえを殺さないのは初めてで、禁断症状がでそう。
 キュゥべえを愛でたい衝動と、殺したい衝動。どうにかなりそう。
 とりあえずまどかと手を繋いで落ち着こう。

「どうしましたか、さやかさん?」
 心配そうに美樹さやかの顔を覗き込む志筑仁美。

「やっぱそいつ、あたし達にしか見えないんだ?」
 私とまどこに小声で囁く美樹さやか。

「そうよ」

「あの?」

 怪訝な表情を浮かべる志筑仁美の肩を抱いて歩き始める美樹さやか。

「あー、いやぁ。なんでもないから! 行こう! 行こー!」

『頭で考えるだけで、会話とかできるみたいだよ』
 まどかのテレパシーに、ビクッと大きく震える美樹さやか。

『ええ? あたし達、もう既にそんなマジカルな力が!?』
 さやかの心の声が恐怖に染まる。

『いやいや、今はまだ僕が間で中継してるだけ。でも、内緒話には便利でしょ』

『良かった…。寝てる間に魔法少女させられたかと心配したよ…』

『僕は本人の同意も無しにそんな事しないよ』

『良かったー!』

 美樹さやかの百面相はおもしろい。

『ほむら! なんで笑ってるんだよ!』

「皆さん、さっきからどうしたんです? 頻りに目配せしてますけど…」

 何故かバッグを降ろす志筑仁美。

「いや、これは、あの、その…」
 口ごもるまどか。

 美樹さやかはあらぬ方向を見て誤魔化す。

「まさか、三人…。既に目と目で分かり合う間柄ですの?」
 身悶えする志筑仁美。

「まあっ! たった一日でそこまで急接近だなんて!? 昨日はあの後、一体何が!?」
 激しいボディランゲージを交えて捲くし立てる志筑仁美。

「そりゃねえわ、さすがに…」
 素で引く美樹さやか。

「そうね」
 美樹さやかとそんな関係だと勘違いされるのはイヤね。

「確かに色々、あったんだけどさ…」

「ほむらの家で3人でお泊りしたし…」

「今朝はまどかのご両親に挨拶してきたわ」

「お泊り!? しかも昨日は転校生と呼んでいたさやかさんが、暁美さんを名前で呼ぶなんて!?」
 自分自身を抱きしめて身悶える志筑仁美。テンションあがりすぎて顔が紅潮している。

「というか、まどかの両親に挨拶ってなんだよ? あ、なんでまどかと手を繋いでるんだ!?」

 私をまどかの繋いだ手を引き離そうとする美樹さやか。
「美樹さやか、あなたに私とまどかの関係をとやかく言われる筋合いは無いわ」

「なにをー!?」

 互いに頬を引っ張りあうのに夢中になってしまい、周囲の音が耳に入らなくなる。


「ああ! まどかさんを奪い合う二人! まどかさん、本当にハーレムを…」

「ち、違うよ!」

「さっき、さりげなく志筑仁美の肩を抱いていたのは、セクハラターゲットをまどかから志筑仁美に変更したという事では無かったの?」

「でも、いけませんわ! 女の子同士で! それは禁断の愛の形ですのよ―――!」



 私と美樹さやかは往来で正座させられた。

「あの、二人とも?
 仁美ちゃんに誤解されたんだけど…」









あとがき

 次回、ようやく薔薇園の魔女。



[27550] 第7話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/16 00:11
第7話



/ 1 side 美樹さやか



 いつものショッピングセンターの、いつものフードコート。

 でも、お喋りするメンバーはいつもと違う。まどかはいつも通り一緒だけど。仁美が居なくて、昨日友達になったほむらと、昨日知り合ったマミさんと、不思議小動物のキュゥべえがいる。

 マミさんとキュゥべえはあまり信用してないが、ほむらは悪いヤツじゃない。かわいそうな家庭環境で、あたしが面倒見てあげたくなる。
 昨日は思わず同情して抱きしめちゃったし、家族の温もりにはほど遠いだろうけど、ベッドで3人、川の字で寝た。
 ほむらを真ん中にして、あたしとまどかで抱きしめてたんだけど、ほむらは緊張してたのか、まどかが寝息を立ててもずっと起きてた。
 ほむらのヤツ、澄ました顔であんまり表情を変えないのに、あんなに赤面しちゃって…。思わず見とれちゃったじゃないか。





 一口飲むと、カップを置いてテーブルに肘を着いてポーズを取るマミさん。トレードマークの名古屋巻きが揺れる。これってセット大変そうだよなー。
 ストレートパーマしてもすぐもとに戻っちゃう人もいれば、1ヶ月から半年も持つ人もいるけど、名古屋巻きって、あのドリルはどれくらい持つんだろ?
 毎日髪の手入れをすると、すぐダメになりそうなイメージがあるんだよなー。それともソバージュみたいに洗っちゃいけないなんて事ないよね?

「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、はりきって行ってみましょうか」
 ニコニコ上機嫌のマミさんが歌うように言う。何がそんなに嬉しいんだろ?
 体験コースも何も、既にほむらの話を聞いてあんまり契約する気ないんだよな…。
 でもまあ、目の前に魔女に殺されそうになってる人がいて、対処できるのがあたししかいないなら、その場の勢いで魔法少女になっちゃう可能性もあるかもしれないんだよなー。
 もう、その状態になってる時点であたしも魔女の結界に取り込まれてるんだろうし。

「準備はいい?」

「準備になってるかどうか分からないけど…」
 まあ、せっかく見滝原町の平和を守る為にやる気になってるのを水差すのもアレだし、ノリノリでいってみよー!

 布を巻いた得物をテーブルに叩きつけて言う。
「持ってきました!」

 視線が集まったところで、布を翻しながら外し、金属バットを露にしてホームラン宣言!

「今日の私ならジェダイ評議会の長だってホームランにできる!」



 ―――天使が通った。



 なんか微妙な空気になったので、「何も無いよりマシかと思って…」と呟きながら座る。

「まあ、そういう覚悟でいてくれるなら助かるわ」
 口元を隠しながらなんとか声を絞り出すマミさん。微かに震えてるんだけど、反応が薄くて困る。
 まどかとほむらはあたしを見ながらポカーンとしてるよ。

「美樹さやか、周囲の客が慌てて出て行くわよ」
 ほむらに言われて周囲を見渡すと、さっきまで談笑してた客がまばらになってるうえ、カウンターで店員がひそひそ話してる。

 空気が重い。

「まどかは何か持ってきた~?」
 とりあえずまどかに話を振ってみる。

「え? えっと…」
 まどかは一瞬驚いた顔をするも、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに笑みを浮かべてカバンに手を伸ばす。

「私は…、こんなの考えてみたんだ」

 まどかが取り出したのは英語のノート。

 中には変身後の衣装案。

「フフフ…」
 口元を隠して笑うマミさん。

「あははは…」
 あたしは我慢できなくて大口開けて笑っちゃった。

「まどか? 魔法少女には成らないで」
 ほむらは、まどかを見つめたまま真剣に言う。

 あ、ほむらのヤツ、いつの間にかまどかに手を重ねてるじゃないか。

「あ、ほむらちゃん。心配させてごめんなさい」

 まどかはほむらが重ねた手に、さらに手を重ねる。

「あのね、授業中暇だったから…。落描きついでに、もし自分が変身したらどんな衣装になるのかなって想像して…」

 まあ、確かに落描きだ。まどかだけでなく、ほむらとマミさんの変身後の姿も描いてあるし。

「まどかが魔法少女になるつもりが無いならそれでいいの」
 ほむらはまどかに頬擦りする。まどかはくすぐったそうだけど、嫌がる素振りは無い。

 なんだこれ?

 本当にまどかはほむらを受け入れてる?

 いや、待て!

 私のセクハラだって…、あれ? 昨日のくすぐりは逃げてたよね?

 ああ、でも魔女の結界内で胸を触っちゃったのは嫌がってなかったよね?

 というか、なんでこんな事考えてるんだ!?

 あたしには恭介がいるじゃないか!

 いや、恭介はただの幼なじみでまだ恋人じゃないけど…。

「こりゃ参った、あんたらのラブラブ空間には負けるわ」
 とりあえず、二人を冷やかしてもやもやした気分を無理やり中断。

「まどかさん、魔法少女になるつもりないの?」

「そうだよ! せっかくなんでも願いが叶うチャンスなのに、勿体無い」

 怪訝な表情を浮かべるマミさんと、モキュモキュと口の中でポテトを咀嚼したままなのに、それを感じさせずに喋るキュゥべえ。本当にキュゥべえはどうなってんだ? まあ、クチャラーは嫌いだから、咀嚼してても不快にさせずに喋るキュゥべえは助かる。というか、口を開けて喋ってるとこ見たことないぞ。これが宇宙の神秘か…。

 というか、ほむらのヤツ、自分のポテトを全部キュゥべえに食べさせたからって、あたしのポテト与えるな!
 でも、今こんな事言うと空気読めないとか言われるんだろうな…。納得いかない!
 でも、ポテトを食べるキュゥべえ可愛いなー。ほむらが餌を与える気持ちも分からなくもない。
 この人間をなんとも思ってない小動物も、マスコットしてる時は可愛いんだよなー。
 いや、マスコットというより、ただのペット? ペットと話せたらなんて思ったことあるけど、そういった意味じゃキュゥべえは理想のペットだよなー。契約を持ちかけてこなければ…。

「え、だって…」
 口ごもるまどか。きっと、本当の事を知らないマミさんに魔法少女になりたくない理由を言うのを躊躇っているんだろうな。

「まどかが魔法少女になったら、私がまどかを守る王子様役になれないもの」
 そう言うと、ほむらは、まどかの頬を優しく撫でる。

「ほむらちゃん…」

 何この今にもキスしそうな雰囲気!?

「あー。もしかして…」
 カップを両手で持って、ストローに視線を落としながら言い辛そうに、続きを口にするマミさん。

「昨日、女子生徒が女子生徒に告白したって噂…、もしかして…」

 赤面して黙りこむまどかとは対照的に、まどかの髪を手櫛で梳きながら、ほむらが言う。
「ええ、私よ」

「あー、どうりで妙にべたべたしてると…」
 マミさん、視線が泳いでるよw

「さて、準備も整ったし、魔法少女体験ツアーに行きましょうか」
 この雰囲気に耐えられなくなったマミさんが席を立つ。

「まだよ」

 疑問を浮かべるマミさんに、ほむらが指摘する。

「まだ巴マミと私の戦闘スタイルの確認と、どのように魔女と戦うか確認してないわ」

「そうだったわね」
 マミさんが席に着くと、ほむらが続きを口にする。

「そして、一番大事なのが、まどかをどうやって守るかよ」

「あたしは? ねえ、あたしは?」

「安心しなさい、美樹さやか。ついでに貴方も守ってあげるわ」

「あたしはついでかよ!」

 あたしはまだフルネームなのか…。










あとがき

 次は薔薇園の魔女との戦闘だと言ったが、あれは嘘だ(ぇ?

 このシーンはさらっと流すつもりが、長くなってしまった罠。



[27550] 第8話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/18 23:41
第8話



/ 1 side 暁美ほむら


「私の戦闘スタイルは、マスケット銃の射撃を基本として、マスケット銃を鈍器にしての格闘戦ね。
 魔女を倒す時には大砲を使うわ」

「た、大砲!?」
 まどかが驚いて仰け反る。

「お~! 昨日のマスケットの斉射もすごかったけど、大砲まで…」

 美樹さやかがテーブルに手を着き、身を乗り出して問う。

「で、どのへんが魔法なんですか?」

「銃も大砲も魔法で作り出してるの」

「はぁ~、魔法で武器を作り出すんですか…。
 なんか、こう…、いかにも魔法少女的な何かは無いんですか?」

 身振り手振りを交えながら抽象的な表現を繰り返す美樹さやか。

 あ、美樹さやかのポテトが無くなった…。

 手付かずだったサンドイッチをキュゥべえの口元に差し出すと、キュゥべえは嬉しそうに目を細めてサンドイッチを噛じる。

 巴マミに迫る美樹さやかを横目に、まどかと共に、口いっぱい頬張るキュゥべえを眺めて、同じタイミングで視線を絡めて笑顔になる。

「美樹さん、落ち着いて」

 美樹さやかは、理想の魔法少女像とのかけ離れた現実を認めたくないのか、巴マミに次々と質問をぶつける。

「あ、これなら美樹さんも満足してくれるかしら?
 リボンで拘束したり、斬ったりできるわ! それに治癒魔法! 治癒魔法もできるのよ!」

治癒魔法!?

 美樹さやかは巴マミの手を取り、顔を近づける。

「そういえば、昨日キュゥべえを治療してましたね!」

 美樹さやかはさらに身を乗り出し、巴マミとの顔の距離はほんの数センチ。ここで美樹さやかを押したら面白い事になりそうね。

「ええ…」
 巴マミは引いている。

「あのっ! それって、怪我で動かなくなった手も治せたりしますか?」

 なるほど、毎回美樹さやかが魔法少女になる『祈り』について聞きたいのね。

「私自身とキュゥべえなら治せるわ」

 そうよね。

 そんなものよね。

「なーんだ…」

 脱力し、ぐったりと椅子にもたれ掛かる美樹さやか。

「美樹さんは誰か、怪我を治したい相手がいるの?」

「もしかして、上条くん?」

「いや、ただ聞いてみただけ…」
 巴マミとまどかの問いに、美樹さやかは天井を見つめたまま力なく答える。










/ 2 side 美樹さやか


「私は主に銃火器を使って戦うわ」

「ほむらも銃かよ!」

 昨日、見てたけどさ、他にも魔法少女らしい何かがあってもいいだろうに…。

「まったく、魔法少女ってーのは飛び道具しか使わないのかよ!」

「他には、ゴルフクラブも持ってるわ」

「ゴルフクラブ?」
 マミさんは不思議な表情を浮かべている。

「ええ、ゴルフ用品店で売っていた中古で、1本で千円の安物だけど…」

「それが格闘戦の武器? 魔法で武器を作ったりしないの?」

 マミさんは質問した直後、合点がいったのか、手を打って続ける。

「暁美さん、魔法少女になったばかりだから、武器の作り方がよく分からないのね?
 安心して、先輩として手取り足取り丁寧に教えてあげるわ」

 にこりと微笑むマミさん。

「いえ…」
 ほむらが何か言いかけるけど、マミさんは遮って続ける。

「まず、魔法で武器を作る時なんだけど、しっかりとイメージすれば、何種類も、いくつでも作れるの。
 だから、弾が尽きても新しい武器を召喚すれば、あっ、召喚っていうのは武器を魔法で創りだす事を言うの。
 弾が尽きても次々と新しい武器を召喚すれば隙を少なくして戦えるでしょう?」

「あの、だから…」

「いちいち弾倉を召喚して再装填するなんて、隙が大きいわよ」

 隙が大きいって…。

 じゃーなんでマミさんは単発のマスケットなんて使ってるんだよ…。

「それから、暁美さんの拳銃は薬莢の排出や硝煙の匂いまで再現してたけど、そこまで再現すると魔力の消費がもったいないから、もっと簡略化してもいいと思うの」




 マミさんの魔法少女講座は、30分も続いた。



「講義、ありがとう」

 ほむらは疲れた表情で搾り出すように口にする。

「やっと終わったー」
 あたしもテーブルに突っ伏す。

「長かったねー」

 まどかはキュゥべえの耳?を引っ張って遊んでいる。
 それを見たほむらもキュゥべえの耳を引っ張る。

『ちょ、何をするんだい?』

 キュゥべえの抗議を無視し、あたしは尻尾に手を伸ばす。

「それで、暁美さん。武器のイメージは固まったかしら?」
 カウンターで人数分の新しい飲み物を買ってきたマミさんが、カップを配りながら言う。

「あ、どうも…」

「ありがとうございます」

「ありがとう」

 ほむらはお礼を言うと、とても言い辛そうに語る。

「さっき何度も言おうとしたのだけれど、私は武器を作れないの」

「え?」
 ぽかんと口を開けて固まるマミさん。

「私は入院生活が長かったせいか、あまり物を持てなかったの。個室とはいえ、病室にたくさん私物を持ち込むと看護師さんに注意されるから…。
 それで、武器を作り出す事ができない代わりに、盾経由で亜空間に武器を収納する事ができるの」

「えっと…、つまり、ほむらの武器は本物?」

「そうよ」

 現実の銃火器で武装したほむら。

 お前のような魔法少女がいるか!

 こう、魔法少女っていうのは、夢と希望を…。

 だめだ、ほむらもマミさんもイメージがかけ離れすぎてる。

「ほむらちゃんって、なんだか未来の道具を持ってないドラえもんみたいだね」

 悪意の無いまどかの一言に、ほむらはがっくりと肩を落とす。

 人の話を聞かないマミさんも暗い表情をしている。

 こんなんで魔女退治できるの?










 マミさんのテンションは魔女の口付けの説明をしているうちにもとに戻りました。

 ほむらは、まどかと手を繋いで歩いてるうちにテンションがあがりました。

 まどかは遠足気分のようです。




 このメンバーで本当に大丈夫なのかな?












あとがき

 次回、ようやく薔薇園の魔女。

 あれ?

 最近同じ事を言ったような気がする。



[27550] 第9話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/21 23:44
第9話



/ 1 side 美樹さやか


「この人は?」

 魔女の口づけを受けたOLを横たえると、毅然とした表情で立ち上がるマミさん。

「大丈夫。気を失っているだけ」

 ノリノリのマミさんは、まどかの質問を黙殺して駆け出す。

「行くわよ!」

 まどかが聞きたかったのはそういう事じゃないと思うんだけどな……。





 飛び降りたOLを助ける為に変身したマミさんは格好良かった。

 突然の出来事なのに、咄嗟にリボンでOLを受け止める姿は、まさに魔法少女だった。

 そりゃあ、少しは憧れたよ。

 でも、魔女の口づけの説明で、このOLは魔女に生命力を吸い上げられ、操られて自殺するところだったって言っておきながら、気を失っているのを放置するなんて、何を考えてるんだ?

 しかも、説明してるうちにどんどんテンションがあがって、ノリノリで駆け出す。

 私たちが着いて行ってないのに気が付かないあたり、完全に自分の世界に入ってるよ……。



「ほむらちゃん……」

「この人は目が覚めたら、魔女に操られてまた自殺させられるわ」

「どうすればいいのかな?」

 不安な表情でOLを介抱するまどかと、まどかのうなじを熱い視線で見つめるほむら。

 うーん、まどかのうなじが妙に色っぽい。まどかの魅力を見つけるの上手いなー。さすがほむら。
 次に恭介のお見舞いに行ったら、うなじが見えるように意識しながらりんごを剥いてみよう。もちろんウサギの形にカットして可愛さアピールだ!
 あ、うなじだったら、和服の方がいいかな?
 あー、でも、突然和服でお見舞いに行ったりしたら変に思われるかな……。

「ほむら、ちゃん?」

「これでこの人は安全よ」

「確かにこれなら自殺はできないけど…。これはどうかと思うなー」

 まどかの戸惑う声で、自分の世界から引き戻される。

「って、オイ! なんで手錠で拘束してるんだよ!?」

 OLは手錠で後ろ手に両手を拘束するだけでなく、左足首にも手錠をつけたまま膝を折り曲げて、もう片方の輪を左手首に拘束し、どうやっても自力で動けないようにされて転がされていた。
 手錠がはまるって、このOL足首細いなー。いや、手錠はごつくて太い腕の男にも使えないとおかしいだろうし…。じゃなくて!

「ほむらはなんでそんなもんまで持ってるんだ?」

「魔女に操られた人の安全を考えると、これが一番だからよ」

 涼しい顔で言うほむら。人が死にそうになった瞬間に立会い、微かに震えているまどかを背中から抱きしめ、頬擦りする。

「まどかも美樹さやかも同じ事を考えていたでしょ?
 魔女を倒さない限り、魔女の呪いを受けたこの人は再び自殺する」

「ああ、マミさんは答えないで行っちゃったけどね」

「巴マミはこの人が目覚めて、次の行動を起こす前に魔女を倒すつもりなのでしょうけど、間に合わない可能性もあるわ」

 マミさんと違い、ほむらはしっかり説明してくれるのはいいんだけど、まどかに頬擦りして幸せそうな表情で言われても、真面目な雰囲気が台無しだよ!

「で、この人は魔女を倒すまでこのまま?」

「そうよ」
 即答されたよ…。

「誰かに見られたらマズくない?」

 見た目でアウトじゃないか?

「大丈夫。きっと、この人を見つけた人は、拘束放置プレイのお楽しみ中だと思ってくれるわ」

「そう、だよね…。それに、こうでもしないとこの人、危ないよね……」

 何故か納得するまどか。

「おーい、帰ってこーぃ…」

 改めて、OLを見る。

「なんと言うかさ、そこはかとなく漂う犯罪臭が…。いや、なんでもない」

 人命を優先すれば、この処置も仕様がない…よね? と無理やり納得してマミさんの後を追う。











/ 2 side 暁美ほむら


 ビルに足を踏み入れると、巴マミが遅れてやって来た私たちに振り向いて小さく吐息する。

「遅かったわね。何をしてたの? 怖くなって逃げたかと思ったわよ」

「あー、あたし達あんまり魔法少女になるつもりも無いし、ここでさよならするのもいいかもしれませんね~、なんて……、あはは……」

 頭を掻きながら契約する気がないと語る美樹さやかに安堵する。

「そうね、今からそうしようかしら」

 美樹さやかが破滅してゆく姿を見る事もなければ……。

 そして、何度戦ってもワルプルギスの夜も倒せないのならば、倒さなくてもいい。

 ワルプルギスの夜が見滝原町に来る日に合わせて、まどかと旅行でもして町を離れていれば、まどかが魔法少女になる事もない。

 帰宅後に『災害』で滅茶苦茶になった見滝原町を見ても、まどかがキュゥべえに願う事もない。

 後は、まどかと一緒に人生を謳歌するだけ!



「暁美ほむら、君は!?」
 まどかに抱き抱えられたキュゥべえが叫ぶ。

「暁美さん、あなた契約したからには、魔女を倒す義務があるのよ!」
 巴マミはうっすらと涙を浮かべ、私に詰め寄る。

「そうだよ! 前払いで願いを叶えたのに、そんなの非道いよ!」
 慌てて声を荒げるインキュベーターという、珍しいモノが見れて少し嬉しい。

「あ、そっか…。魔女と戦わなければ……、魔法を使わなければソウルジェムが濁る事もないのか……」
 ポン、と手を打って呟く美樹さやか。まさか、今ので契約するつもりになってたりしないでしょうね?

「美樹さん! そんなのダメよ! 人として間違ってるわ!」

「いや、魔法少女になれる素質を持ってるとはいえ、一般人を魔女の結界に誘き寄せたマミさんに言われても……」

 巴マミがターゲットを変更して、美樹さやかに詰め寄るがバッサリ斬られる。

「完全にマッチポンプだし……」

「そんな!? やっと後輩ができたと思ったのに!」


「あ」
 まどかの声に反応して確認すると、キュゥべえがまどかの腕の中から抜けだしていた。

「もし、そうすると言うのなら……。名残惜しいけど僕は君たちの前から姿を消すよ……」

 心底悲しそうなキュゥべえに、心を打たれる。

 インキュベーターを憎いと思ってる私ですら、こんなに衝撃を受けているのに……。

 たった1日だったけれど、キュゥべえを餌付けしたり、モフり倒したりした思い出が脳裏に浮かぶ。


「ねえ、ほむらちゃん。このままキュゥべえを飼いたいな……」

 そんな風にまどかに上目遣いでお願いされたら断れないじゃない!

「分かったわ。キュゥべえがこのままペットになってくれるのなら、魔女と戦うわ」

「ありがとう! まどか! ほむら!」










/ 3 side 美樹さやか


 マミさんの髪飾りが光を放つと、吹き抜けのホールの階段を登ったところ、2階に薔薇で縁どられた丸いゲートが現れる。
 昨日はいつのまにか結界に迷いこんでいたけど、これが入り口らしい。

「今日こそ逃がさないわよ」
 さっきのやり取りを無かった事にするかのように、真剣な表情で言うものだから、「後輩ができたと思ったのに!」と涙目で叫ぶ姿を思い出してしまう。

 ギャップに笑いを堪えていると、マミさんが私の得物である野球部から拝借して来た金属バットに触れる。
 バットは白を基調とし、中心部に金色の地に蔦のような模様が入り、上部はティーポットを彷彿させる意匠に変化する。

「うわぁ、うわぁ……」
 思わず声が漏れるほどカッコ悪い。

「すごい……」
 まどかは声が笑ってるし、キュゥべえも口元をヒクヒクさせている。ほむらにいたっては、私の肩に手を着いて小刻みに震えている。

「気休めだけど、これで身を守る程度の役には立つわ」
 先行して階段を登るマミさんはあたし達が笑いを堪えている事に気づいていない。

「絶対に私の側を離れないでね!」

「「はい!」」

「わかったわ」

 マミさんが振り向くまでに、なんとか全員持ち直す事ができた。

 本当に危なかった。





 結界に入った途端、大音量のベルがあたし達を迎える。

「どうやら、この使い魔は侵入警報を兼ねているようね」

 解説しながらも、あたし達に近づく使い魔を狙撃するマミさん。
 使い魔の数が増えると、注意を引く為か、マミさんが先行する。いや、側から離れるなって言ってたし、あたし達が遅れてるだけか。


 向かってくる使い魔に改造バットを振り下ろす。

「来んな、来んなー!」
 自分の声に怯えの色が含まれているの自覚しながら、まどかとほむらを守る。



 結界に入ると同時に変身したほむらは、まだ一発も撃っていない。

 ほむらが何をしているのかと言うと―――。




挿絵:かきの
ameblo.jp/akira-119/entry-10899030619.html




「キュゥべえ、その場所変わりなさい!」

 まどかが胸に抱くキュゥべえに詰め寄っているのである。

「まどかの胸に抱かれていいのは私だけよ!」

「ほむら、魔法少女として仕事しろ!」

 なんであたしが魔法少女を守ってるんだよ!

「あはは……」

 さやかちゃんはまどかの乾いた笑いをBGMに戦うのでした。









あとがき

 あれ?
 薔薇園の魔女の結界に侵入したけど、魔女とはまだエンカウントしてないぞ?
 ポルナレフAA略



[27550] 第10話
Name: あきら◆72790bb6 ID:1ccd4a68
Date: 2011/05/25 23:16
第10話



/ 1 side 巴マミ


 結界を駆け抜けながら発砲!

 使い魔が四散する。

「どう? 怖い?」

 速度を緩めずに走りながら問い掛ける。

 だけど、返事はない。

 ふふ……。

 声も出ないほど怖がってるのね。

 きっとこの子たちは私を頼りにになる先輩って思ってるわね。

 怖がって魔法少女になるのを止めるなんて言い出さないといいけど……。

 でも、美樹さんはあまり魔法少女になるつもりはないみたいだし、なんでも願いが叶う特典をもっとアピールした方がいいかしら?

 例え美樹さんが魔法少女になったとしても、魔女と戦うつもりがないのも問題よね。

 そうよ!

 私が危なげ無く魔女を倒して、この町を守る正義の魔法少女である姿を見せれば、きっと美樹さんも私に憧れて、私のような魔法少女になりたいって思うはずよね!




 使い魔が集まり、合体したものを新しく召喚したマスケットの銃床で殴り倒すついでに、くるりとターン。

 華麗に戦う私ってカッコイイ!



 きっとあの子たち、ジャニーズのライヴを観に来たファンみたいに興奮してるわ!

 え?

「なんで着いて来てないのよ―――!?」











/ 2 side 美樹さやか


「ちょっと! 私の側を離れないでって言ったでしょ!」
 えらい剣幕で怒るマミさん。

「どうしてこんなところで痴話喧嘩してるのよ!
 それに、キュゥべえは私の友達で、パートナーなのよ!」

 マミさんがまどかからキュゥべえを引っ手繰る。

「マミ、苦しい」

 マミさんの中学生とは思えない胸で溺れるキュゥべえ。

「ぁん…、キュゥべえ、みんな見てる……」

 苦しくて暴れるキュゥべえと、その動作で胸を刺激されて悦ぶマミさん。


「ああ、キュゥべえ……」

「ペットが……」

 手を伸ばして残念がるまどかとほむら。





「あつ~。戦ったから汗かいちゃったよ」

 襟元のリボンと詰襟のホックを外して、手で扇いで風を送り込む。





「キュゥべえは私のパートナーなの!
 あなた達が付け入る隙なんてないのよ!」

 キュゥべえを抱きしめて言い放つマミさんは、キュゥべえが呼吸できずに苦しがっている事に気付いていない。

「食事もお風呂もトイレも一緒だし、寝る時だって同じベッドで抱いてるのよ!」

 あたし達が沈黙する中、マミさんの胸でもがき苦しむキュゥべえの悲鳴だけが響く。

「キュゥべえって、オスだよね?」

「そうよ」

 確認するように問うまどかの手を握り、肯定するほむら。

 友達でパートナー?

 マミさんの胸がおんなに大きいのは、毎晩キュゥべえと盛ってるから?

「あの言い方だと、マミさんって、もしかして獣―――」

「美樹さやか! そんな言葉を使ってはダメ!」
 あたしが確認しようとすると、あたしの言葉を遮ってほむらが叫ぶ。

「ありがとう。もう少しでNGワードを言うところだった」

 さっきとは違った意味で頬が熱くなるのを、服の中に風を送り込む行為で誤魔化す。





「ごめんなさい。変なところを見せちゃったわね」

 赤面したマミさんが、頬を掻く。

「魔法少女体験コース、再開しましょっ!」

 気をとりなおして、マミさんがマスケットを掲げる。

「おー!」

 あたしも改造バットを掲げるが―――。

「あはは、もうちょっと待ってね」

 まどかの胸というまな板に顔を埋めるほむらのせいで再開できずにいた。

「もう少しでまどか分の補給が終わるから待って」

 まどか分ってなんだよ…。

 さんざんべたべたしてるくせに、まどか分が足りないから戦えないって……。

「暁美さんと鹿目さんって、仲が良いのね…」

 マミさんは、二人を羨ましそうに見つめる。

「まだ会って2日目だなんて信じられないくらいですよ」

 本当に、ほむらはすごいな。

 あたしがセクハラすると嫌がるのに、まどかめ、ほむらには体を許して……。
(注意:まだ行為には及んでません)

「待たせたわね」
 鼻息荒く、ヤル気十分なほむらがアサルトライフル?をどこからともなく取り出す。

「暁美さん。それってニュースで見たことあるんだけど、もしかして……」

「ああっ! 自衛隊最大の不祥事として報道された紛失武器の!?」

 思い出した!

 先週、関東の複数の基地からたくさん武器が紛失したってニュースがあった。こんなものどうやって紛失するんだっていうくらい大きな車両もあったけど、ほむらの魔法少女としての能力は収納だったよね?

 確か、ほむらが持ってるのって89式小銃だっけ?

「ねえ、ほむら? それ、どうやって手に入れたの?」

 念のため、聞いてみる。

「こっそり忍びこんで盗んで来たのよ」

「あっさり認めたよ―――!?」

「あはは……」
 まどかは乾いた笑いを浮かべる。

「暁美さん、ちゃんと魔女と戦うつもりだったのね」

「安心したよ!」

 ほっと胸を撫で下ろすマミさんとキュゥべえ。
 あれだけ世間を騒がせたニュースの犯人が目の前にいるのに、マミさんは仲間がいれば不問なのかよ!


「魔女の脅威から、まどかを―――」

 言い淀み、軽く咳払いすると、ほむらは銃剣を取り付けながら、当然のように言い放つ。

「魔女の脅威から、国民を守る為に使われるのだから、きっとこの子も本望よ」

 言って、銃を撫でるほむら。

 こう言えば誰も入手方法について何も言わないと思ってるんだろうけど、ほむらのせいで国民の為に働く自衛官が処分されている事を忘れちゃいけない。





「気をとりなおして、魔法少女コンビ結成よ!
 魔女なんて速攻で倒しましょう!」

 マミさんが声を張り上げてほむらの手を引くが、ほむらは動かない。

「コンビ?」

 何を言ってるんだ? という表情を浮かべるほむらが手を振りほどく。

「共闘はするけど、コンビを組むわけではないわ」

 そして、自然な仕草でまどかの手を握る。

「そう……。暁美さんは鹿目さんを守りながら戦うのね」

 マミさんはあたしに向き直ると、手を差し伸べる。

「美樹さん、あなたは私が守るわ。さ、行きましょう」

「いえ、あたしはマミさんに改造してもらったバットがありますので、マミさんはあたし達の事は気にせず、力いっぱい戦ってください!」

「せっかく、せっかく後輩ができたって喜んでたのに!
 これじゃ今までと変わらないじゃない!」

 嗚咽まじりに叫ぶマミさん。

「ああっ! マミさんのソウルジェムが!」

 まどかが叫ぶ。

「どんどん濁ってく!?」

 こんなんで絶望するな!

「くっ…」

 ほむらが噛み締めた口から声にならない声を吐き出す。



 そして、気がつくとマミさんはほむらによって気絶させられていた。










あとがき

 まどマギカフェでシャルロッテが見たい。
 まだ2~3時間待ちなのだろうか?


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