文献無視「津波なし」 関電 若狭湾住民に調査を検討
関西電力が、原子力発電所11基を有する福井県の若狭湾で、約400年前に地震による津波があったとの文献の存在を知りながら、津波の記述がない他の文書を重視し、住民には「過去に津波被害はない」と説明していたことが26日、分かった。関電は「過去に津波があったかボーリング調査などを含め検討する」としている。
文献は吉田神社(京都市左京区)の神主が記した日記「兼見卿記(かねみきょうき)」と、当時日本に滞在していたポルトガルの宣教師ルイス・フロイスの「日本史」。いずれも長浜城倒壊など近畿、東海、北陸で広範囲に被害が出た1586(天正13)年の天正大地震について、若狭湾が波に覆われ、多くの家が流されて人々が死亡したと記す。
国の指針で、原発建設時には過去の地震や津波の調査が義務付けられている。関電は30年前に両文献を把握していたが、天正大地震時の津波の記述がない「日本被害地震総覧」「日本被害津波総覧」を重視し、文献は信ぴょう性がないと判断。ホームページでも「文献などからも若狭湾周辺で津波による大きな被害記録はない」としていた。
【 2011年05月27日 08時42分 】
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