2011年4月2日 21時17分 更新:4月3日 2時20分
東京電力は2日、福島第1原発2号機の取水口付近でピットと呼ばれるコンクリート製立て坑から毎時1000ミリシーベルトを超す高い放射線量を持つ汚染水が見つかったと発表した。側面には亀裂が入り、ピット内の水が海に流出していた。これまでに汚染水が見つかったトレンチ(立て坑)から流れ込んだとみられる。東電はピットにコンクリートを流し込み、亀裂を応急的にふさぐ作業を始めたが、水の流出を止められず、3日、特殊な樹脂を使って食い止め作業を実施する。経済産業省原子力安全・保安院は、第1原発付近の海水から検出された高濃度の放射性物質の漏えいルートの一つとみている。【江口一、藤野基文、酒造唯】
東電によると、水の流出が見つかったのは2日午前9時半ごろ。ピットは電源ケーブルなどが収められ、長さ1.9メートル、幅1.2メートルで深さ2メートル。水が約10~20センチたまっており、放射線量を測ったところ、水面から約1.2~1.4メートル地点で毎時1000ミリシーベルトを超え、地表付近のピット最上部で毎時400ミリシーベルトあった。ピットの海に面している部分に縦約20センチの亀裂があり、水が流れ出ていたという。
東電がピット内の汚染水とピット近くの海水を分析した結果、いずれも非常に高い濃度の放射性ヨウ素131が検出された。同様の汚染水は2号機のタービン建屋や、配管やケーブルなどを収めたトレンチでも見つかっているが、海への流出が確認されたのは初めて。
東電の調査で、タービン建屋からピットに通じる電源トレンチ(電線が通る管)と、これまで汚染水が見つかったトレンチは、海側でつながっていることが判明。ピット内の汚染水とトレンチ内の汚染水に含まれる放射性ヨウ素131などの放射性物質がほぼ同レベルの高い濃度であることも確認され、トレンチから汚染水が流れ込んだとみられる。
東電は1日の調査で放射線量が高いこのピットを発見、2日朝に再調査して汚染水を見つけた。発見が遅れたことについて、「電源トレンチに汚染水が入ってくることに思いが至らなかった。パトロールが十分でなく問題だったと思う」と話している。2号機以外の同様のピットでは水の流出などは確認できなかったという。
東電は2日午後、コンクリート計5立方メートルを流してピットを満杯に埋めたが、汚染水の流出は止まらなかった。東電は3日朝から、両トレンチがつながっている部分に穴を開け、水を吸収して膨らむ特殊な樹脂を流し込んで止水を試みる。
保安院は2日、東電に対し、従来実施してきた海水中に含まれる放射性物質のモニタリングに加え、2号機周辺で同様の亀裂箇所の有無を確認し、流出箇所周辺の複数地点で海水を採取して調査するよう指示した。西山英彦審議官は「放水口付近の海水中の(放射性物質の濃度)値が上がってきており、原因を突き止めたいと思っていたが、これも一つのソース(漏えい源)かもしれない」と述べた。