2011年3月30日 19時23分 更新:3月30日 20時45分
文部科学省は30日、新学習指導要領に対応して、来春から中学校で使われる教科書を対象にした10年度の教科書検定結果を公表した。現行のほとんどの教科書が対象となった04年度検定分より25%ページ数が増え、学習量を大幅に減らした00年度検定分からは36%増加した。昨年の小学校に続き、分厚くなった新教科書の登場で「ゆとり」教科書は義務教育の現場から姿を消すことになる。
文科省によると、各教科の平均ページ数(B5判換算)を合計すると、9教科の3年分で計5485ページ。04年度分や00年度分に比べ、1078~1438ページ増えた。中でも大幅に増えたのは理科(04年度比45%増)と数学(同33%増)で、00年度と比べるとそれぞれ78%、63%の大幅増となった。
理科は「原子の周期表」や「イオン」、数学では「2次方程式の解の公式」など、高校に先送りされていた内容が復活した。理科には新たに「DNA」や「地球温暖化」も加わった。
「我が国と郷土を愛する」とうたった改正教育基本法(06年施行)を踏まえ、各教科とも伝統文化に関する記述を拡充。また、社会科の教科書を発行する7社すべてが、領有権を巡って近隣諸国と摩擦が続く竹島と尖閣諸島に言及し、竹島を「日本固有の領土」などと記述した。
中学校の教科書は17社から9教科108点の検定申請があり、105点が合格した。この中には、保守的な内容の教科書作りでアジア諸国から反発を受けた「新しい歴史教科書をつくる会」と関係が深い2社の社会の教科書も含まれる。
文科省が「事実関係が誤り」「不正確」などとして、記述の不備を指摘する検定意見は6981件付いて、04年度の4854件を大幅に上回った。社会の3点が修正表を提出せず不合格だった。
今回は一部の高校教科書の検定もあった。12年度から新学習指導要領が先行実施される数学と理科の教科書計90点と、現行指導要領に対応した外国語1点の申請があり、理科の3点以外は合格した。【遠藤拓、井上俊樹】