「サイバー・サルコジ・ショー」。議長国フランスのメディアは今回の主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)をこう呼ぶ。仏国民やサルコジ大統領にとって、サミットで大きな関心を寄せるテーマは中東・アフリカ情勢や欧州の信用不安よりも「インターネット」だ。
大統領は24~25日、サミットにあわせて米グーグルや楽天など世界の主要ネット企業のトップら約1100人をパリに招き“ネットのダボス会議”を開催した。
日本の関心が高い原子力問題も、もちろん主要なテーマに掲げられている。だが、サルコジ大統領としては「ネットサミット」を強調したいのが本音だ。今回の会議をネットを取り巻く国際協調体制や規制のあり方などについて首脳間で初めて話し合う機会とする。そんな姿勢を特に国内向けに喧伝(けんでん)している。
世界の枠組みのアイデアを考え、自国に有利な国際ルールづくりを主導するのは仏外交のお家芸とするところ。ネット社会の主導権を握ることで仏の国益確保に筋道を付けたとサミットの「成功」を強調し、苦戦が予想される来年の大統領選で再選を狙うのがサルコジ氏のシナリオだ。
現状では原発問題に関するG8参加国の立場には大きな隔たりがある。その土俵の中で突っ込んだ議論に入っても対立が際立つだけで、成果にはなりにくい。大統領はこの問題を初日の冒頭の議論で取り上げ、総論の安全対策をまとめて“お茶を濁す”構えのようだ。
むしろ原発の安全性を巡る本格的な議論は、今秋に大統領が再度議長を務める主要20カ国・地域(G20)首脳会議の場に持ち越される見通しだ。
そのG20サミットに関して、サルコジ大統領は「国際通貨制度改革」や「食料や原料の価格対策」など世界を揺るがすテーマを議題に設定。明らかにG8の議題よりも重くしている。
国際社会の重心は主要先進国によるG8から、新興国を含めたG20に移った。1975年にランブイエで第1回のG5のサミットを主宰したフランス。サルコジ大統領は秋のG20会議を、フランスが新しい国際秩序を再び主導する足がかりとしてとらえる。G8はいわばその前座であるとの見方も根強い。
原発の安全対策を世界に訴え、信頼の回復を図りたい日本。これに対して仏の指導力と国益の確保を印象づけ、低迷する支持率の向上に結びつけたいサルコジ大統領には冷めた打算が浮かぶ。
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