2011年5月21日0時15分
判決後、会見に応じる高橋典子さん。手前はきれいに額装された美桜子さんの写真=20日午後2時43分、名古屋市中区、恵原弘太郎撮影
弁護士たちに付き添われて裁判所に向かう高橋典子さん。娘の美桜子さんの遺影を大切に持っていた=20日午後0時47分、名古屋市中区、恵原弘太郎撮影
愛知県の高校2年だった高橋美桜子(みおこ)さん(当時16)が精神的な障害を発症して自殺したのは中学1年で受けたいじめが原因だとして、母親の典子さん(53)=同県刈谷市=が、中学校を運営する市邨(いちむら)学園(名古屋市)と理事長ら3人に計約4246万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、名古屋地裁であった。長谷川恭弘裁判長は、いじめと自殺の因果関係を認め、学園側に1491万円の支払いを命じた。
いじめを受けてから時間がたった後に心身を害する「いじめ後遺症」について、司法判断が注目された。判決は「学園関係者が何らの対応も行わず放置したことで、美桜子さんが精神障害を患い、自殺したのは明らかだ」と判断し、「いじめはなかった」との学園側の主張を退けた。原告側の弁護士は「画期的な判決」と評価した。学園側は即日控訴した。
判決は、美桜子さんが受けたいじめを「悪質で陰湿な行為が約半年にわたり継続的に行われた」「心身に異常を与えるのに十分な行為だった」と指摘。学園側について「いじめを放置すれば心身に大きなダメージが生じ、自殺に至ることは予見可能だった」と指摘した。