東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、全体の約15%にあたる計301の医療機関が休・廃止状態になり、うち31機関は廃止されたことが各保健所への取材で分かった。仮設の診療所で対応する施設も20機関あり、入院患者を受け入れられないなど本来の機能を果たせない施設もある。もともと医師不足が深刻だった地域に、震災がさらに打撃を与えている状況が浮かんだ。
3県沿岸部の11保健所(2区15市22町7村所管)に23~25日、管内の120病院と1933診療所の状況を尋ねた。その結果、計2053医療機関のうち12病院と289診療所が機能を停止。うち26診療所は廃止届を出し、5診療所は事実上の廃止状態という。
休止届を出したのは計18機関だが、それ以外は保健所職員や医師会などが休止状態と認定。さらに5病院と15診療所は津波被害で使えず、別の場所の仮設診療所で対応。保健所が状況を確認できていない診療所もあり、実際の機能停止割合はさらに高いとみられる。
こうした医療機関の医師は、別の病院の応援や避難所での診療などにあたるが、死亡したり、遠方に避難した医師もいる。看護師らが集まらず、再開できない機関も多い。【加藤隆寛】
毎日新聞 2011年5月26日 東京朝刊