天鎧鵬、尾上部屋から汚名返上で新十両に昇進

十両に昇進しポーズをとる（左から）碧山、隆の山、荒鷲、華王錦、天鎧鵬、千代の国、飛天龍

　日本相撲協会は２５日、開催を予定する大相撲名古屋場所（７月１０日初日、愛知県体育館）の番付編成会議を両国国技館で行い、幕下から戦後最多の大量１３人の十両への昇進を決定した。八百長問題で３人が引退、師匠の尾上親方（元小結・浜ノ嶋）が飲酒運転で処分されるなど激動に見舞われた尾上部屋から新十両に昇進した南は天鎧鵬（てんかいほう）に改名。志半ばで去った同期や兄弟子のための奮起を誓った。

　本名の南から新たにしこ名を変えた天鎧鵬の表情が引き締まった。「長かったです。関取になるのが夢だったのですごくうれしいです」。日大から０７年初場所に初土俵。４年をかけての悲願達成に声を震わせた。

　激動の昇進だった。八百長問題では同じ日大から角界に入った清瀬海、山本山が引退。部屋では兄弟子の白乃波、境沢も志半ばで土俵を去った。場所前には師匠の尾上親方が飲酒運転で厳罰を受け現在も謹慎中。場所に入れば部屋頭の大関・把瑠都が問題発言を行い、厳重注意を受けた。

　「いろいろ大変だったのでだからこそ自分が場所ではやってやると思いました」。自らの土俵で部屋にかぶせられた汚名の返上を期した。その執念が実っての新十両だった。昇進が決まった時、同じ熊本出身の日大の先輩で兄弟子でもある元白乃波の白石信広さん（２９）から「オレの新十両の時の化粧まわしを使ってくれ」と託されたという。しこ名の部分を縫い直し名古屋の土俵に上がる。「自分の分も頑張ってくれ、ということだと思うので、その思いを背負って頑張りたい」と神妙に明かした。

　しこ名は父・壽男さん（５３）が命名。「スケールの大きい相撲を取ってほしいという思いがあるようです」。天高く鎧（よろい）を身に付けた大鳥があらゆる人の思いを背負って十両の土俵で羽ばたく。

　◆天鎧鵬　貴由輝（てんかいほう・たかゆき）本名・南貴由輝。１９８４年１０月１４日生まれ。２６歳。熊本・玉名市出身。尾上部屋。日大では元山本山、元清瀬海と同期。２００７年初、初土俵。三段目優勝１回。１８２センチ、１７６キロ。