しゃがんだ姿で復元されたティラノサウルス「バッキー」=いずれも東京・国立科学博物館
2本の後ろあしとブーツ形の恥骨
■ 「恐竜博2011」 世界初、ティラノの「待ち伏せ姿」
7月、「恐竜博2011」が東京・国立科学博物館で開催される。このほど、博覧会の目玉、「ティラノサウルス」の復元骨格の組み立て作業が関係者に公開された。
復元骨格は、四つの木箱に入れられてアメリカからやって来た。箱詰めを開け、まずチェーンでつるした骨盤に両あしをつなげる。この作業だけで1時間。その後、背骨、尾、首、肋骨(ろっこつ)、頭骨と続き、最後に前あしがつながった。3時間を超える大掛かりな作業だ。
全長10メートルもの「パズル」が完成し、現れたのは、体を低く敵を待ち伏せするかのようにしゃがんだ姿だ。ティラノサウルスというと、雄々しい立ち姿が定番だが、この姿で全身骨格が復元されたのは世界で初めて。最新のコンピューター解析の結果、2本の後ろあしとその間にあるブーツ形の恥骨で巨体を地面につけて安定させて座ることができたことがわかった。
本博を監修する真鍋真・同館研究主幹は「今まで見たことがない姿に“あれっ?”と思ってほしい。近くでよく見ることができるので、ひとつひとつの骨の形の面白さにも注目してほしい」と話している。
本博ではトリケラトプスの新しい研究成果を反映した全身復元骨格も公開され、ティラノサウルスと向かい合う。恐竜界の2大スターの競演だ。
このティラノサウルス、愛称は発見者のカウボーイの名前にちなんで「バッキー」という。組み立ての最中に地震があったが、バッキーはびくともしなかった。スターの風格十分だ。
「恐竜博2011」は7月2日[土]から開催。詳細は公式サイトhttp://www.asahi.com/event/kyoryu2011/
■ 「百花繚乱展」 咲き誇る横山大観・小倉遊亀ら35人の花々
花を描いた絵画ばかり50点以上を並べた「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」展が、東京・広尾の山種美術館で開かれている。
横山大観、速水御舟、竹内栖鳳、安田靫彦(ゆきひこ)、福田平八郎ら近代の日本画家を中心に、江戸時代の酒井抱一、鈴木其一(きいつ)から現代の上村松篁、小倉遊亀にいたるそれぞれの時代を代表する日本人画家35人の手になる花々が競演する。
展示は「春の花」から始まり、四季の花々を巡る構成。同館の山崎妙子館長は「時代を築いてきた画家たちの花に寄せるまなざし、創意工夫に満ちた表現の世界に触れることができる展覧会。花々の生命力と美しさで、日本全体が直面している厳しい現実を前に、少しでも心和む時間を過ごしてもらえれば」と話す。
6月5日[日]まで。一般1千円など。美術館サイトhttp://www.yamatane−museum.or.jp/
■ 「大英博物館 古代ギリシャ展」 描かれた市民の生活
民主政治や優れた美術、哲学を誇る古代ギリシャだが、人々の人生とはどのようなものだったのだろうか。7月5日から上野の国立西洋美術館で開催される「大英博物館 古代ギリシャ展」の展示作品からは、当時の人々の暮らしを垣間見ることができる。
水がめの一つには、ライオン頭部や馬上の人をかたどった吐水口に花輪を飾り、祭りの準備をする女性たちが描かれている。古代ギリシャの女性は多くの場合、15歳くらいで親が決めた年上の男性と結婚し、以後、人生の大部分を家庭内で過ごした。公の場に出る機会が宗教儀式や家族の葬儀などに限られていた彼女たちにとって、このような女性同士の集まりは楽しいひとときだったに違いない。
一方、男性は18歳になると市民として登録され、2年間の兵役後、政治活動に加わった。所属する共同体を守るために兵士として戦うことが義務とされ、有事に備えて体を鍛えたという。展覧会場では、槍(やり)を構えた重装歩兵や出征する兵士を描いた壺(つぼ)、戦闘時に身につけた青銅製の兜(かぶと)やよろい、膝(ひざ)当てなども展示される。
前売り一般1300円など。公式サイトhttp://body2011.com/
■ 「飯能新緑ツーデーマーチ」 清流や里山巡り、奥武蔵路を行く
新緑の奥武蔵路を歩く「第9回飯能新緑ツーデーマーチ」が21、22日に飯能市役所をスタート・ゴールとして開かれる。都心から電車で1時間ほどの近距離ながら、清流の入間川や里山などの自然が満喫できる。
1日目は、標高271メートルの多峯主(とうのす)山や同197メートルの天覧山などを登り、入間川の飯能河原や南高麗(こま)をたどる。2日目は、高麗川沿いの巾着田、宮沢湖畔の自然歩道や、茶畑の中を歩く。各5〜20キロの7コースがあり、それぞれ地元住民による湯茶の接待所がある。東日本大震災の復興支援として、参加費の一部を義援金として寄付する。
事前申し込み(17日まで)大人1500円、小中学生800円。詳細はホームページhttp://www.asahi.com/hanno/、大会事務局(042・972・6082)。
■ 「ピンクリボンデザイン大賞」 ポスターやコピーの作品募集
乳がんの早期発見や検診の大切さを伝える「第7回ピンクリボンデザイン大賞」の作品募集が始まった。ポスター部門、東京都コピー部門、ノベルティ部門(トートバッグ)で、最優秀賞作品は「乳がん月間」の10月に駅張りポスターや雑誌広告、イベントの参加賞などに使われる。
審査員は著名クリエーターら。審査員長のコピーライター中村禎さんは「あなたが悩んで悩んで作った作品が、誰かの命を救うかもしれません。患者さんを思うまなざしも大切にしながら、2011年ならではの新しい視点を」と呼びかけている。
最優秀賞には、ポスター部門の50万円をはじめ総額80万円の賞金も。応募は郵送で、7月1日締め切り(消印有効)。問い合わせは事務局(03・6418・3321)へ。公式サイトhttp://www.pinkribbonfestival.jp/
■ 「人ひとこと」 滝千春さん 時代映す作曲家の調べを
ロシアとフランスの国際コンクールで第1位の経歴をもつ24歳のバイオリニスト。「ロシア、フランスの音楽家で思い浮かぶのは19、20世紀に活躍した作曲家たち」。31日に浜離宮ランチタイムコンサートでチャイコフスキー、ショスタコービチ、ラベル、ドビュッシーを演奏する。
「フランスの印象派、ロシアのアバンギャルド。それぞれの時代を反映する彼らの作風は独特で、まるでモネの絵や複雑な建築物のよう。ユーモアあふれる音楽をお楽しみに」
問い合わせは朝日ホールチケットセンター(03・3267・9990)