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原発政策見直し「場当たり的」 高浜町長、首相対応を批判

(2011年5月26日午前7時10分)

拡大 インタビューで「国はエネルギー政策における原発の位置付けを明確に発信すべきだ」と指摘する野瀬町長=福井県高浜町役場 インタビューで「国はエネルギー政策における原発の位置付けを明確に発信すべきだ」と指摘する野瀬町長=福井県高浜町役場


 高浜町の野瀬豊町長は、東京電力福島第1原発事故を受け菅直人首相が原発重視のエネルギー政策を見直す方針を示したことに対し「説明が場当たり的。原発の存在理由、今後の位置付けに関する発言にぶれを感じる」と批判。エネルギー政策における原発の中長期的な位置付けを明確に示すよう国に求め、定期検査中の原発の再起動を認めるか判断するための要素として重視する考えを示した。

 ―事故後の政府の姿勢をどうみるか。

 「エネルギー政策を見直さなければならないのは事実だが、中長期的な原子力の位置付けが、極端に言えば日替わりのように変わっている。これでは電力を供給する立地自治体が何を根拠に頑張っていけばいいか分からなくなる。ある程度の覚悟を持って発言すべきだ。自治体だけに覚悟を求めるようでは困る」

 ―電力事業者の緊急安全対策を国は「適切」と判断した一方で、県は定検中の原発の再起動は現時点で認められないとしている。町としての判断は。

 「西川知事が求めている暫定的な安全基準の提示、高経年化の検証に対する一定の回答が必要。暫定基準の『バージョン2』のようなものを設定する必要が当然出てくるだろう。再起動を認めるには、地震や津波の知見を見直しながら最終的な新安全基準を出すためのロードマップ(行程表)を国から示してもらう必要がある」

 「高浜原発では、万一の際に緊急車両が通るアクセス道路と住民の避難道路が兼用されている状態。(原発より半島の奥にある)内浦地区が袋小路にならないための整備が最低限必要。国主導で取り組むメッセージを出してほしい」

 ―県内で停止中の原発が増え、関西への電力供給が窮迫する懸念が高まっている。

 「高浜原発は1号機が定検中で、7月初めには4号機も定検に入る。2基が止まる期間をなるべく短くできるような政治努力を国も考える必要がある。自治体としても単にボールを投げるだけでなく、避難道路整備に充てられる国の財源を指摘するなど働きかけをしていきたい」

 ―橋下徹大阪府知事の「脱原発」をどうみる。

 「事故を受けた空気感に迎合した場当たり的な発言のように感じる。国全体の電力をどうまかなうか議論されている中、電力供給する責任を持った立地自治体の立場として、そうした発言に振り回されているいとまはない」

 ―県原子力防災計画はどう見直すべきか。

 「高浜町の場合、避難区域が半径10キロ圏内になればほぼ全域が含まれ、町のコントロールを超えてしまう。今回のような大事故を基準に考えると話が進まない面もあり、もう少しレベルの低い事故を想定した方が現実感を持って対応できるのではないか。最大規模の事故を想定した訓練が本当の意味で有意義なのかという点も考えないといけない」

 ―菅首相は核燃料サイクルの見直しにも言及した。高浜原発では3号機に続き4号機でもプルサーマルを計画し、今夏の定検でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を装荷予定だ。

 「見直すとなれば、MOX燃料を装荷する意義、理由が見つからなくなる。町の了承手続きは終えているが、事故の影響を考えると事業者が無理やり無視して進められる案件ではなくなっている。国にはそれまでにしっかりした方針を出してもらう必要がある。使用済み燃料の行き場がなくなって原発が運転できなくなる事態も起こり得る問題であり、数十年間の国策を転換するには相当な覚悟を持ってやってもらわないといけない」

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