東京電力福島第1原子力発電所1号機への海水注入が一時中断された問題で、首相官邸に事前報告があったかを巡る政府内の説明が揺れている。菅直人首相は「通知は無く知らなかった」としてきたが、枝野幸男官房長官は注水準備の事前報告があった事実を認めた。危機下の連絡体制に大きな疑問が生じている。
枝野長官は25日の記者会見で「(3月12日の)夕方6時の打ち合わせで東電から『海水注入の準備をしているがもうしばらく時間がかかる』との報告は受けた。先だって保安院にもその趣旨(の連絡)があったとの報告を受けている」と述べた。首相が12日午後6時に官邸で開いた会議の際、海水注入の準備が進んでいるとの認識を持っていたことをうかがわせる。
一方、東電は25日、当日の午後3時20分ごろに経済産業省原子力安全・保安院に「準備ができ次第、海水を注入する」とファクスで伝え、注入開始も保安院に口頭で伝えたと明らかにした。保安院はファクスを受領した事実は認めたが、口頭での連絡は「聞いた者がいない」と述べた。
三者三様の主張は、政府内の危機管理や情報共有体制の不十分さを浮き彫りにした格好だ。
政府の初動を巡っては、ほかにも説明の食い違いが指摘されている。
「その時点で報告があれば、避難指示にあたっての参考になった。大変遺憾だ」(枝野長官)。事故直後は無かったとされていた放射性物質の飛散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータは、実際は3月12日午前1時35分ごろに保安院から官邸内の危機管理センターにファクスで届いていた。だが同センター内で首相らが指揮をとる部屋には伝わらなかった。
政府・東電統合対策室は5月21日、原子力安全委員会の班目春樹委員長が12日午後6時の海水注入に関する会議で「再臨界の危険性がある」との意見を述べたと発表。その後、班目委員長の抗議を受け「可能性はゼロではない」と訂正した。
官邸側が「情報を知らなかった」「専門家が言った」と主張していることについて、野党は「事故拡大の責任を他に転嫁しようとしている」と批判している。説明を重ねるごとに、かえって政府内の対応の不備を際立たせている。
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