2011年5月26日
東芝が2013年にもNAND型フラッシュメモリーの後継となる“ポストNAND”を実用化する可能性が高まってきた。スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末需要でNAND市場は拡大を続けるが、回路線幅を細くして記憶容量を高める微細化技術の限界が迫っているためだ。市場占有率でNAND首位の韓国サムスン電子に追いつきつつある今、次世代技術を早期に確立できるかが、焦点になる。
東芝の佐々木則夫社長は24日の経営方針説明会で「13年にも次世代メモリーにシフトすることを計算に入れている」と述べ、ポストNANDの市場投入時期を示唆した。微細化を進めると同時に、“ポストNAND”を並行して実用化する方針だ。
東芝は10年夏に回路線幅24ナノメートル(ナノは10億分の1)品を始め、11年夏には世界最先端となる19ナノメートル品の量産を開始する計画。微細化のピッチを加速するが、今後鈍るのは確実視される。
装置メーカー関係者の多くは「微細化が進みすぎるとメモリーが誤作動するケースが増える。15ナノメートルが限界では」と指摘する。佐々木社長も「(19ナノメートル品の)次の次の世代まではほぼめどが付いているが、その先は定かでない」と微細化での延命の展開を明確にしていない。
微細化の限界が見え隠れする中、東芝が“ポストNAND”として有力視するのがセルを平面でなく縦に並べる「3次元NAND型フラッシュメモリー」だ。セルが大きくても縦方向に積むことで、小さいセルを平面に敷くのと同等以上の効果がある。旧世代の製造技術も利用でき、コスト競争力も高いという。
東芝はすでに、「BiCS」と呼ぶ3次元NANDの技術を07年に開発。多層のセルを一度に形成できるのが特徴だ。NANDの製造拠点である四日市工場(三重県四日市市)の関係者の中には「3次元は思っていたより難しい」との声が聞かれ、佐々木社長の青写真通り、進むかは不透明な面もある。ただ、「サムスンも13年前後の量産を目指しているが、彼らもBiCSの考え方をもとに開発している。負けるわけにはいかない」と対抗心と自信をのぞかせる。
東芝はNANDと並び成長の柱に位置づけていた原子力事業が東京電力福島第一原発事故で見直しを迫られる。スマートグリッド関連事業など他の事業が育つまで、NAND事業の行方が同社の推進力を左右する。
NAND型フラッシュメモリーの11年1―3月期の市場シェアは首位のサムスンが36・2%。東芝は35・1%と猛追する。微細化で先行し、サムスンの背中が見えてきた今、3次元NANDを早期に事業化できるかどうかは、長期的に東芝のシェアを占う試金石になる。
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