日本相撲協会が25日、両国国技館で大相撲名古屋場所(7月予定、愛知県体育館)へ向けた番付編成会議を行い、新十両7人、再十両6人の昇進を決めた。八百長問題で関取に合計17人の引退・解雇があったことの補充で、13人の昇進は戦後最多。中でも東幕下3枚目の荒鷲(24)=花籠=は技量審査場所で3勝4敗と負け越しながらの新十両で、再十両の垣添(32)=藤島=とあわせて、戦後初めての珍事となった。
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自称“ついてない男”に幸運が訪れた。「今まで福引とか宝くじとか当たったことないです。ギャンブルもダメだし、カードゲームなんかでも勝ったことない」。24年間分の不運が一気に逆転したと言っても過言ではない、負け越しでの新十両昇進劇となった。
技量審査場所では3勝3敗で迎えた千秋楽の7番相撲で持丸に敗れ、負け越してしまった。従来ならば、ここで十両昇進の夢はお預けになるところだが、今回は最低でも13人の昇進が事前に決まっていた特別な場所。勝ち越した幕下12枚目の旭秀鵬ら、下位で勝ち越した力士より上位に判断されたと見られる。
08年九州場所で、西幕下筆頭で5勝しながら昇進できなかった福岡(現隠岐の海)のような不運な例とは対照的だ。「これが人生で一番ラッキーかもしれない」と照れた荒鷲は「負け越して悔しいのと、恥ずかしいという気持ちもある。出稽古をして頑張りたい」と来場所での奮起を誓った。
負け越し昇進について、番付編成の責任者である貴乃花審判部長(元横綱貴乃花)は「運をつかんだ力士は、それも実力のうちだと思います」と活躍を期待した。花籠部屋では八百長問題で同じモンゴル出身の兄弟子・光龍がクロ認定を受け引退。週末に断髪式を控えており「寂しい気持ちありますね」としみじみ。ツキを勢いに変え、部屋を引っ張ることを誓った。
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