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【滋賀】

48年越しの約束果たす 中学時代の文通相手に日本人形

2011年5月25日

サンディーさん(右)に藤娘の人形を贈る約束を果たし感激の内藤光有さん=米フロリダ州のサンディー・ポッペルさん宅で(内藤さん提供)

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 中学時代に文通していた米国女性に日本人形を贈る約束を48年越しで、長浜市北野町の元市職員内藤光有(こうゆう)さん(62)が実現させた。「約束を果たしたい、との念願がかなった」と内藤さんは心からの笑顔をみせる。

 内藤さんは中学2年の秋、学習雑誌の案内記事を基に米国の女子中学生と文通を始めた。中学で語学の面白さを覚え「英語が好きだった」ことを生かして毎月、米国フロリダ州タラハシーへ手紙を書き、返信も順調に続いた。

 あるとき、手紙に書いた。「藤娘の日本人形をプレゼントする」。中学生がおいそれと買える品ではないが、内藤さんは「内藤の藤の字から、藤娘を思いついた。いいところを見せたかったんでしょうね」と述懐する。4年余り続いた文通も、高校卒業の年を境に途絶えてしまった。就職し結婚、新しい家に引っ越す際、保管していた手紙や写真を紛失してしまった。だが、「人形のことはずっと頭の片隅にあった」。

 定年間近となり、約束が気になりだした。「約束を果たす。うそつきと思われてもいかんし」と、定年後の米国行きを決意した。最初は、「言うてるだけ」と思った妻ひろ子さん(59)も昨年春、準備を始めたのに驚いたという。

 探し出した中学時代の日記帳に書き留めてあった米国の住所へ昨年10月1日、手紙を出した。「返事がなくても以前の住所を訪ねるつもりだった」という内藤さんに12月中旬、返事が届いた。タラハシーから約40キロ北の小さな町ハバナに移り住んだサンディー・ポッペルさん(62)からの44年ぶりの手紙だった。以前の住所に両親がおり、内藤さんの手紙を渡してくれたらしい。

 内藤さんは、ひろ子さんと留学経験のある会社員の長男米光さん(33)と一緒に4月30日、現地のホテルでサンディーさんに初めて対面。「朝ご飯がのどを通らなかった」と緊張した内藤さんだが、出会うと全身で喜びを表現していた。文通を始めた48年前の約束を果たし、「ほっとした気持ちもあった」。

 贈った人形は40センチ余でガラスケース入り。「輸送時に割れるのを覚悟したガラスも無傷で本当によかった」という内藤さん。サンディーさんは「人生で出会った最高にきれいな人形。わが家に栄誉と愛を与えてくれる」と大感激だった。

 (小蔵裕)

 

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