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【神奈川】

東電原発事故で放射性物質漏出 学校給食の食材に不安訴える保護者

2011年5月25日

 東京電力福島第一原発事故による放射性物質の漏出で、横浜市の小学校に通学する児童を持つ保護者の中には、学校給食の食材が汚染されているのではないか、と不安を訴える人がいる。市教育委員会は、暫定規制値をクリアした地域の食材を使っており「安全だ」と強調するが、一方で給食に代えて弁当の持参も認める対応を取っている。 (荒井六貴)

 牛乳や野菜、魚などの食材が暫定規制値を超えた地域の食材は、流通しないことになっている。しかし、児童が口にする給食の食材すべてが、検査されているわけではない。

 金沢区の主婦(41)は先週から、市立小学二年の長女(7つ)に弁当と水筒を持たせた。主婦らは「子どもが食べるものは、もっと規制を厳しくしないといけないのではないか。給食を食べて、最終的にどれぐらい被ばくするのかも分からない」と不安を募らせる。

 文部科学省の担当者は「市場に流通している食品は、安全という前提。給食に限って何かをすることは考えていない」と言う。二十四日の市議会で、複数の市議が保護者の声を代弁して、給食に関する質問をしたが、市側は国の考えに基づき、安全性を強調した。

 一方で、市教委は保護者の不安を想定。四月一日付で各校長に「校長の判断で、弁当持参については許可することを可とする」とした文書を出した。新学期が始まると「汚染地域の食材を使わないでほしい」などと不安の声が寄せられた。

 市教委の清水文子健康教育課長は「どうしても給食を食べたくないのに、強制はできない。給食は安全と伝えた上で、弁当持参も許可できることにした」と説明する。

 主婦は、市教委に汚染地域外からの食材の調達を求めたが、実現する方向にはなかった。結局、「他の児童と違うことをして(長女が)いじめられるかもしれない」と悩んだ末、弁当を持参させることを決めた。渋る長女にも「放射線を理解しているか分からないけど、きちんと説明した」という。

 当然、弁当に使う食材にも気を使う。主婦は「いつまで、この状態で保てるのか」と苦しい胸の内を吐露した。

 

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