検証・新潟県警不祥事 酒宴の怪、消えぬ不信

  図書券で 麻雀  領収書は 捨てたなんてね


2000年1月28日に 9年間にわたって 監禁されていた 少女が 発見されたとき

県警の本部長は ファックスが あって 携帯電話が あって 図書券が あれば

戻らなくて いいなんて 警察も いいものですね 朝日新聞 の 記事から 引用しました


新潟県柏崎市で長期間監禁されていた女性が保護された当日、県内の温泉ホテルに一泊して酒食や

マージャンに興じていた小林幸二・前新潟県警本部長(五一)と、特別監察に訪れていた中田好昭・

前関東管区警察局長(五五)は二十九日付で退職した。しかし、行動は依然として不可解な部分が多い

宿泊費は本当に「自費」だったのか 国会でもこの日、「甘い処分」の撤回を求める質疑や

なぞを解明する追及が相次いだ 田中節夫・警察庁長官は「防戦」に懸命だったが

これで幕引きとはなりそうもない

 

 ○本当に私費? 領収書は「捨てた」

 新潟県警本部がある新潟市から中田局長(当時)、小林本部長(同)らが宴会をした三川村のホテル

まで約四十キロ。「私的な日程」だったため、実際、懇親会に参加した全員がポケットマネーで費用を

払ったという。

 小林本部長に対しては、土砂崩れ災害があった上川村の視察について「公務」として日当千三百円が

支払われている。他の県警幹部は、ホテルまでの距離が出張費の支給対象外だった。

 しかし、そのホテル宿泊費などの領収書はすでに破棄されている。公費にせよ、私費にせよ、

証拠は残されていない。

 二十九日の衆院予算委員会。

 坂上富男議員(民主)が「宿泊費は県警で負担したのではないか」と、ホテル宿泊代の領収書の提出を

求めた。田中節夫・警察庁長官は「宿泊費は私費で負担したので、請求書、領収書のたぐいは

破棄していると報告を受けた。私費なので保存する必要はないのでは」と答えた。

 野党委員席から、「(領収書の)写しもないのか」「証拠隠滅だ」とやじがとんだ。しかし、田中長官は

「公費ではなく私費でございますから」と声を震わせながら繰り返した。

 委員会終了後、坂上議員は、「私費で払ったなら、領収書は潔白を証明するための貴重な資料。

なぜ、破棄したのか。今後も追及したい」と、長官の「理屈」を批判していた。

 温泉ホテルの社長は「宿泊者のことについては答えることはできない」と話している。

 警察庁のこれまでの調べでは、中田局長は新潟県三川村の温泉ホテルに宿泊しているが、

公費としての請求は、交通費と日帰り出張分だけだという。ただし、宿泊した翌日に公用車で瓢湖を

見学するなどした「観光ツアー」については、同庁は「問題がある」としている。

 

 ○図書券だけ? 「現金が常識」では

 二十八日の衆院予算委員会。委員からは「マージャンでは現金をかけるのが常識だろう」「図書券を

かけたことは刑罰に触れないのか」などの質問が出た。

 かけマージャンもさることながら、今回の新潟県警の問題では「ウソ発表」も表面化した。質問は、

警察庁発表にウソがないかを探る意味合いも込められていた。

 これに対して、田中長官は「図書券をかけていた」「それが刑罰に触れるかどうかは、詳細を調査する」

などと答えた。

 警察庁のある幹部は、小林本部長と中田局長の「処分」を決める際、最も神経をつかったのは

マージャンで、「きっちり調べた」と打ち明けた。

 これまでの調べでは、九年余りも監禁されていた女性(一九)が保護された一月二十八日の夜、

新潟県三川村の温泉ホテルでマージャンをしたのは、中田局長、小林本部長と、新潟県警の

長谷川征司・生活安全部長、広瀬克司・生活安全企画課長、花野平作・総務課長の五人。

 宴会は、他の県警幹部らも参加して七人で、午後六時ごろから始まった。その最中、小林本部長あて

に監禁事件の資料が送られてきた。午後八時半すぎ、花野課長が「マージャンの準備がしてあります

からご案内します」と一同に提案。小林本部長、中田局長らが二階で卓を囲んだ。

 景品は総務課が事前に用意した図書券だった。一枚五百円分で合わせて一万円分。

「満貫」が出ると一枚もらえるルールだった。

 二十九日午前零時半ごろ、マージャンは終わった。小林本部長が二位、中田局長はビリ。

景品の図書券は何枚か余ったという。

 警察庁は問題発覚後、中田局長らに再三、「現金はかけていなかったか」などと聞いたが、

全員が「それはない」。図書券の購入についても、「宿泊費として集めた一人一万五千円の会費から

充てた」などと答えたという。

 

 ○特別調査は? 県警の申告うのみ

 小林幸二本部長ら県警幹部が虚偽発表にどこまで関与したか。これが、警察庁が現地に

送り込んだ特別調査チーム(上田正文官房審議官ら五人)が解明しなければならない最大の使命だった。

 特別調査チームが調査に入ったのは二月二十日。「被害者発見時の捜査一課長の記者会見が、

本部長のどんな指示に基づくものか」「保健所職員からの出動要請に対して、県警側がどんな指示と

対応をしたのか」「容疑者の母親からの相談に、柏崎署がどんな対応をしたのか」「前歴者の容疑者が

なぜ、今回の事件の捜査対象者として浮かばなかったのか」「容疑者宅へのふだんの巡回連絡によって、

なぜ被害者が発見されなかったのか」――県警幹部から次々と事情を聴いたはずだった。

 しかし、調査は一日のみ。しかも、聴く内容も相手の答えをうのみにして簡単に終わってしまった。

 虚偽発表への関与について、小林本部長に特別調査チームが聴くと、「ホテルでファクスや電話で

報告を受け、指示した」と答えただけ。温泉地のホテルで中田局長と飲酒、マージャンをしていたという

事実をつかみきれなかった。

 小林本部長はそれらの事実をひとつも申告せず、そのまま特別調査チームも受け取った。

 この特別調査チームの調査結果は二十四日、警察庁から国家公安委員会に報告された。

「引き続き調査すべき事項が多い」と結ばれている。

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