東京電力福島第一原子力発電所の2号機と3号機も、核燃料が溶け落ちる、いわゆる“メルトダウン”が起きていた可能性があるという解析結果を、東京電力がまとめました。これで1号機から3号機まですべてでメルトダウンが起きていた可能性があり、事故から2か月以上たってようやく最悪の事態の発生が判明したことになり、状況把握の遅れが事故の対応に影響しなかったか、今後、検証が求められます。
東京電力は、メルトダウンが起きたとみられる1号機に続いて、2号機と3号機についても、これまでに得られたデータを基に原子炉の状態を解析しました。解析にあたっては、原子炉の水位計が故障していた1号機と同じように、2号機と3号機についても水位計の値が正確ではない可能性があるとして、核燃料が一時、すべて露出していた場合と、水位計の表示どおり核燃料の一部が水につかっている場合の、2つのケースを想定しました。その結果、核燃料が一時すべて露出していた想定では、2号機は、地震から3日後の3月14日午後1時すぎに冷却機能がすべて失われ、14日午後8時ごろ、一部の燃料が溶け始め、地震からおよそ101時間後の15日午後8時ごろまでに大部分の燃料が溶けて原子炉の底に落下し、メルトダウンした可能性があるとしています。3号機も、3月13日の午前2時ごろに冷却機能がすべて失われ、燃料の溶融が13日午前9時ごろに始まり、地震からおよそ60時間後の14日午前3時ごろまでに、メルトダウンによって大部分が原子炉の底に落下した可能性があるとしています。メルトダウンの可能性は、核燃料の一部が水につかっていた想定でも同じで、地震から1週間後には、2号機、3号機とも半分近い燃料は溶け落ちると評価されています。これで1号機から3号機まですべてでメルトダウンが起きていた可能性があり、事故から2か月半以上たって、ようやく最悪の事態の発生が判明したことになります。これについて東京電力は「発生当初から燃料の損傷は想定していて、状況の把握よりも原子炉を冷やすことに集中した」と説明しています。また、細野総理大臣補佐官は「この時期の公表になったのはやむをえないと思う。ただ、事故の想定は当初からもう少し厳しくすべきで、政府の事故に対する見込みに甘さがあったことは反省している」と話しました。これに対し、原子炉の解析に詳しいエネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「今回のような解析は、一日あれば結果が出るほど非常に簡単なものだ。原子炉の状態を解析することは、長期的な冷却方法など対応策を検討するうえで重要な参考になったはずで、遅すぎたという印象だ」と話しています。東京電力は、メルトダウンの可能性が判明し、原子炉の損傷などがはっきりするまで、工程表の中で、原子炉の冷却方法として、格納容器を水で満たす「冠水措置」を第一に位置づけ作業を進めていました。状況把握の遅れが事故の対応に影響しなかったか、今後、検証が求められます。