東京電力の福島第1原子力発電所事故で放出された放射性物質による土壌汚染が、福島県の一部で旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の濃度に匹敵することが分かった。24日に開かれた国の原子力委員会で報告された。周辺住民の避難を解除するには土壌の修復が欠かせないという。
土壌汚染を試算したのは、経済産業省の認可法人の原子力発電環境整備機構の河田東海夫フェロー。事故から2カ月間に文部科学省などが調べた空間放射線量や土壌モニタリング調査を参考に、原発周辺の土壌に含まれる放射性セシウム量を推計した。地表から5センチメートルの深さを基準とした。
その結果、原発に近い同県の飯舘村や浪江町の一部を含めた計約600平方キロメートルの地域で、汚染濃度が1平方メートルあたり148万ベクレルを超えた。これはチェルノブイリ原発の周辺地域で強制移住の基準となった放射性レベルだという。それを下回る同55万5000~148万ベクレルの汚染地域は、川俣町や葛尾村の一部など合計約700平方キロメートルに達した。汚染地域の面積はチェルノブイリ原発事故の5分の1~10分の1という。
これまでの文科省などの調査でも1平方メートルあたり60万ベクレルを超える地域があることが判明している。
河田フェローは「土壌のセシウムは6~9割が土と強く結合している。再び人が住めるようにするには、表土と下の層を入れ替えたり、剥離するなどで低減を目指すことが重要」と話す。
東京電力、土壌汚染、原子力委員会、福島、チェルノブイリ原発、原子力発電環境整備機構
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