• 南部
  • 中部
  • 北部

25日 県内の天気(25日11時更新)

社説

福島原発検証 「聖域なし」の姿勢が要る 5月25日(水)

 東京電力は福島第1原発事故について、1号機に続き2、3号機でもメルトダウン(炉心溶融)が起きた可能性があるとする報告書を公表した。

 原子炉の冷却状況からみて、事態が悪化するようなことにはならない、としている。

 メルトダウンが事実なら、原子炉圧力容器に穴が開くなど、壊れた燃料が外に漏れやすくなっているはずだ。東電は楽観的に考えていないか、疑問が募る。

 何より報告書は推定が中心で、信頼性に疑問符が付く。

 設置が決まった第三者機関「事故調査・検証委員会」の徹底した原因究明が必要だ。被害を拡大させないためにも、厳しい姿勢で取り組んでもらいたい。

 報告書は、原子炉を冷やすために続けている注水などで炉内の水位が維持できている場合と、そうでない場合の2通りのケースを想定し、分析している。

 水位を保てず燃料集合体が完全露出している場合には2、3号機ともに燃料の大部分が原子炉圧力容器の底に落下し、容器が損傷している、と推定した。

 東電は水位が維持できていない、との見方に傾いている。1〜3号機でのメルトダウンは、収束作業に大きな影響を及ぼす。冷却が滞るようなことになれば、炉心の損傷が深刻化する恐れもあるだけに予断を許さない。

 地震と津波がどのように事故に影響しているか、も焦点の一つだ。東電は冷却に必要な電源をすべて失ったのは、津波が原因とするこれまでの見解を、今回の報告書でも繰り返した。

 1号機では震災が発生した3月11日夜、非常に高い放射線量が検出されたことが分かっている。短時間に放射性物質を含む蒸気が充満したことから津波に襲われる前に地震の揺れで圧力容器や配管が損傷した可能性を指摘する声が出ている。この点についても詳しい分析はなく、不満が残る。

 第1原発は高い放射線量や増え続ける汚染水が、現場作業の支障となっている。このため、施設内部がどのような状況になっているのか、よく分からない。現段階で分析が不十分なのは仕方ない面があるにしても、事故の真相に迫るにはほど遠い内容だ。

 東電は今後も調査を進めるとしているが、客観的な姿勢を保てるか、心もとない。原子力行政からの中立性や透明性をうたった事故調査・検証委への期待は大きい。原因究明に「聖域なし」の姿勢を貫くことが求められる。

購読申し込みフォーム 携帯サイト紹介

最近の社説

 日本が見える 47news地域の銘品・名店勢揃い【47CLUB】
就職情報 不動産情報