原発事故で大半の地域が計画的避難区域に指定されている福島県葛尾村で、村に残された一部の牛の受け入れ先が決まり、24日から牛を移す作業が始まりました。
葛尾村の大半を占める計画的避難区域には飼育されている牛が400頭以上残っていて、世話をするために自宅にとどまったり避難先から通ったりしている住民もいます。村では、今月末までに住民を避難させるため、牛についても避難先を探したところ、隣接する田村市の牧場が繁殖用の牛およそ170頭を受け入れることになりました。24日は牧場のトラックが畜産農家を回って牛を移す作業が行われ、菅野正美さん(66)の農家では、親牛2頭と子牛1頭をブラシできれいにしてからトラックに誘導していました。菅野さんは、これまで100キロ以上離れた避難先から3日に1度、片道3時間をかけて通いながら牛の世話をしていたということで、「これで安心しました。牛も落ち着いてゆっくりできると思います。牛と一緒に早く戻ってきたいです」と話していました。牧場への牛の移動は、今週中をめどに順次進められることになります。計画的避難の対象地区があるほかの市町村でも、まだ避難していない畜産農家が多く、福島県は、牛を売却してもらうか受け入れ先をあっせんすることで、農家の避難を急ぎたいとしています。