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福島原発:賠償、避難状況で4段階の慰謝料算定 審査会

 東京電力福島第1、第2原発事故の被害補償の指針を決める、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長、能見善久・学習院大教授)は16日、4回目の会合を開き、避難に伴う精神的損害について、避難先の状況によって4段階の慰謝料を算定し補償する方針を固めた。今月中にまとめる2次指針に盛り込む。避難生活以外による精神的損害については、引き続き検討する。

 避難に伴う精神的損害は、生活環境や利便性、プライバシー確保などの観点から、精神的苦痛が大きいと考えられる順に▽体育館や公民館など▽仮設住宅や賃貸マンション、親類や知人の住居など▽旅館やホテルなどの宿泊施設▽屋内退避--とし、それぞれの慰謝料を算定する。

 慰謝料とは別に、避難先での宿泊費賠償についても議論。4月下旬に決めた1次指針では、政府の指示で体育館や公民館など宿泊費がかからない施設に避難している人に対しても「平均的な宿泊費」を賠償する方針を示していたが、自己負担でホテルなどに宿泊している人は相対的に少ないことから、避難者が実際に負担した費用を賠償することで意見がまとまった。

 政府の避難指示が解除された後の帰宅や、警戒区域内への一時帰宅に伴う費用についても賠償の対象とする方向で意見が一致した。

 一方、賠償対象となる風評被害として「消費者や取引先が放射性物質による汚染を懸念し、商品やサービスを敬遠したくなることが認められる場合」を認定する方針を確認した。ただし、震災による消費の落ち込みの影響は認めない。

 また同日、業種ごとに詳細な賠償方針を検討する専門委員を17分野で各3~4人、計50人以上指名することも決めた。【藤野基文、西川拓】

毎日新聞 2011年5月16日 21時10分

 

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