衛藤参院議員「ふざけるな！」と外務省幹部に水掛け

　自民党の衛藤晟一（せいいち）参院議員（６３）が２４日、党本部で開かれた外交部会で、説明の態度が悪いとして外務省幹部にコップの水をブチまける騒動があった。衛藤氏は、韓国国会議員の北方領土・国後島訪問に際して中止を働きかけたのか聞いた際、同幹部が発言を聞かず横を向いたことに激怒。「ふざけるな！」と水を掛けた。松本剛明外相（５２）は自民党に抗議する考えを示したが、衛藤氏は「外務省側が謝りに来れば『大人げなかった』と言う」と話している。

　まさかの「水掛け騒動」が起きたのは、正午から自民党本部で開かれた外交部会の席だった。

　衛藤氏ら数人の出席議員は、この日の韓国国会議員の国後島訪問を中止するよう韓国政府に求めたかどうかを、外務省側に質問。ところが、何度聞いても「事実関係を確認中だった」との答弁の繰り返しの上、同省幹部らが衛藤氏の質問を聞かずに横を向いて話していた。そこで衛藤氏は「ふざけるな！」と激高。コップの水を相手目がけてぶちまけ「本気で国益を守ろうと思っているのか」「外務省なんて辞めちまえ！」とブチ切れた。

　直後に同幹部は「衛藤先生に対し失礼がありまして、申し訳ありません」と謝罪。自民党側も、小野寺五典外交部会長がその場で「外務省の説明は不十分だったが、（衛藤氏が）やったことは申し訳ない」と謝罪した。

　会合後、衛藤氏は「部屋の端から端で７～８メートル離れていたし、コップの水は半分くらい。しぶきは掛かったかもだが、水は掛かっていない」。理由については「何度も『確認中』と言うし、俺の質問の時に笑いながらバカにした態度だった」と説明した。これに対し、松本外相は「私たちは言論の府の議員だ。物理的な力を行使することは遺憾だ。自民党側に何らかの申し入れをさせてほしい」と抗議する構え。一方、衛藤氏は「謝罪を要求されても事実を説明するだけ。謝りに来れば『大人げなかった』と言います」と話した。

　この日、韓国国会議員グループ３人が、北方領土の国後島を訪問。一行がロシアのビザを取得して訪問したためロシアの管轄権を認めることになるとして、政府首脳らは遺憾の意を示した。だが、韓国側に抗議するかを明らかにしないまま、菅直人首相はＧ８首脳会議に出席のため仏へ。こうした状況下で、衛藤氏の政府や外務省に対する怒りが爆発した形だ。

　◆松浪健四郎氏の水掛け騒動　００年１１月２０日、森内閣不信任案決議をめぐる衆院本会議で、壇上で演説中の松浪氏（当時保守党）が、野党議員から野次られて激高、コップの水を浴びせた。この場で退場処分となった松浪氏は「後悔するぐらいならやっていない。声の暴力に水で応えた」と強弁。後日懲罰委員会で２５日間の登院停止を受けた。

（2011年5月25日06時03分スポーツ報知）