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【社会】

非常冷却 津波前に停止 1号機

2011年5月17日 朝刊

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 福島第一原発事故で東京電力は十六日、非常時に原子炉を冷やす1号機の非常用復水器が、本震直後から約三時間にわたり止まっていたとの調査結果を公表した。東電はマニュアルに従って止めた可能性を強調しているが、津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある。1号機は後に炉内の温度が上がり、炉心溶融を起こしている。

 通常、炉内の水蒸気は主蒸気管を通じてタービン発電機に導かれる。原子炉が非常停止した際は、非常用復水器に蒸気が導かれ、内部にためてある水で冷却して水に戻し、その水を炉心に注入して冷却する。稼働後、約八時間は冷却できる設計になっている。

 東電が発表した震災直後のデータによると、本震発生から六分後の三月十一日午後二時五十二分に一度は復水器が起動し、炉の圧力は急低下。しかし、同午後三時には炉内の圧力が上昇に転じた記録が残っており、東電はこの時点で復水器が止まったと判断した。

 津波が襲ったのは、装置が止まった約三十分後。さらにその後、午後六時十分に復水器が再び動いたが、十二日未明までには完全に止まった。

 東電によると、炉内の温度が一時間に五五度以上下がる場合は、冷却装置を止めるようマニュアルに示されている。

 松本純一原子力・立地本部長代理は「午後三時にかけて炉内の圧力が急低下した。この時に温度も下がり、止めた可能性がある」とマニュアルに沿った行動だったと強調。ただし、根拠は示さなかった。また、「地震による損傷を示すデータはないが、その可能性も否定できない」とも述べた。

 

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