21日に消化管出血のため亡くなった俳優の長門裕之さん(享年77歳)の葬儀・告別式が24日、東京・元麻布の善福寺で営まれ、約250人が参列した。家族ぐるみの付き合いがあった俳優の奥田瑛二(61)は弔辞で、長門さん主演で映画を製作する話が進んでいたことを明かした。
小学校4年生の時、長門さんの代表作の一つ「にあんちゃん」(59年)を見て、俳優にあこがれを抱いたという奥田。その“大先輩”を、自らの手でスクリーンに輝かせる夢は、かなわなくなってしまった。
弔辞で奥田は「私がプロデューサーとして、(長女の)安藤モモ子が監督として、映画を撮ることをお願いしておりました」と告白。老人と若い女性が交流する物語で、昨夏に長門さんが動脈瘤(りゅう)の手術をする前日に、出演了解の返事を取り付けていたという。
今年に入り、クランクイン予定だったが、2月に長門さんが脳梗塞に倒れ、入院。撮影は延期となった。「その後も『頑張ってリハビリするから。待ってくれるか?』と言われ、秋まで待つことにしたんですが…。リハビリへの意欲は、すごかったと聞きました」
配役代え製作 発症後は、医師から「言葉が理解できず、話せなくなる可能性が高い」と言われていた長門さん。驚異的な回復を見せたのは、自分の作品のためだったということを後から知ったという奥田は、声を震わせた。
「たぶん、フッとため息をついた時に『あなた、いらっしゃい』と奥様(南田洋子さん)から声をかけられたんじゃないかと思います。映画よりも、南田さんの方が良かったんだろうな」と、おしどり夫婦として有名だった長門さんの気持ちをおもんぱかった。作品は“お蔵入り”とせず、別のキャストで完成させる予定だが「時々天国から降りてきて『オイ、オレはそんな芝居しないぜ』と声をかけてほしい。見守ってください」と天に向かって願っていた。
[2011/5/25-06:01 スポーツ報知]