2011年5月24日 10時48分 更新
福島第一原発事故-下水汚泥、焼却灰の放射線汚染が全国に拡大、建材利用として既に流通か
福島第一原発事故-下水汚泥、焼却灰の放射線汚染が全国に拡大、建材利用として既に流通か
2011年5月23日、神奈川県藤沢市の下水処理施設2か所から最大1kgあたり2908ベクレルの放射性セシウムを含む焼却灰と、同353ベクレルの下水汚泥が検出された。既に福島県内では、下水汚泥、溶融スラグから高濃度の放射性セシウムの検出がされていたが、その放射線汚染は徐々に全国に拡散している。既に、相当量の放射性セシウムを含む建材が流通しているとの報道もある。
Image from 国土交通省
藤沢市の発表によると放射性物質の汚染が確認されたのは、市内2か所の下水処理施設、辻堂浄化センターと大清水浄化センターである。同じ神奈川県では、川崎市が17日に焼却灰から1kgあたり1万3200ベクレルの放射性セシウムを検出。横須賀市でも、焼却灰から同1万1970ベクレルの放射性セシウムを検出した。
この神奈川県の例だけではなく、5月23日には茨城県でも県内6か所の下種処理施設から放射性セシウムが検出されている。下水汚泥は1kgあたり87~674ベクレル。焼却灰は同1320~1万3365ベクレルの値となっている。東京都でも同様に高濃度の下水スラグの汚染が確認されている。
関東以外では、長野県諏訪市で金を含み売却予定であった溶融飛灰から1kgあたり約1000ベクレルの放射性セシウムが検出された。これにより、売却は中止となった。その他にも微量ながら山形県などでも検出が確認されている。
既に放射線汚染された焼却灰などは、建材とし流通している事実があるとの報道もあった。尚、その建材の行方は不明であるとのことである。
下水の放射線汚染に関しては、早い段階で危惧する声が上がっていたものの、国土交通省を含め、国の下水道に対する対策は完全に後手に回った形となった。5月12日に「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」とする通達を出しているが、全国的な対策は遅れている。
電話により確認を行ったが、国土交通省、内閣府原子力災害対策本部では現段階ではこの資料は福島県限定であり、全国レベルの対策は実施されていないとのことである。
既に、半減期30年の放射線セシウムで汚染された建築材が相当量、流通してしまったという報道に関しては、国土交通省は把握していないとのことである。
水道汚染に比べ、マスコミ報道も話題にならないが、壁に塗り込められた半減期30年の放射性セシウムは、どの程度の健康被害を与えるものなのであろうか。