これには本当に驚いた。
こうした展開は霞が関のマスコミ対応、そして「記者クラブ」という制度の本質を物語っている。日常の取材活動をしていると、なかなか見えてこないが、いったん役所をはっきり敵に回すと何が起きるか。「権力の本性」をかいま見る思いがする。今回はその点を書く。
「出入り禁止処分」について確認しようと思って、私は19日午後、事前のアポイントなしで経産省広報室を訪ね、成田を直撃した。アポなしで訪ねたのは、前回コラムで紹介したように、成田はまず「それは『上司』に聞いてください」と逃げようとしたからだ。事実を確認しないことには、話が始まらない。
直撃に沈黙する広報室長
成田は室長席に座っていた。私を見ると一瞬、驚いた様子を見せながらも「あちらへ」と部屋の隅の椅子に案内してくれた。以下は、やりとりである。
「どうも突然、時間をいただいて、すみません。いくつか聞きたいことがあって来たんですが・・・」と話し始めると、成田は途中で言葉をさえぎって「これはどうなるんですか?」と聞いた。
「どうなるって」
「いや、つまりこれは記事になるんですか」
「まだ何も決めていません」
「きょうお話を聞きたいと思ったのは、私のコラムがサイトに出た。そして昨日の東京新聞にも記事が出た。すると、経産省は東京新聞記者に対して幹部との懇談に出席するのを遠慮するよう求めたという。まず、それは本当なのか。私の記事に関連して、東京新聞記者の取材活動を制限するような措置をしたとすれば、それはどういう判断か?」
成田は沈黙している。
「つまり、事務次官や官房長との懇談への出席を遠慮してくれ、と言った件です」
成田はしばらく下を向いていたが、ようやく口を開くと「お話しできないですね」と言った。
「どうしてか」
- 「枝野批判」オフレコ発言をすっぱ抜かれ、 今度は東京新聞記者を「出入り禁止」 にした経産省の「醜態」 (2011.05.20)
- 本人に直接言わず、上司に電話 「オフレコ破り」と抗議してきた経産省の 姑息な「脅しの手口」 (2011.05.17)
- 「銀行は東電の債権放棄を」枝野発言に 資源エネ庁長官が「オフレコ」で漏らした 国民より銀行、株主という本音 (2011.05.14)
- 菅政権はあてにならない。 被災地の知事、国会議員が団結し 復興のための「被災地会議」を開け (2011.05.13)
- 「菅首相は役立たずだから外国にいってもらって結構」という米倉弘昌日本経団連会長のホンネ (2011.04.29)
- 本人に直接言わず、上司に電話 「オフレコ破り」と抗議してきた経産省の 姑息な「脅しの手口」 (2011.05.17)
- 「脱記者クラブ」を宣言し、巨大広告主を激怒させて「一流紙の名声」を得たWSJ (2011.01.20)
- ウォーターゲート事件のディープスロートさえ「オフレコ」取材ではなかった米国新聞の「ルール」 (2011.01.06)
- 佐々木俊尚(ITジャーナリスト)×長谷川幸洋(東京新聞論説委員)vol.1 「新聞記者はなぜ権力のポチになるのか」 (2010.06.14)
- ウォーターゲート事件秘話、ワシントン・ポストのスター記者が断念した「記者クラブ的談合」取材 (2011.03.10)
-
-
毎日フォーラム~毎日新聞社1兆4000億円超の被害、農水省試算 (2011.05.24)
-
-
経済の死角実はこんなに高い あなたの町の「本当」の放射線量 (2011.05.24)
-
ソーシャルウェブが未来を創る!日本からしか生まれ得ないウェブサービスもある 「日本発」の可能性 (2011.05.24)