お金・給料の新常識
2011年 5月 24日

これが宗教法人の「義援金ランキング」だ

「震災・原発と経済」の小さな大疑問

原発事故が深刻化する中、宗教団体がどのような次の一手を出すのか、阪神大震災とは違ったレベルの対応が求められている。

メディアではなかなか取り上げられないのが、今回の大震災に対する宗教団体の「貢献度」だ。別表にある通り、大手教団は多くの寄付、物品の提供を行っている。阪神大震災時にも、施設を避難所として開放(創価学会等)したり、教団信者がいち早く現地入りして支援活動を行った(真如苑等)実績がある。

創価学会、立正佼成会の義援金は5億円!
写真を拡大
創価学会、立正佼成会の義援金は5億円!

教団自身が寄付するケースや信者に対して募金活動を呼びかけるパターン等、スタイルは様々だ。寄付の行き先としては、地方自治体に直接送られるケースが多い。例えば、今回の創価学会の義援金の内訳は、宮城県、仙台市、岩手県、福島県、茨城県、千葉県に、それぞれ1000万~1億5000万円となっている。

被災地域では、施設の崩壊・流失、信者の被害など、教団自身の痛手も多大だ。一義的にはこうした状況に手を差し伸べなければならないが、今回、多くの教団の初動は早かった。

例えば、真如苑では、阪神大震災直後に結成した緊急災害時のボランティアグループSeRV(サーブ)の先遣隊4チームが13日には現地入り、被災地域の状況やボランティアの受け入れ体制を確認している。平時から、こうしたボランティア団体を組織している教団は多い。

しかし原発事故が深刻化する中、宗教団体がどのような次の一手を出すのか、阪神大震災とは違ったレベルの対応が求められている。被災地に人、金、モノを投入し続けている宗教団体そのものは、災害ボランティアのために組織されたわけでもない。信者以外の人々をどう救うかについて議論は起きる。

宗教法人は平時から「ボランティア活動」「教育基金」等々で社会貢献してきたが、それ自身、本来の宗教活動とは別次元のものだ。もちろん教団そのものの震災に対する寄付は、規模(信者数)が大きい教団ほど金額が増えるのは当然だ。しかしそれと信者個々人が進んで(宗教団体以外へも含む)寄付行為を行う点は、分けてみる必要がある。

言い方を換えれば、今、宗教法人は「人の救い」そのものの真価が問われている。人、金、モノの状況は少しずつ改善されよう。だが「人の心」にぽっかりあいた穴を誰がふさぐのか? 阪神大震災をはるかに上回る規模の被害に、宗教団体の対処も従前通りにはいかない。

※すべて雑誌掲載当時

>>「『震災・原発と経済』の小さな大疑問」の目次はこちら

Check
Feedback
この記事を 全部読んだ
  一部だけ読んだ
  あまり読まなかった
内容は とても参考になった
  まあ参考になった
  参考にならなかった
 
プレジデントのおすすめ記事
特集
環境フォト・コンテスト2011

[PR]応募総数1万7256点のなかから選ばれた入賞作品を発表します

がんばれ日本!

「奇跡の復興」に向けて~プレジデントロイター東日本大震災関連記事

経営者たちの40代

三井住友銀行、コマツ、東芝……。経営者の知られざる素顔を描く。

プレジデント最新記事