チェルノブイリ級の土壌汚染も 原子力委に専門家報告国の原子力委員会は24日、定例会議を開き、福島第1原発事故の対応を討議した。専門家として招かれた原子力発電環境整備機構フェローの河田東海夫氏(原子力工学)は放射性物質による土壌汚染の濃度が一部地域でチェルノブイリ事故に匹敵するとの分析結果を示し、避難住民の帰還には「大規模な土壌修復計画が不可欠だ」と指摘した。 河田氏は、文部科学省の空間放射線量調査などから原発周辺の土壌に含まれるセシウムの量を推計。原発の北西を中心に、チェルノブイリ事故で強制移住の基準となった1平方メートル当たり148万ベクレルを超える地域が約600平方キロにわたって広がり、同事故で一時移住の基準となった同55万5千~148万ベクレルの地域も約700平方キロに上ると説明した。 汚染地域の面積はチェルノブイリ事故の5分の1~10分の1程度とした。同148万ベクレルの場合でも、被ばく放射線量は年間5ミリシーベルト程度で、政府が計画的避難区域の設定基準とした年間20ミリシーベルトを下回るという。 河田氏は「セシウムが土壌と強固に結合している」とし、放射線量が下がりにくいと強調。表土と下層の入れ替えなど、住民が帰還するために除染が必要だと述べた。 文科省などの調査でも、1平方メートル当たり60万ベクレルを超える地域があることが判明している。文科省は「チェルノブイリ事故と、避難などの基準は単純に比較できない。土壌の修復については、政府全体で今後判断する」としている。 【共同通信】
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