"古代において剥き出しだった「権力」は、近代になり、「学術的な知」を介して、むしろ徹底的に行使されるようになった。" ― ミッシェル・フーコー


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2011年05月24日(火) 17時41分17秒

『私の嫌いな10の言葉』中島義道 ― 不快の根源を考察する業

テーマ: ∟読書・書評
僕の好きな哲学者・作家に、中島義道さんがいる。

彼は哲学の根本的な問題を実体験に基づきながらわかりやすく読み解いてくれる、「戦う哲学者」だ。独自のニヒルで人生を諦めた皮肉な悟りの視点が不思議な共感を覚えてしまう。

さて、彼の本はたまに読むのだが、今回はタイトルに惹かれてこの本を読んでみた。

私の嫌いな10の言葉 (新潮文庫)
中島 義道
新潮社
売り上げランキング: 21618


「相手の気持ちを考えろよ!」
「ひとりで生きているんじゃないからな!」
「おまえのためを思って言っているんだぞ!」
「もっと素直になれよ!」
「一度頭を下げれば済むことじゃないか!」
「謝れよ!」
「弁解するな!」
「胸に手をあててよく考えてみろ!」
「みんなが厭な気分になるじゃないか!」
「自分の好きなことがかならず何かあるはずだ!」


「こんなもっともらしい言葉をのたまう大人が、吐気がするほど嫌いだ!」と中島さんはずばり言う。これらの言葉をキーに、日本社会の不快の根源を探っていくのだ。

おそらく、この10個でなくとも本は書けたであろう。

しかし、10個という分かりやすい数字と題材によって、人間が本来持つ権利を侵害されることに鈍感になっている(あるいはさせられている)我々の日常をズバリと指摘する。

中島さんは、オーストリアでの留学経験から、自らの権利を侵害されているのに気づかない日本人に違和感を感じ始めたという。

例えば、欧州の子供に何か注意しても、謝ったりしないし、簡単に言う事を聞かない。なぜなら、大人から注意されることは、すなわち自由という自らが自然に持つ権利を侵害されることになるからだ。

なので、簡単に自分の否を認めない。そして謝らない。
それは欧州の人々にとって、自らの権利を守るための自己防衛なのである。

ところが日本はどうか?

「みんながやっている」や道徳として決められたことを馬鹿の一つ覚えのように守る。「すいません」と簡単に言って、揉め事を解決する、面倒だからとにかく謝る。

これらの差異は文化の違いといえば一言で済むが、われわれ人間には自由にする権利があるのにもかかわらず、それを学校教育や常識で縛ってしまう目に見えない権力は、暴力そのものでもある、と迫る。だから私は不快を感じるのだと主張するのだ。

常識というなの権力で自由を奪う暴力的な行為を、中島さんは徹底的に批判しているのだ。

学校の給食など食べたくないし、体育などする必要もないのにやらされる。一人で自分の好きに生きたいのにそれを許さない、暴力的な権力とはいったい何なのか?自分を不愉快にするモノとは?

多岐な問いかけを、これらの10の言葉と、さらにはテレビ番組などを題材に挙げて読み解いてゆく。なかなか本作は読み応えがありました。

特にテレビドラマや文学作品の不愉快の考察が非常に面白い。

・・・・・・

NHK朝の連続テレビ小説『あすか』は、京都や明日香村がまさに絵葉書のとおり出てくる、そして京菓子伝統職人たちがまさに職人物語のように出てくる過度に典型的つまりこんな世界どこにもないということがよくわかる非現実的なドラマですが、とくにその女主人公あすかは見ていて鳥肌が立つほど不愉快です。

…中略

そんなに不愉快なら見なければいいだって?

まさにそのとおり。だがなぜか私のこのごろの「趣味」なのですが、自分をきわめて不愉快に持ってゆくものを探り出して、自分がどれほど不愉快になるか実験してみようという強烈な欲望に支配されるのです。

・・・・・・


非常に興味深い趣味だと思った。
自分の不愉快の根源を探る遊び、その分析がまた的確で興味深いのです。


特に、村上春樹の『ノルウェイの森』の考察が非常に的確で面白かった。

・・・・・・

ベストセラーになったときから、読んだら絶対不快になるだろうという予感を感じていたので、ずっと読まなかった作品なのですが、この前、意を決して読んでみました。

読んでみると、不快の大波が次から次に不思議なほど押し寄せる。あまりにも不快であるために、かえって興味を抱きました。

内容の非現実性にすっかり動転。世間からはじき出されたまともではないはずの人々が続々登場するのですが、みんな知的にも肉体的にも経済的にも並以上、いやかなり恵まれた人ばかり。

誰一人として「デブでブスで誰にももてずに」とか「三流大学でさえ受からないアタマで」とか「父親に殴られながら育って」とかいう具体的な悩みを抱えていない。

そんな恵まれた人々が次々に抽象的な理由で自殺したり精神病院に入ってしまう。みんな抽象的に他人を世間を恐れている。これって相当ひどい話ではないでしょうか。

・・・・・・


「もっと素直になれよ」の章で登場するこの考察、
若干本書の主題とはズレるのだが非常に優れた批評だと思った。

見たままを素直に単純に考えずに、こうして深い部分を考察する重要性を中島さんは訴えているのだ。その人が語る世界を疑う必然性が、物書きには必要なことなのかもしれない。素直なままじゃ見れない世界を見る、そして書く。

こうした色々な題材があるので、なんだかまとまらない書評になってしまった…。

がしかし本書の面白みは、実は10の言葉ではなく、それを取り巻く、自らを不快にさせる様々な事象や文化作品への考察なのである。

ノルウェイの森しかり、本書からは不快の根源を考察するノウハウ本でもある。



その他、塩野七生や山田詠美さんの小説の「子供はセックスを知らないから残酷だ」など色々と興味深い考察が盛りだくさんで紹介したいのですが、ちょっとしんどいので、興味ある方は是非、本書を手に取って下さいーm__m
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2011年05月23日(月) 10時24分25秒

ジョギングの健康効果 ―体内循環活性術

テーマ: ∟健康
この前、久しぶりにジョギングをしてみた。


そうとも、デスクワーク中心で、今では固定費がもったいなく感じてジムにも通っておらず、運動は自転車のみという生活をしている筆者としては、運動不足に悩んでいた…、

というのは少し嘘なのだが、座ってばかりだな何か調子悪くなるんですよね。

特にそんなにカロリー使ってないのにお腹がやたら空く。
知的労働たるものをしているからか、甘いものだったりをやたら食べる。

そして炭水化物を取りすぎて太ってくると。

かつて痩せ過ぎなタイプだった私であるが、何故か23を過ぎたあたりから、体重が増量してきたのである。恐らく運動不足+炭水化物の過摂取が原因かな?と推測。

やはり23過ぎると太り易くなるのが人間の宿命なのかもしれない。

ということで、運動して血糖値を下げないと危険な気がしてきたのです。

さらに、自分の炭水化物への食欲の原因が何かと考えてみたのだが、結局、体の循環がデスクワークで悪くなっていることなんじゃないかと思った。栄養を体に巡らせる血行が座りっぱなしで悪くなる。だからお腹が空く。


ということで、季節的にも暖かくなってきたので、
僕は夕食後、ジョギングをしてみた。

およそ5ヶ月ぶりだった。

以前は毎晩ジョギングしているような時期もあったが、ジョギングは活性酸素が溜まって老化を早めるというデメリットがあるので、何故かやらなくなってしまった。

そもそも、人間は走るために生まれてきていない。

もしも人間が走るために生まれて来たのであったら、きっと僕らは四足歩行のまま進化していたから。だからマラソンランナーは老けてしまい、早く死ぬ人が多い、という話を聞いて以来、ジョギングは人間の生活にはなじまないんじゃないかという気がしていたのだ。


しかし、久しぶりにジョギングをしてみると、
走り出して5分後ぐらいには、血流がかつてない速さで回り始めた。

それによって、体内で詰まっていたものが洗浄されて、体の中がクリーンになっていくのを感じた。さらに、今まで動いていなかった部分が動き始めたような、それに伴いアドレナリンが放出されたようで興奮してきた。

体がクリアになり、頭も冴えてくるのだ。
血流が活性化すると共に、頭の血も回りがよくなる。

ジョギングの効果は、スゴイ。


そうです、身を持って実感してしまったのです。

日ごろ、僕たちはジャンプしたりすることってない。

だからこそジョギングなど、体を激しく揺らすことで、詰まりを取り、体の血液を巡らせるための何かが僕らには必要なんだろうなと感じた。

ジョギングすると、眠気もだるさも、さらには食欲も吹っ飛びます。

血の巡りがよく栄養が体中に補給されるので、なぜか満ち足りた幸福な状態になるのだと思う。

いやはや恐るべき効果だ。こうして興奮してブログのネタにするほどアドレナリンが放出されますからね(笑


人間にとって重要なのは、エネルギーを摂取することではなく、エネルギーをいかにして巡らせるか、なのかもしれない。

そういえばかつて「短く深く眠る本」という本にハマったことがあったのだが、短時間睡眠の秘訣は「少食」にあり、そのために食事を節制して、我慢するためには水を飲んだり走りに行ったりすれば循環が良くなり食欲は抑えられると書いてあった。

確かに、その本の通り、体が巡って自然な状態に戻れる。
食欲も自然になり、少食でも満たされた気分になれる。


というように、久しぶりに走ると、とんでもない効果があったという話です。

筋トレやエアロバイクはカロリー消費して筋肉つけるけども、体を揺らさないので体内循環がクリーンにならないので欠点だったのだ。

体を動かさない仕事をしているデスクワーカーにとっては、ジョギングなど体を揺らす運動って非常に重要だと思います。

定期的なジョギングをやると、本当に面白いぐらい効果が出そうです。


とは言っても、詰まっている時にやるから効果があるわけで、毎日やっていると逆に活性酸素が溜まったりと、逆に危険な状態になる可能性あります。

やりすぎに注意して、週に一回、20分ぐらいがベストかもしれません。


なので今後、筆者は、なんだか体の調子悪いなと思った時は、
ジョギングをして体内を浄化するぐらいの付き合い方をしてゆこうと思います。
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2011年05月21日(土) 10時30分17秒

過去アーカイブ・未発表記事 有料販売のお知らせ

テーマ:[ブログ]徒然
どうもこんにちは。

今日もいい天気っ。

さてさて、絶賛更新中の当ブログですが、
ここに来て過去アーカイブの整理に取り掛かり始めました。

ずばり、古くてあまり読まれてなく、
かつプライベートな色の強い記事は、
しょうもないので消していこうという計画です。

あまり公共無料の場にいつまでも個人的なものや駄文の色の強いアーカイブを放置したりするのも何なので、当ブログの過去アーカイブを一部削除し、バックアップとして有料裏ブログに移すという計画です。

お賽銭的な感覚で買って頂けると嬉しいですが、
過去のものなので、まあそんな買ってもしょうがいかもなと思います(本音w

とりあえずこんなのを移し完了しました。

裏ブログもたまに無料で書いてます↓
表ブログからのデータ移行の予定|裏世界の始まりと~

■過去アーカイブ(コラム
福田Labのコラム集

また同時に未発表なネタもこのような形で公開中です↓

■未発表・非就職ジャーナル ウェブ公開記事
【非就職インタビュー】
就職を<半分>捨てた男
会社員から風俗店の経営者へ
 (今後もバリバリ追加してゆきます)


全て一記事100円で売っています。

しかし全部読みたいならば、
バックナンバーで買った方がおトクになりますね。


まあ、ぶっちゃけ、
そんなに買う必要はないんじゃないかと思いますw

このように裏と表を使い分けている僕ですが、Twitterやブログなどでも特に宣伝していないように、あまり商売っ気ありません。

ただ、公開したいけどできないような情報は閲覧者絞ってプライベートの要素を強めたかったのですよねー。


今日びPV至上主義で、ブログのアクセス数を増やすためには持っている情報を出し惜しみせずに書きまくろう!、的な煽りや流れがあるんですけど、はっきり言って本当に全部出すのは危ないし怖いなあと思う昨今なのです。

特に現代は、色んな利害が複雑に絡み合っている世の中ですからね。

公共で公開しないから価値のあるものが世の中には沢山あるわけで、無料公開の世界だけで人生が変わるようなことって、そんなにないんじゃないでしょうかね。

結局は、無料公共のネットの世界に、真に影響力のある人物が重要な情報を放置するわけがないよなあと感じるようになってきたのです。

商売が成立しなくなったり、個人情報を詮索されたり、あまりいいことがない。

なので人生を変えたければ、ブログ読むより本読んだり音楽聴いたり映画見たりした方がいと思いますね、はい。価値のある作品は無料の場所にはないわけなので(裏技使えば無料で手に入るものもありますがw)


オピニオンのようなことは公共に置いた方がいいんですが、それ以外のものは、何かしらのロックを掛けたいなと。個人的な趣旨ですがね。


ということなので、
裏ブログはバックナンバー的に閲覧者がいなくなっても書き続けると思います。


長くなってしまいましたが、
バックナンバーは随時、独断と偏見で削除していく予定なので、
過去アーカイブを漁りたい方はお早めにどうぞw


若干、趣旨は変わりましたが、
今後も当ブログをよろしくお願い致しますm__m
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2011年05月19日(木) 10時09分38秒

タビビト・国井律子さんの本

テーマ: ∟読書・書評
ここ最近、あまり本は読まない。

しかし、読むならば旅の本ばかり読んでいる。

私がタビビトとして最も尊敬しているのは花村萬月さんだ。


その他にも宮田珠己さんであったり、香港中国の旅行記を書いたりしている星野博美さんも読んだりする。旅行記を書く人、特に旅先で実際に見てきた世界を描いているので興味深い。

嘘や虚構の物語や小説も悪くはないが、旅というホンモノの経験に触れて自分自身の旅の構想を広げたいと僕は思っているのだ。


さて、そんな僕であるが、ここ最近、
女性旅行者として最も憧れている国井律子さんの本を買った。

国井印アリマス―タビモノ・バイクモノ (ワールド・ムック (465))
国井 律子
ワールドフォトプレス
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序文、
「私はケチである。無駄遣いはせず、使うお金は一日平均500円以下。
家では光熱費を浮かすためマフラーを巻いて暮らしている。

仲間と借りている事務所には夕べの残りをタッパーに詰めて通っている。
でも決してひもじくはない。ケチ=日々の趣味だから毎日が最高に楽しい。ついでに言えば貯金も大好きだ。」


なかなか素敵な始まり方をする本だと思った。

ケチ、というのはフルタイム旅行者の本質でもある。

西洋のバックパッカーなど長期間旅をしている人間は食い扶持がないので、ケチになること、節約することが最大の稼ぎになり、生きる上で大切な生活手段なのだ。

持て余す金を持って旅をするセレブリッチな旅は単なる娯楽旅行。

趣味としての旅行は、ある程度の長い期間、金銭を稼ぐこととは多くの場合無縁の「旅」という活動の本質は、身銭を切り詰めて、非日常的な視点から未知なる世界を見ることにある。

セレブリッチな旅では見えない世界があるんですよね。


ちなみに国井さんは大学卒業してからフリーターで趣味に生きる人で、バイトで稼いだ金で旅をしまくったり、ハーレーで国内を放浪したりと、完全な自由人的な生き方をしてます。

僕のライフスタイルにもかなり近いものがある。

大卒後でそれなりの知識と教養もあるが会社員として働きたくなく、放浪しながら旅をするにはどうすればいいのか?

贅沢な悩みであるが、
その一つの答えが、僕は国井さんの生き方だなと思う。

旅をしながら働くにはどうするか?

非生産的である旅を生産的な次元に移行するためには、旅の合間に仕事をするか、あるいは、旅そのものを表現することで作品にする。そんなある種の表現者の次元を目指すことになるのは、旅で食いたい人にとっては必然なのかなと思う。

だからこそ、彼女の作品は単なる旅行記ではなく、フォトエッセイであったり、編集や製本にまで携わっている手作り感を感じるのだ。自分でソフトを使って構成している感じが伝わってくる。

フリーで生きているだけに、その仕事っぷりや生活スタイル、旅スタイルが垣間見える、本書『国井印アリマス』はそういう本だった。一つの旅のライフハックや雑誌的であり、実用書とエンタメが混ざっているその温度感が心地よい。

男勝りな言語感覚や、料理、地味な旅行以外の時間の過ごし方、節約術、ライトで深みはそんなにないけれど、旅が好きな人としては興味深く、頷ける価値観の本でした。

突っ込みどころもある人だけども、
こういう生き方は本当に憧れてしまいます。

旅をしながら表現して、作品を作って売る。

素晴らしい仕事、意義もある仕事だ。

こんな本読んでると、
僕もいつか旅で食って生きたいなあ、と思ってしまう。
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2011年05月17日(火) 16時30分47秒

夜行列車で眠りたい ―ノーンカーイ行きの夢列車

テーマ: ∟旅人・旅行記
絶賛更新中・「タイランドから至る旅」の一説です。


夜行列車でのワンエピソードを。



・・・・・・・

4月の末、私は荷物を宿舎のLee 3に預けて、ラオスへ向かうことを決意した。

さて、どうやってラオスへ向かうか。
まずは国境の境の都市であるタイのノーンカーイへ行くことにした。

バンコクから北東に700kmほどの都市。
バスで行くこともできる。それがおそらく最も安く、チケットを取るのも簡単。

しかし、先月のシンガポールからタイへの旅でバスは散々乗って飽きていたこともあり、この機会にタイの夜行列車に乗ることを決した。

まずはバンコクの中央駅であるフアランボーン駅へ向かう。

世界の始まりとハードボイルド-駅

世界の始まりとハードボイルド-駅2

なかなか歴史を感じる雰囲気でもある。
実際に、タイの鉄道は古いものが多いらしい。

さて、チケットは取れるかが問題だ。
噂では、寝台のある席は人気があるらしいのだ。

案の定、ファンなしの400Bほどの最も安いベッドの席は空いてなかった。

仕方ないので、僕はエアコン付きベッドというワンランク上のちょっとリッチな席を取ることになる。個人的にエアコンは逆に夜は寒そうなのであまり欲しくなかったがやむをえない。

それでも688バーツという2000円にも満たない金額でノーンカイまで行けて、さらに宿泊できると考えるとお得だ。夜行列車は交通費と宿泊費が含まれているのでお得な気分になる。

世界の始まりとハードボイルド-出発

さて、出発は20時。
そして翌日の8時に着くという予定の列車だ。

夜行鉄道は始めての経験なので、ちょっと戸惑うがワクワクする。


世界の始まりとハードボイルド-列車1

こういう形で2人一組、上下にベッドになっている。
そのため、なぜだか相方に座る人と会話が楽しめたりするようだ。

世界の始まりとハードボイルド-列車2

寝るときにはこのように乗員が組み立ててくれる。


さて、この夜行列車で同じ席の人は、白人のスイス人女性だった。

欧州系の人は英語が堪能なので、色々と会話する展開になった。
(実は、アメリカ人など英語のネイティブよりも、第二外国語として英語を使っている人の方がアクセントや発音がベーシックで聞き取り易いことに気づく)

とういことで英会話レッスンしているかのごとく、日本の原発の話や、身の上話をした。

彼女の友人も東京にいるらしいが、意外にも普通にそのまま滞在しているようだ。スイス人は冷静なのかな。彼女も西洋のちょっと神経質そうな欧州インテリな空気を感じる。

案の定、彼女はスイスの医療系の大学を卒業して、その後、なんとラオスで仕事の一環で研修のような仕事をするらしい。つまり女医、ドクターになる正真正銘のインテリさんのようだ。

そして三ヶ月間、ラオスで仕事するまで時間があるらしく、色々と旅をしようとしているとこらしい。まずはラオスの病院に荷物を置いてから移動すると言っていた。彼女は西洋人バックパッカー流に、バックパックを二つ携えていた。いや、女性でも旅をする活発な西洋人に僕は敬意を抱いてしまう。

そんなこんなで、夜行列車は意外にも旅人や品のいい人との出会いの場でもあるんだと思った。まさしく、移動するゲストハウスだね、これは。

そして途中、日本人から話しかけられた。

「すいません、タイ語の本かなんか持ってないですか?一緒の席の人と話したいんです。。」

20台後半ぐらいか、日本の若い兄ちゃんといった感じの人でバックパッカー風。僕はこの列車に日本人がいることに気付いてなかったのでびっくりしたが、感じのいい人だったので、「あ、地球の歩き方タイしか持ってないですがいいっすか?」と言った。

「おお、実は僕は東南アジアの地球の歩き方しか持っていなかったので、貸してくれませんか?」

という展開で、同じ列車の日本人の兄ちゃんに本を貸した。そうとも、タイの地球の歩き方にはタイ語の辞書のようなものが載っているのだ。

そんなこんなで、びっくりしたが、
色んな人々が集まっているこの夜行列車、なんだか不思議な夜だなと思った。


しかし、東南アジアの旅は面白い。

そもそも、アジアで長期間の旅をしてる西洋人は、間違いなくインテリなのだろう。いくら物価安いとは言え、貧乏だとはるばるアジアへ仕事せずに来れないだろう。大抵、大卒後の放浪者なのではないかな。それだからか、贅沢旅行はあまりせず、西洋人バックパッカーは大抵かなり節約思考だ。それにはなかなか感心させられる。無駄な金を使わない姿勢は欧州的なのだろうか。

そんな欧州のバックパッカーや若者旅行者を見ていると、日本の未来を姿を感じる。

若者は職がないので、いい大学を卒業しても就職しないで物価の安い地を質素に旅をする。なので、知識や教養が深いけれども職を持っていない人が多い。

不思議な光景に感じたが、こうした高等遊民的人種の誕生は、近代化の流れで考えると当然なのかもしれない。

職業の利権を握っているのは、いつの時代も上の世代というのは先進国ならば当然の構造なのだろうね。


そんなこんなで会話しているとあっという間に時間は流れ、22時になるころには乗員がベッドを組み立てる。もう寝る展開になるようだ。

世界の始まりとハードボイルド-列車3

世界の始まりとハードボイルド-列車4

こんなふうに完成。ここが僕の寝床。

英語で慣れない会話をしてちょっと疲れたので、
電車に揺られながらも、不思議とあっという間に眠りに付いた。

ちょうどいいな、この寝床。
まさしく夢列車。電車の揺れが逆に気持ちよい。

6時間ぐらい寝て起きたら、もう朝が来た。


さて、この列車旅の続きは、
過去にリアルタイムで更新したこのエントリーでお楽しみ下さいー。
クロス・ザ・ボーダー


メコン川の国境だ。すぐ向こうは別の国。

世界の始まりとハードボイルド-国境

その後、雨の中、国境を超えてラオスへ至った。

世界の始まりとハードボイルド-ラオス

緩やかな空気の中、笑顔に絶えない人々に出会ったよ。

世界の始まりとハードボイルド-トラック

旅をしている方が出会いが多い。
やっぱり俺は一期一会が好きなのだなと感じる。

列車に揺られて眠る幸せがあったり、
夜行列車の出会いは素敵な一期一会だった。

・・・・・・・・



さて、次なる旅はどこへ行こう。

最近は旅をすればするほどネタが増えて、書ききれないことばかりで困ったもんだね。いや、贅沢な悩みってやつですね。


義捐金でお世話になった台湾でも行こうかしらねえ。
二回目の訪問、今度は温泉めぐりでもしようか。
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