中国政府が地方の医療の向上に期待を寄せている遠隔医療に、日本の北海道の医科大学が協力することになり、23日、北京で調印式が行われました。
広大な国土を抱える中国では、医療面での地域間格差を解消するため、患者のデータを遠く離れた都市部の専門の医師に送り治療に役立てる「遠隔医療」の充実に力を入れています。このため、遠隔医療で実績のある北海道の旭川医科大学が、日本の医療機器メーカーなどと協力して、遠隔医療のシステムを中国に無償で提供することになり、23日、北京で調印式が行われました。具体的には、北京と上海にある総合病院にまもなく完成する「遠隔医療センター」と、内陸部の陝西省と四川省の2つの病院をインターネットで結び、中国で初めてとなる立体的に見えるハイビジョン映像を伝送し、患者の診断や治療に役立てるということです。このシステムは早ければことし7月に運用が開始される予定で、その後、ほかの地方の病院にネットワークを広げていくとしています。調印式に出席した中国衛生省の馬暁偉次官は「医療格差が深刻な中国にとって、今回のような支援は私たちが長い間待ち望んでいたものだ」と感謝の意を表明しました。また、旭川医科大学の吉田晃敏学長は「震災では中国から援助を受けた。こちらからは遠隔医療を支援することで恩返しをしたい」と話していました。