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社説

日中韓会談 震災を超え太い絆に 5月23日(月)

 絆に深く感謝しています−。

 東日本大震災が起きて1カ月後、日本が各国の支援に対し、発した感謝の言葉である。日本政府との間では摩擦が目立つ中国、韓国でも新聞に同様のメッセージが載った。

 今回の日中韓首脳会談は、その絆をより太く、より確かなものにできるか、が焦点だった。

 首脳宣言では、震災復興や災害支援、原子力の安全強化のほか、福島第1原発事故による日本産品の風評被害防止でも協力する姿勢を打ち出した。首脳同士が関係強化へ向け、前向きな姿勢を確認し合えたことはよかった。

 けれど、戦後最大の危機に直面し、日本が外交面で身動きが取りにくくなっている折である。最低限度の目標が達成できた、と控えめに考えた方がいい。

 支援の手を差し伸べた各国は、日本の原発事故への対応や復興作業を厳しく見ている。地理的に近い中国や韓国はなおさらだ。

 震災対応で手を抜けば日本の信用はさらに失われる。首脳会談を無駄にしないためにも、菅直人政権はあらためて気を引き締める必要がある。

 中国と韓国は震災の発生後、救助隊の派遣など、いち早く対応した。中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領は会談前日、宮城県の被災地を訪れて献花した。菅首相とともに原発事故の避難所となっている福島県の体育館も訪れ、住民を励ましている。

 震災後、外国の首脳が福島を訪問したのは初めてで、日本を支援する姿勢を示した。温首相は菅首相との個別会談で、日本からの食品輸入禁止措置を一部緩和する方針も示している。

 日本側には、中韓の首脳に福島入りしてもらうことで、国際的な風評被害を何とか食い止めたい、との狙いがあったようだ。

 今後、原発事故が深刻化したり収束が工程表より長引いたりすれば、各国の努力が台無しになる恐れもある。原発事故を一日も早く抑え込むことが、日中韓の関係にとっても大切である。

 今回の会談は、尖閣諸島や竹島問題は事実上棚上げされ、震災関係が中心となった。融和的な雰囲気が生まれたのも、日本が非常事態にあるからだ。

 火種は残ったままだが、日中韓3カ国は前向きな関係を築かねばならない。首脳会談は、懸案を抱えながらも、東アジアの隣国同士として、絆を深めていく努力と工夫がより重要になったことを浮き彫りにした。

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