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【神奈川】

市、東芝原子炉に再稼働報告要請 市民の不安 無視できず

2011年5月24日

川崎区浮島町にある東芝の原子力研究施設(文部科学省の資料より)

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 川崎市が、市の臨海部にある東芝の原子力研究施設「東芝原子力技術研究所」に立ち入り検査を行うとともに、現在は停止中の実験炉を再稼働する際は市に報告するよう求めたのは、福島第一原発の事故以来、高まっている市民の不安感を、行政が無視できなくなったことの表れと言える。 (栗原淳)

 同研究所の実験炉は一九六三年の運転開始で、最大熱出力二〇〇ワット。稼働期間は毎年六十日前後で、今年は三月四日以降、運転が停止しており、東日本大震災の発生時も既に停止していた。

 にもかかわらず、立ち入り検査に踏み切ったのは、「福島第一原発が報道されるたびに、市民から『市内の原子力施設は大丈夫か』との問い合わせ電話がきた」(市危機管理室)ことが影響している。

 川崎市は毎年秋、市や東芝幹部らを委員とする「原子力施設安全対策協議会」を開き、安全対策を協議しているが、今年は協議会を待たず、立ち入り検査に入った。検査が行われたのは十八日。市職員が原子炉や建屋などが損傷していないか、備品類が安全に管理されているかを確認。原子炉などに損傷はなかったという。

 ところで、文部科学省によると、実験炉が稼働しているか、停止中かなど、稼働状況を自治体に報告する法的義務はないという。報告するよう協定を結んだ自治体もあるが、川崎市の場合、東芝との間に、そのような協定もない。このため、同市の要請は、文字通り“お願いベース”に終わりかねないのが実情だ。

 

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