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    【テーマ】
  • 『東北地方太平洋沖地震 防災対策を再検証する』
    【ゲスト】
  • 城島光力 民主党政調会長代理(前半のみ)
  • 松井一秋 財団法人エネルギー総合工学研究所理事
  • 中林一樹 首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授
    【解説キャスター】
  • 安倍宏行 フジテレビ解説委員

東日本大震災を検証

 災害対策本部について城島政調会長代理は「12日に岩手県に政府調査団を派遣、当日の11日に宮城県に東祥三内閣府副大臣を派遣した。被害の大きい岩手県、福島県に同じように現地の対策本部を置きました。今回の大変難しい点は、行方不明や連絡がとれない人がいっぱいいる。救助も難航しています。しかし第一には人命救助、特に発生後72時間という初動が一番大事だと思います」と語った。
 中林教授は「今回、阪神大震災との大きな違いは、複数県が同時に、最大被害だけでも3県あります。その3県の情報をさらに一括しないといけないので、本当の対策本部は東京にないといけない。現地対策本部は、そこから被災地のいわゆるドメスティックな対応の拠点です。東京は、各省庁間の調整、外国からの支援、さらに復旧復興に向けて外国との関係が出てきます。それを全部トータルに統括するのが、対策本部です。支援側と受援側の総合調整をするのは、東京で全部をにらんでいる所でやらないと、ミスマッチングが起きます」と語った。

計画停電 明日以降も実施

 中林教授は「最初の情報が、強制的にエリアごとに停電すると受けとめられたのですが、計画停電は、エリアが停電するという意味では最後の手段なんです。それを含めて全体が何をやっているかというと、最大3300万キロワットの電力を超えないようにどう使うかという全体的な電力消費のコントロールをしているのです。今朝から午後までエリア停電をしなかったということは、各所でみんな、節電の努力をした結果、3300万キロワットを超える量にいたっていなかったので、電力供給ができた。最大の節電は電車の運行回数を減らしたことなんです。あれ自体、計画節電の一部なんです。ところが、夕方の時間になって、電力が足りないかも知れないとなって、2か所で計画停電を実施した。ガス器具や灯油を使った暖房も今は電気がないと動かない。ガス暖房は電気でコントロールしている。つまり電気を消費しているわけです。そういう意味では、ほとんどすべてのものに電気が関わっているので、なるべく暖をとらないで、毛布などで我慢をしてほしい」と語った。

前代未聞・計画停電実施

 節電啓発担当相について城島政調会長代理は「なぜこの担当相を置いたのかというと、国民の理解を得ながら電力供給不足への適切な対応を図っていくということが一番重要だということのようです。現実的に需要が供給を上回っていくと、それこそ大規模な停電を起こしてしまう。それを避けるためにグループ分けをした。病院の問題や医療など、社会的な問題も多いが、その前に、“国民全体できちっとした節電ができないか”あるいは“自動販売機をやめたらどうなるか”ということをやっても足りないのならやるんだろうけど、生命に重要なことや社会的に大きな影響を与えるようなことは、最後にするといった流れがあっても良いんじゃないかという意見は随分聞きます」と語った。

今、私たちは何をすべきか?

 災害ボランティア担当首相補佐官について、城島政調会長代理は「今回の地震は、地域が広く、いまだに車で行けない地域もあり、人の力が今まで以上に必要となる。そういった点でボランティア、NPOを含めて、個人個人のボランティアをかなり募っていくのですが、地域がかなり拡大していますから、どこかが現地との連携をやらなければいけない。辻元さんの場合は、阪神大震災の時も自らボランティアをやられましたし、ボランティアの一環としてのNPOの支援法を作った人でもあります。こういった分野については、体験があり、深い知識もお持ちなので相応しいのではないかと私も思います」と述べた。
 さらに国会の状況について、城島政調会長代理は「今日の午後に、与野党の幹事長国対委員長会談がありました。一言で言うと、“やはりこの状況を与野党が協力して乗り切ろうではないか”という呼びかけをして、野党も共通認識を示しました。細かいことを言うと、例えば阪神淡路大震災の時にやったような、免許証の更新やパスポートの延長などを何とかしようとか、予算についてもできればこういった状況だから、早く年度内に上げて欲しい、関連法案も協力してやっていただきたいという事については、年度内に目途を立てましょうという呼びかけをしていて、それを了解していただけている。補正については、復興となりますと長期になるだろうから、きちっとした補正を組む。やっぱり今の状況では、与野党が協力しながら補正予算を作っていくべきだと思います」と語った。

福島第一原発事故・徹底検証①

 松井氏は「まず問題があると言われた一号機は、海水で原子炉容器の中、格納容器の中で水没したようになっている。今後も冷却は必要だろうと思いますが、相当量の水が入っていて落ち着いているのではないかと思います。三号機については海水が入りだして、海水を入れ続け、炉心を冷やすことを続けられるのなら、終息する可能性はあると思います」と語った。
 さらに松井氏は「電気さえ回復すれば、冷やすことはそんなに問題はないと思います。ただし、原子炉の中が今どんな状態になっているか、どんなレベルになっているのか、燃料棒が一部破損している可能性があります。燃料棒自身はジルコニウムの合金で、それが水と反応して水素を作ってしまった。残念ながら、一号機、二号機、三号機に海水を入れていますが、多分1~3号機が廃炉になる可能性が大きいと思います」と語った。
 今後の見通しについて松井氏は「正確な見通しを立てるのは非常に難しいです。ですが、なすべきことは冷やすことを着実にして、炉水をいっぱいまで入れることと、今、弁を開けていますが、それもシャットアウトする。原子炉としてまずやらないといけない事は、核反応を止めること、冷やすこと、閉じ込めることの三つです。現時点では、冷やすことは上手くいっていないです」と述べた。
 中林教授は「避難所の生活が長期化する可能性があります。そこを拠点として生活しなければならない。仕事も学校もあるということで、その避難所での生活はかなり厳しいものになると思います。おそらく避難所を一回出て、帰れない方は、親戚等の家に移動している可能性があります。ただ、高齢者の方が中心的に残ると思いますので、長期的な生活支援という観点で、避難者のサポートをしないといけない」と語った。

福島第一原発事故・徹底検証②

 松井氏は「今回よく画面に出てくるのは、陸側から第一原子力発電所を見ている映像ですよね。それで水素爆発が起きているのが見えて、ビックリしてしまう。また、海側から見た衛星写真も地震の前後の絵がインターネット上に載っています。それを見ると、津波の被害も大だった事が分かります。津波で海側の施設がごっそり流されています。冷却設備が止まって、多分燃料計や燃料タンクごと流されたのかと思います」と述べた。
 核反応について松井氏は「放射性物質は少しずつ放射線を出して違う物質に変わっていく。放射線を出す時に熱が発生します。核分裂生成物の場合には、そういった熱もあるが、それだけではなく自分が出す熱もある。ただしそれは核分裂反応ではございません」と語った。

福島第一原発事故・いま何が?

 中林教授は「今回の災害は、地震、津波、原子力発電所という、巨大複合災害です。それを踏まえてもう一度安全について考えないといけないと思います。コストパフォーマンスで図れる安全と、それでは図れない安全があります。やはり、かけるべき所にはしっかりコストをかけ、絶対確保すべき安全というのもあるのではないかと、もう一度考え、この教訓を活かして欲しい。それと、対策対応的に言いますと、災害対策基本法というのが防災対策の原点なんですが、これはちょうど50年前に出来た法律です。地方自治を原則とした考え方です。それは要請主義で、自治体に出来なければ県に要請する、県が出来なければ国に要請して支援をする。ところが複数県がとんでもない被害にあった時の対応策は、含まれていないと思います。従って、今回の対策を踏まえ、災害対策基本法自体を抜本的に組み替えて、巨大災害の時にどういった対応をするのか、国としての新しい防災対策の考え方、そして自治体がやるべき対策、それらの枠組みを作り変えないといけないと思います」と語った。



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