'11/5/22
進退窮まった?子ども手当見直し
民主党が野党と進める予定だった子ども手当見直しが足踏みを続けている。党内調整を急げば反執行部派が公約違反と反発し、紛糾必至。野党は他の重要法案を人質に妥協を拒んでおり、身動きが取れない状況に陥っているためだ。6月下旬の今国会会期末までに合意のめどが立たなければ、9月末で現行法が期限切れし、制度が消滅、児童手当が復活する可能性もある。
「当然これから調整しなければならない。具体的な中身は申し上げない」。20日の記者会見で玄葉光一郎政調会長の歯切れは悪かった。当初、執行部は20日ごろには自民、公明両党との協議に臨む日程を想定していた。
しかし小沢一郎元代表の支持派議員が野党の提出する内閣不信任決議案に同調する動きを強めたため目算が狂った。見直しは小沢氏支持派を刺激し、「菅降ろし」の動きを引き起こしかねない。危機感を強めた執行部は政策調査会の担当部門に議論開始のゴーサインは出さず、党内調整は先送りの格好となった。
民主党は4月、2011年度第1次補正予算案の採決に先立ち、自民、公明両党と合意文書を交換。予算執行に不可欠な公債発行特例法案成立へ協力を得る見返りに子ども手当の見直し検討を約束した。
執行部は子ども手当の支給月額を現行より3千円低い1万円に引き下げる公明党案を軸に調整する構えだが、所得制限復活の是非が焦点となる。小沢氏支持派も「政権交代の成果を自ら否定する行為だ」(若手議員)と反発、残された時間も少ない。自民党は公明党と関連法案を共同提案し、民主党に「丸のみ」を迫る考えだ。
9月末までに新法案が成立せず、児童手当が復活すれば支給額が大幅に減り所得制限も復活する。