「真の韓国茶とは何かを示したい」(下)
パク所長は「『九蒸九曝(ばく)』が伝統製茶法だという認識が、韓国茶道界の最大の問題だ」とも話す。「九蒸九曝」とは、9回蒸して、9回乾かし茶を作るという意味だ。「九蒸九曝という方法が出てきた根拠が19世紀の儒学者、李裕元が書いた『林下筆記』。この本で李裕元は、茶山・チョン・ヤクヨンが宝林寺の僧侶たちに九蒸九曝の方法を教えたとしている。しかし、この時代の九蒸九曝は、9回の製茶工程を意味したというよりは、茶葉を蒸したり乾かしたりする時は最も慎重に行わなくてはならないということを強調した言葉とみるべき。ナムル(山菜や野菜のあえ物)もさっと湯がかなくてはならないのに、ましてや茶葉は…。伝統的に仏教文化の核心である茶について、茶山が僧侶に教えたということ自体が矛盾している」
パク所長に、良い茶を選ぶコツを尋ねた。「茶を煮出してみてほしい。湯の中で開いた葉の形がはっきりしていて、茶が透明でなくてはならない。悪い茶はぼやけた感じがする。香りを嗅いだ時、すがすがしくすっきりした香りでなくてはならない」。茶葉を保管する際は、アルミホイルや陶磁器のようににおいが付きにくく、茶の味と香りに影響を与えない材質の容器が理想的だという。茶器は、中間が膨らんでいて口が狭く、全て飲み終わるまで香りと温度を保てるものがいいと教えてくれた。
パク所長が1年間に生産する茶は、500g入りのパックで500個にも満たない。値段を付けるのも難しいが、あえて付けるとしたら1パック100万ウォン(約7万3900円)を軽く超えるので売るわけにもいかない。「値段が付けられない」という表現がぴったりだ。僧侶たちやトンチュン茶後援会の会員たちと、何とか分け合う状況だ。そんなパク所長が、今年から「真の伝統茶文化」の普及に自ら乗り出すことになった。「韓国茶とはどのようなもので、どのような味で、どのように作るのかという標準を提示する」という覚悟だ。一般の人を相手に初めて開く「トンチュン茶試飲会」は6月4日、COEX(ソウル市江南区三成洞)で開催される。
順天=金成潤(キム・ソンユン)記者