21日に肺炎で亡くなった俳優の長門裕之(本名・加藤晃夫)さん(享年77歳)の通夜が23日、東京・元麻布の善福寺で営まれ、俳優仲間ら約400人が弔問に訪れた。
いつも笑みを絶やさず、楽しいことが大好きだった長門さんにふさわしく、祭壇の遺影は右手の人さし指を突き出し、おどけた表情。1年ほど前に撮られたもので「いたずらっぽさが一番出ている」と喪主を務めた弟で俳優の津川雅彦(71)らによって選ばれた。
極めつきは2006年に津川がメガホンを執り、長門さんも出演した映画「寝ずの番」で共演した俳優・笹野高史(62)の弔辞。「不謹慎かもしれませんが…」と、同作内で歌われている「チョンコ節」を歌い始めた。
卑わいな言葉が連続する、通夜にはふさわしくない歌だが「(共に弔辞を読んだ)中井(貴一)さんが正統派だから『僕しかいないかな』と…。津川さんからは『面白くしてくれ』という念力を送られた気がしたので」。僧侶が神妙な顔の中、「孤独な戦いだった」(笹野)が、参列者からは「長門さんらしい」と笑みがこぼれた。
法名は極芸院釈浄晃(ごくげいいんしゃくじょうこう)。「芸を極め、太陽のような明るさでお客さんを喜ばせた」との意味だ。棺には09年に亡くなった最愛の妻・南田洋子さんの愛用していた洋服や写真などが納められた。24日には同所で葬儀・告別式が営まれ、黒柳徹子(77)、奥田瑛二(61)が弔辞を読み、故人に別れを告げる。
萩本欽一「今日は最後のジョークを言いました。『オレも礼服持ってるぞ』って。今日は手を合わせて『もうちょっと待ってね。遊びに行くから』と言いました。本当にすてきな俳優さんがいなくなっちゃった」
里見浩太朗「本当に芸の虫だった。いろんなアイデアを提供してくれて、台本3ページ分くらいを一気にやり終わった後、『気持ちいいなあ、これが芝居だよな』っておっしゃってたのが印象的でした」
藤村俊二「(長門さんは)自分で望んで逝ったんじゃないかな。早く、(南田)洋子ちゃんの所に行きたかったんだと思う。にぎやかな通夜だったけど、彼は自分らしいと笑って喜んでいるだろう。去年、今年で昭和九年会の仲間が次々と逝ったね…」
船越英一郎・松居一代夫妻「南田さんと共に僕たちの結婚式に出ていただきました。私たちもお二人のように、いつも手をつないで、一緒に歩いていくことができるような夫婦になっていきたい」
◆主な弔問客 安倍晋三元首相、阿部寛、伊勢谷友介、岩下志麻、柄本明、大友康平、大林宣彦、小澤征悦、勝野洋、上川隆也、川上麻衣子、川中美幸、岸部一徳、北大路欣也、国生さゆり、紺野美沙子、笹野高史、里見浩太朗、宍戸錠、鈴木杏樹、周防正行、橘家円蔵、舘ひろし、田村正和、鶴見辰吾、中井貴一、中尾彬、中村吉右衛門、中村メイコ、野際陽子、長谷川初範、比嘉愛未、富司純子、藤村俊二、船越英一郎・松居一代夫妻、別所哲也、松方弘樹、萬田久子、水谷豊、三田佳子、ミッキー・カーチス、宮本信子、恵俊彰、山本學、渡辺謙、渡哲也(敬称略、50音順)
[2011/5/24-06:00 スポーツ報知]