◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
【今週の注目レース】
78回目を迎える競馬の祭典・ダービー(29日、東京・芝2400メートル)に、初めて海外在住の外国人オーナーの所有馬が参戦する。皐月賞4着のデボネア(牡3歳、栗東・中竹厩舎)。馬主は、UAEドバイの首長であるシェイク・モハメドだ。日本の競馬の歴史が大きく変わるかもしれない、注目の大一番だ。
3月26日。ヴィクトワールピサが、日本の競馬界の悲願だったドバイ・ワールドC制覇を果たした。あの歴史的勝利から、約2か月。今度は、ドバイのシェイク・モハメドが、“聖域”とも言えるダービーに、所有馬のデボネアを送り込んできた。
デボネアは、世界的なオーナーブリーダーであるシェイク・モハメドの相馬眼にかなった好素材だ。報知杯弥生賞3着。皐月賞でも4着に好走した。「すごく、背中の柔らかい馬。不利とされる外枠(15番枠)から頑張った皐月賞で、東京コースが合うことを証明した。折り合いがつくので、2400メートルも大丈夫」と管理する中竹調教師は期待を膨らませる。
JRAが、外国人馬主(本邦外居住者)に開放したのは、09年11月25日。シェイク・モハメドは現在、20頭を登録している。日本競馬にとっては脅威となる“外敵”。それでも、ダービーの注目度を高めるという点で、デボネアの参戦は意義深い。ヴィクトワールピサの生産者で、国内最大手のオーナーブリーダーである、社台ファームの吉田照哉代表は、次のように話した。「そういう時代になったんですね。でも、日本に牧場(ダーレー・ジャパン・ファーム)をつくられて、そこで生産した馬で出るというのは、うれしいですよ。ヴィクトワールピサが勝った時も喜んでくれた。日本のことを思ってくれている」
鞍上に予定されているのは、世界的名ジョッキーのランフランコ・デットーリだ。イタリア生まれの40歳は、シェイク・モハメドがつくったレーシングチーム「ゴドルフィン」の主戦で、日本でも大活躍。02年に、史上初となるジャパンCダート(イーグルカフェ)、ジャパンC(ファルブラヴ)の連続Vという離れ業を演じた。
「何かを“持ってる”騎手。技術はもちろんだけど、すごい強運もある。あれだけの舞台だし、こん身の仕上げで送り出したい」と中竹師。デボネア自身も、皐月賞4着と、ぎりぎりのラインでダービーの優先出走権を獲得したように、運を持っている。シェイク・モハメドにデットーリ。世界の“NO1ブランド”に支えられたデボネアから、目が離せそうにない。
◆シェイク・モハメド 1949年7月22日、ドバイ生まれ。61歳。UAEの副大統領、首相。ドバイの首長。フルネームは、モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム。代々、首長を務めるマクトゥーム家が競馬産業に熱心で、世界的なオーナーブリーダーとなる。イギリス、アイルランド、アメリカ、オーストラリア、そして日本で生産活動を展開。96年には、世界一の賞金を誇る、ドバイ・ワールドC(今年は総額1000万ドル=約8億2000万円)を創設した。03年には、「ゴドルフィン」としてG1・100勝を達成。個人名義の所有馬としては、シングスピールが96年ジャパンCを優勝。ゴドルフィン名義で、ハートレイク(95年安田記念)、ダーレー・ジャパン・ファーム名義で、アドマイヤムーン(07年ジャパンC)がJRAのG1を制覇している。
◆ランフランコ・デットーリ 1970年12月15日、イタリア生まれの40歳。凱旋門賞3勝など、欧州を中心に活躍。94年にゴドルフィンと専属契約を結び、現在も世界中のG1を次々に勝っている。日本のGIは、02年ジャパンCダート、ジャパンCのほか、96、05年のジャパンC(シングスピール、アルカセット)を優勝。来日すれば、ウィジャボードに騎乗した06年ジャパンC(3着)以来となる。
(2011年5月24日06時01分 スポーツ報知)
■PR