2011年5月23日22時46分
入学案内で併設大学への内部進学を約束しながら、実際には希望者の一部しか進学できなかったのは入学時の契約に違反するとして、私立金蘭会高校(大阪市北区)を今春卒業した女子大学生6人とその保護者が23日、運営元の学校法人を相手取り、約3千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。
訴状によると、卒業生らは2008年4月、金蘭会高校看護進学コースに入学した。学校案内には「併設の千里金蘭大学看護学部に、原則全員進学できる」と記されていたが、09年12月、「3カ年の評定平均値が3.5(満点は5.0)以上」など5項目の条件を高校側が生徒や保護者に示し、条件に満たないものは大学に推薦しないとした。
10年4月時点で、同コースの3年生24人のうち千里金蘭大への進学希望者は17人いたが、推薦で合格し、進学したのは6人だった。残る18人は他の大学や専門学校を受験し、進学。うち6人が提訴した。原告(18)の父、松島孝司さん(55)は、「詐欺まがいの行為で生徒を集めるのは進路指導の根幹を揺るがす行為だ」と話す。
同高校によると、当初は希望者を入学させる方針だったが、大学のレベルが予想以上に上がり、無条件に受け入れられなくなったという。藤林富郎校長は「訴状を見ていないので何とも言えない。保護者には何度も説明会を開いており、納得が得られず裁判になったのは残念」と話している。
少子化で学校経営が厳しさを増す中、私立高校入試では系列大学に進学できることがセールスポイントになっている。特に看護など就職に直結する学科は内部進学の希望者が多い。
大阪府私学・大学課は同高校に対し、進学条件について保護者らに周知するよう指導を強めている。