東電が合理化計画発表 資産売却で6千億円
2011/05/23
東京電力は20日、資産売却や修繕費の削減により1兆1千億円以上を捻出(ねんしゅつ)する合理化計画を発表した。厚生施設の全廃をはじめとする不動産売却や株売却を通じて6千億円以上の資金を確保するとともに、修繕費や研究開発投資の抑制により5千億円以上の費用を削減する。人員のスリム化に関しては人員削減も含めて年内に詳細な計画を公表する。当面の事業運営方針として福島第一原子力発電所事故の収束、被災者対応、安定供給確保を挙げ、事業拡大を目指した2020ビジョンは取り下げた。
資産売却では東電が持つ体育館や宿泊施設など27の厚生施設とグループ企業が持つ17の厚生施設をすべて売り払うとともに、事務所の建物やPR施設の売却も検討。電気事業に必要ない株式は原則売却するほか、国内外の事業からも撤退し、6千億円以上の資金を確保する。
安定供給などに支障のない範囲で修繕費を最大限削るとともに、システム・研究開発の大幅縮小により経費を減らす。人件費も役員報酬の返上・減額などによる現在の年間540億円削減以上の策を検討。これらの対策により11年度に5千億円以上の費用を減らす。
東電は震災以降に緊急借り入れした約2兆円とともに、資産売却と経費削減で捻出する1兆円超の資金により、当面は電気料金値上げによらず急場をしのぐ考え。新社長に内定した西澤俊夫常務は「現時点で最大限の対策」としている。
人員のスリム化に関しては、グループ事業の縮小・再編により、福島第一事故の収束や被災者対応の要員5千人程度を確保する。詳細な計画をまとめる年内までに、人員削減に踏み込むかどうかを判断する。
当面の事業運営は福島第一の事故収束に向けた取り組みを筆頭に掲げ、「工程表の目標の確実な達成に向けて全力を挙げる」(清水正孝社長)とした。合わせて被災者への補償に公正・迅速に対応することや、需給両面で今夏の安定供給対策に力を入れる方針を示した。 (本紙1面より)
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