2011年5月23日 20時39分 更新:5月23日 21時55分
東京電力福島第1原発事故で、学校の屋外活動を制限する放射線量を年間20ミリシーベルトとした文部科学省の基準は甘すぎるとして、福島県内の父母ら約650人が23日、東京・霞が関の文科省を訪れ、撤回を求める要請文を提出した。同省科学技術・学術政策局の渡辺格(いたる)次長は「最終的には1ミリシーベルトを目指して努力する」としたが、撤回の意思はないことを改めて示した。
父母らは小雨の中、文科省前で約2時間にわたって「子どもの安全は保障できるのか」「大人と子どもの影響は違う」などと訴えた。福島市飯野町の斎藤夕香さん(38)は「基準を巡っては学校現場でも判断できない状況が起きており、撤回してほしい」と話した。
文科省の基準は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した「年間許容量1~20ミリシーベルト」を根拠に決めたが、内閣参与の小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大教授(放射線安全学)が「大人と子どもの基準が同じなのは納得できない」と反発して辞任するなど混乱が続いている。【鈴木梢】