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【社会】

「浜岡」東側2.8メートル隆起跡 産総研調査、国想定と別断層

2011年5月23日 09時12分

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 運転を停止した中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の約2キロ東側で、過去の地震により最大2・8メートルが一気に隆起した跡があることが、産業技術総合研究所などのボーリング調査で分かった。中電は、東海地震の原発への影響を「浜岡原発の敷地はなだらかに1メートル隆起する」と説明するが、十分には調査されていない。専門家からは、停止を機に精緻な地質調査が必要との指摘が出ている。

 問題の隆起跡は、原発から二級河川の筬川(おさがわ)を挟んで約2キロ東に位置する御前崎市白羽地区。同研究所などが2005年から08年にかけて9カ所の段丘を5〜13メートル掘った。表層は砂だったが、その下からは海岸線近くにしか生息しない生物の化石(マカロニクナス)が出た。この地点がかつては波打ち際だったことを示す。

 段丘の各地点を調べると、5千年前に最大2・7メートル、2400年前には最大2・8メートル、1000年前には最大1・6メートルの海底が大地震によって一度に持ち上がり、現在の段丘を形成していることがわかった。

 度重なる隆起について、同研究所の藤原治主任研究員(地質学)は「国の中央防災会議が想定するタイプの東海地震とは別の活断層があり、1000年周期で局地的に大きくずれている」と解説。調査結果を原発の安全性を評価する原子力安全基盤機構に報告した。

 国の見解では、浜岡原発を含む静岡県沿岸は、次の東海地震で均等に約1メートル持ち上がるとされている。その後はプレート(岩板)が年数ミリ程度沈み込み、隆起した分が帳消しになるとされてきた。

 中電はこの見解を採用しているが、段丘調査を受け、段丘につながる断層があるのか、存在するならどう広がっているのかを特定しようとした。地中に向けて人工的に地震波を送り、返ってくる波(エコー)を計測する手法で地中の様子を調べたが、隆起を起こす断層の姿は十分に解明できていない。

 地震予知連絡会会長などを歴任した大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「断層の角度と規模によっては、浜岡原発に揺れとずれの両面で影響を及ぼしうる」と指摘する。

 立石雅昭・元新潟大教授(地質学)は「同じ年代のマカロニクナスがどう分布しているか、原発が停止している間に、原発直下も含めて調べるべきだ」と話している。

(中日新聞)

 

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