日本経団連と中国国際貿易促進委員会、韓国の全国経済人連合会は22日、日中韓首脳会談に合わせて3カ国の財界トップらによる「ビジネスサミット」を東京都内で開催、日中韓の自由貿易協定(FTA)の早期実現を求めた共同声明を発表した。また、3団体は東日本大震災の影響で寸断された日本と北東アジアのサプライチェーン(部品供給網)の復旧で協力することでも一致した。ビジネスサミット後に経団連などが主催した昼食会には、菅直人首相、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領が出席。米倉弘昌・経団連会長は「日中韓FTAが速やかに実現するように努めてほしい」と菅首相らに訴えた。
ビジネスサミットの声明は、日中韓FTAについて「(欧米に比べて遅れている)東アジアにおける経済統合の空白を埋める極めて重要な役割を果たす」と強調。世界の国内総生産(GDP)の約2割を占める日中韓の3カ国がFTAで関税引き下げや投資促進を図ることが、アジア全体の一段の成長につながるとの認識を示した。これに対して、中国の温首相と韓国の李大統領は昼食会で日中韓が来年にFTA締結に向けた交渉に入ることに期待感を示した。一方、菅首相は日本が農業開放問題を抱えることも念頭に「首脳会談では(FTA交渉の前提となる)3カ国の産官学による共同研究をスピードアップすることで一致した」と述べるにとどめた。【宮崎泰宏】
毎日新聞 2011年5月22日 22時50分