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後継者難で漁業断念 宮城県漁協調査
 | カキ養殖の再開に向け準備を進める漁業者=19日、石巻市渡波 |
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宮城県漁協が集計した組合員アンケートで、約3割の漁業者が廃業する意向を示した。後継者がいない漁業者を中心に再開を断念するケースが多いとみられる。漁業地域の再生に向け、担い手をどう確保していくのかが問われている。 県漁協石巻湾支所に所属する石巻市の後藤要一さん(64)は40年近く携わってきたカキ養殖をあきらめ、「陸(おか)上がり」を決断した。 「寂しいけど後継者もいない。養殖を再開するには数百万円はかかる。収穫できるまで無収入ではきつい」。今後は解体工事などのアルバイトで収入を得る予定だ。 漁業再開の意欲は、各浜の被害の程度によっても差がある。壊滅的被害を受けた石巻市雄勝町では800人中、約8割の632人が漁の断念を表明した。 再開に向け準備を進めるホタテ漁師の伊藤進さん(66)は「漁を続けると言ってはいても、実際には動いていない人も多い。どれだけの人が浜に残るのか」と心配する。 宮城県の村井嘉浩知事は、新たな担い手を呼び込もうと、商社などにも漁業権を開放する「水産復興特区」構想を打ち出しているが、県漁協は「利益優先の企業の参入を認めれば、浜の荒廃を招く」と反対している。 160人の正組合員すべてが漁業の継続を希望する県漁協表浜支所(石巻市)の木村千之運営委員長(59)は「県漁協が早く具体的な再建策を示さないと、サラリーマン漁師でもいいという人が出てくる恐れがある」と警戒している。
2011年05月20日金曜日
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