原子力安全委員会の斑目春樹委員長の発言がまた物議をかもしている。福島第1原発事故の発生以来、暴言、放言を連発し、ネットにはすざましい批判の書き込みが相次いでいるが、今回は訳の分からない言い訳だ。
震災翌日(2011年3月12日)午後7時4分、1号機の水素爆発を受けて東京電力は海水の注入を開始したが、20分後の午後7時25分に注入を中止。なぜ中止したのか。細野豪志首相補佐官が行った1昨日の説明によると、斑目から「海水の注入は再臨界の危険性がある」という意見が出されたからという。
再臨界は一旦停止した核分裂が再び連続して核分裂を起こすことだが、「海水を注入することで再臨界を起こす危険性がある」との指摘で、東電は安全性を検討し直すために注水を中止したというのだ。
しかし、海水注水の中止について、東電は「原子力安全・保安院に連絡した」と説明しているのに対し、首相官邸は「知らなかった」、保安院は「連絡を受けた記憶のある者はいない」と言う。斑目も「そんなことは言っていない」と反発して、官邸に強い調子で訂正文を出すよう求めた。その結果、出された訂正文を見ると、斑目の当時の発言は「臨界の危険性がある」ではなく、「再臨界の可能性はゼロではない」だった。
司会の加藤浩次「このドタバタの最中に何が見えてきますか」聞き、コラムニストの勝谷誠彦が次のように吠えた。
「何も見えてきませんね。だいたい斑目のあれなんて同じことを言っているだけ。『危険性がある』も『可能性はゼロではない』もどっちでもいいだろう。
こういう時こそ東京地検特捜部が入ればいいんですよ。これからどんどん証拠隠滅しますよ。十分国民に迷惑かけているんで、犯罪に近い行為なんだから(東京地検が)入って証拠保全しないとダメですよ。
この人たちに事故原因の検証をさせても同じだ。ドロボーが取り調べをするようなものだから」
弁護士の萩谷麻衣子も「正しい情報を迅速に開示しなければいけないのに、抗議されたらすぐ訂正する。これじゃ、裏付けのあるきちんとした情報を流していないという不信感を持ってしまう。危機管理がなっていない」と批判する。
『ミスター原子力』と異名で呼ばれた東電の豊田正敏元副社長は、22日の他局のテレビインタビューで「(福島第1原発は)津波には関心がなかった」と語っていたのには驚いた。
事故後に武藤栄現副社長も「連動した地震による津波は想定していなかった」と似たような話をしていたが、海底での地震に津波はつきもの。まして海岸沿いに原発を作ろうというなら津波対策は欠かせないはず。
その無責任さを容認していた原子力安全委員会や保安院の責任は東電同様に重く、存在意義が問われてしかるべきだろう。
今旬ワード
スポンサードリンク
お知らせ
【スポンサードリンク】
|