サイエンス

文字サイズ変更

放射線量:子供の「20ミリシーベルト」 判断経緯を公表

 福島県内の幼稚園や学校などでの屋外活動を制限する放射線量が「年間20ミリシーベルト」を前提に「毎時3.8マイクロシーベルト」と決められた問題で、政府と東京電力の事故対策統合本部(本部長・菅直人首相)は2日、内閣府原子力安全委員会がこれを妥当と認めた経緯を文書で公表した。安全委は正式な委員会を開かず議事録もなかったため「透明性に欠ける」などと批判されたほか、小佐古敏荘・東京大教授が「(緩すぎて)容認できない」として、内閣官房参与を辞任している。

 統合本部によると、4月9日に文部科学省から安全委に相談があり、数人の委員や専門委員、事務局を交えて4回会合を開いた。その結果▽被ばくの低減化を求める▽モニタリング(監視)の確実な実施--などを条件に「年間20ミリシーベルト」を容認する方向で事実上合意した。

 政府は19日14時8分、正式に助言を要請。班目(まだらめ)春樹委員長ら4人の委員と事務局が、福島にいた委員1人に電話で了解を得たうえで約2時間後、助言を送ったという。班目委員長は「緊急なのでこうなったが、反省している。今後は議事録を残す」と、2日の会見で陳謝した。

 一方、班目委員長は同日開かれた安全委で、屋外活動が制限されている7校で空間線量が基準を下回ったとの報告を文科省から受けた後「毎時3.8マイクロシーベルトを下回ったから学校を使わせると非常に安易な説明があっただけ。文科省として(土壌の線量を減らすなど)できるだけの対策を示すべきだ。福島の人が憤慨するのは当たり前だと思う」と、文科省の対応を批判した。【日野行介、関東晋慈、酒造唯】

毎日新聞 2011年5月2日 21時03分(最終更新 5月2日 22時55分)

PR情報

スポンサーサイト検索

サイエンス 最新記事

サイエンス アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画