福島第一原発1号機への海水の注入が中断した問題で、政府内が混乱しています。事故の翌日、注入が55分間中断されたことについて、細野総理補佐官は21日、原子力安全委員会の班目委員長から「再臨界の危険性がある」という意見が出たことが背景にあるとの認識を示しました。これに対し、班目委員長が22日、実際には「再臨界の可能性はゼロではない」と発言したと抗議し、委員長の発言は一日で訂正されました。
原子力安全委員会・班目春樹委員長:「再臨界の可能性はゼロではありませんと申し上げた。これが本当のところなんです。かなりムッとしました」「細野補佐官も、『再臨界の可能性』と『再臨界の危険性』がどれだけ違うか、どうもあんまりよくお分かりになってなかったみたいだ」「(海水注入の中断は)けしからん話ですね。誰がそうしたのかは絶対、原因究明するべきだと思います」
班目委員長は22日、「菅総理大臣から『再臨界の可能性はあるか』と聞かれたので、可能性はゼロではないと言った。可能性と危険性というのは全然違う」と反論しました。そして、政府と東京電力の統合対策室長である細野総理補佐官に会って訂正を求め、これが受け入れられました。しかし、誰の指示で海水の注入が中断されたのかはっきりしていません。東京電力は、中断した理由について「官邸から再臨界の危険性があるという意見があって政府の判断を待つ必要があるため、いったん停止した」と説明しています。原子力安全・保安院は、海水の注入を中断した影響を調べる考えを示しています。